延縄
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
アジ・サバ樽流漁
大分県佐賀関
佐賀関は古くから一本釣りの船が多いが、時期や潮の様子で樽流しなども行われている
太平洋から流れ込む黒潮の枝流と瀬戸内海の潮流がぶつかる大分県佐賀関沖は、古くから天然の好漁場として知られています。 関アジ、関サバに代表されるように、早くからブランド化に取り組まれてきた地区です。今回はその関アジ、関サバを追う城山丸に同行しました。
関アジ、関サバを追う丸山利明さん(46歳)は2ヶ月前に新艇、城山丸<DY-34B-0C>を進水させました。<DY-34B-0C>は一本釣りのために生まれたニューモデル。特に佐賀関の一本釣りに合わせた仕様が特徴で、地元では<DY-34佐賀関>というニックネームが付けられています。
丸山さんは年間を通じてアジ、サバ、タイ、ブリなどを釣っていますが、季節や漁種によってはもっと遠方に足を伸ばしたいと考えていました。
「そのこともあって船を買い換えようとしていたんだ。スピード性能は何を差し置いても重要だった」と購入当時のことを振り返ります。
「その点については予想以上の出来だった。スピードもいいし、乗り回しもすごく楽だ」と満足そうに語ります。
朝の3時半に出港し、漁場に向けて船を走らせます。舵を操りながら丸山さんは前方を指さします。
「舳先のところが低く抑えられているだろう。この視界の良さは他の船ではなかなか味わえないよ」
この日の漁は一本釣りではなく、樽流し。計15個の樽を投入し、それを次々と回収していくものです。作業は艫のデッキ、ブリッジのすぐ後ろで行いますがイケスの間取りが工夫され、作業を効率よくできるよう設えてありました。
「新しい船が浮かぶとまわりがアラを探したりもするけど、目の確かな人にはこの船の良さが分かるはず、デッキや足まわりは最高だよ」
以前は造船関係の仕事にも携わって来られてきただけに、その言葉には重みが感じられました。
作業はブリッジのすぐ後ろで行われる。すべてが作業性を考慮して作られているだけに無駄な動きを強いられることはない
アジ、サバに加え、良形のタイも。この日の漁はまずまずなようで、丸山さんも満足顔だった
イケスの間取りも丸山さんが気に入っている点のひとつ
帰港後、捕れた魚は仲買人のイケス移す。面買いといわれる独特の取引方法だ
走りに加え作業性にも満足という<DY-34B>。低速時の安定感は一クラス上をゆく