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日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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小型漁船質問箱・その(4)

大漁ニュース 第78号掲載

●質問:ここ数年、ヤマハが開発する漁船のほとんどは、ガンネルもFRPでできていますが、昔のように木を使うものとFRPにするものをどのように分けているのでしょうか? また、それぞれの長所や短所はありまか?

●答え:木材ガンネル:FRPとの組み付け方法が研究され、構造的にもさまざまなタイプのものがありますが、現在ではごく限られた艇種にしか残っていません。

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■特徴1:応力集中に耐えられる
 一次防舷材(トップレール)として使用される木の板厚は、FRPに比較するとはるかに厚く、力が狭い面積にかかる(応力集中)ような艤装をする漁種には最適といえるでしょう。その代表が底曳き船です。マストや門型マストを支えるワイヤーを使用する場合、ワイヤーの一方をトップレールに固着させますが、その張り方や固着する箇所は船主の皆様方により異なりますので、必要な場所だけ補強できる木の防舷材が最も適しています。

■特徴2:FRPより摩耗に強い
 底曳き漁のように重く堅固な漁具を揚げ降ろしする作業で、漁具がトップレールにあたるような漁種の船には木の防舷材が有利です。摩耗には弱い部類に属するFRPの場合には保護材が必要になります。また、底曳きのように激しい使い方では、強度アップのため、ブライ数を増加するばかりでなく、取り付け部分も強固にする必要が生じるので、木の方が有利と言えるでしょう。
 木材ガンネルの弱点としては、木口の部分から割れが入ったり、腐蝕が発生することがあり、塗装や手入れなどが必要とされてきた点です。

●FRP+プラスチック防舷材
 ブルーワークの上に「ワ」の字型のFRP成型品を被せた形状で、文字通り下方が開放されたタイプです。このオープンタイプにも2種類があり、船内側がマツラカクシに相当する部分まで長く取ったもの(図B:DYシリーズの比較的大きな船)と、通常の木のトップレールの板圧に近いもの(図A:小型漁船、和船、ドライブ船)に分けられます。
 前者の深いタイプでは、マクラとメバリやFRPへの補強などにより、ブルーワーク全体をとくに丈夫に作ることができます。

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2)クローズドガンネル
 断面が閉じられたガンネルで、和船やドライブ船に採用しています。これらの艇種は、船内側の垂れ下がりが浅く、刺し網を使用する時に沈子などがガンネルの下に絡んで、網作業の能率を下げてしまいますが、閉じ断面にすることで作業時の効率は上がり、また構造的にも剛性や強度面で有利とされています。しかしガンネルに艤装品を取り付けなければならないような時に、閉じた中に手が入らないために、あらかじめ補強を入れたりするなどの工夫が必要となります。

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 一般的にFRPガンネル構造では、全体の剛性(たわみにくさ)を確保するために、ガラス構成を工夫したり、合板などの補強剤をサンドイッチにするなどの方法がとられています。FRPガンネルに漁労機器、その他を取り付ける必要のある場合は補強を更に追加する必要がありますので、お近くの販売店へご相談ください。


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

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