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船体や艤装

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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アルミサッシの窓について

大漁ニュース 第105号掲載

 今回はアルミサッシの窓についてです。アルミサッシの窓も次第に改良が加えられ旋回窓と同様に水漏れ防止の対策に重点が置かれています。もちろん外観や仕上がり具合もチェックしますが重点課題となると水漏れ防止対策になります。以前は水漏れ防止といえば「落とし窓」が一般的でした。

 落とし窓の構造は、ガラスにアルミサッシの枠が入っており、その枠を外側の枠に偏心したカムで機械的に押し付けるようになっています。その内枠と外枠の間には、シール用のパッキンが全周に入っているので窓を閉じた状態での水密が確保されています。水密の構造の点では優れていますが、窓を開けた時のシブキの処理のために水密の箱を取り付ける必要があり、取り付けの点では、窓の下方に窓の高さに近いスペースが必要となる等の制約条件もあって、小型漁船では採用のしにくい窓の構造となっています。
 小型漁船の開閉できる窓として最も多く採用されているものが引き違い窓です。この引き違い窓にもいろいろなグレードがありますが、最も多く採用されているのがガラスにアルミサッシの枠の無いタイプです。モヘアと呼ばれる毛をたくさん植えつけられた布がアルミサッシや引き違い窓を閉めた状態のガラスとガラスの重なる部分にシール材として使用されています。この毛が侵入してくる水を食い止める働きをするのですが、毛と毛の間には細い隙間がありますし、毛を押し曲げるような多量の勢いのある水は防止できません。

 またモヘアは全周連続しているのではなく、サッシ部分とガラス相互の間のモヘアは別物になっていますのでこのモヘアとモヘアの間には隙間があります。このためガラスの内側への侵入を完全に防止できるまでには至っていません。そこでいずれの場合も窓の内側に侵入した水が、船内に直接こぼれないよう、サッシの船内側にはアルミ板が溶接してあります。このアルミ板にせき止められてガラスの内側に侵入した水はガラス内面とアルミ板の間に溜まります。ガラス内側とアルミ板に溜まった水をどうやって早く外部へ排水するか、アルミ板の高さをどう決定するかが、水を船内にこぼさないポイントになります。
 アルミ板とガラス内側に溜まった水をいかに早く外部へ排出するかは各サッシメーカーにより方法が異なるようです。ヤマハ発動機ではサッシメーカーと共にこの点について改良を重ね、数年前より使用されるようになりました。従来の物では、排水時間のバラツキもありましたが改良窓ではそのバラツキも小さくなっています。
 排水穴の開け方、構造についてはテストと検討、試作を何度も繰り返しました。従来の窓では「サッシの内側のアルミ板を高くしたら?」「ガラスにアルミサッシの付いたタイプに変更したら?」などいろいろアドバイスをいただきました。
 アルミ板の高さを高くすると、溜まる水の量が増加すること、また溜まった水の水位が高くなるので排水孔での流速が速くなりますから排水能力も高くなったことになります。しかし同じ高さの窓ですとアルミ板が高くなった分、相対的に窓が低くなったと同じ事になってしまいます。
 もしサッシからの水漏れで困っている方がいましたらサッシの排水孔を閉じて、船内側のアルミ板とガラスの間に水を溜め、排水孔を開放して排水の早さをチェックしてみてください。水はけがあまり良くない場合には障害となるものや排水孔の大きさをチェックしてください。その他の要因としては船内側の換気能力不足のため、船内側の圧力が極端に低くなっていないか、窓がトリム等で水平に対して大きく傾きアルミ板とガラスの間に溜まった水が一方に偏り、そこから船内に溢れ出ていないかをみてください。
(編集部注釈:いずれの場合においてもサッシから水漏れが起こるようであれば早めに最寄りの販売店までご相談ください)


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

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