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一本釣り

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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タイ一本釣り漁

熊本県湯島

赤イカを流しながらアタリを探る古賀さん

上天草の離島、湯島は古くから鯛釣りの島として有名で、現在でも夏から秋にかけては、形の良い鯛が揚がります。今回はこの湯島で一本釣りを行っている古賀誠二さんを訪ねました。

 夜も明けきらない時間から、湯島港には船のエンジン音が響き渡ります。
 「今日は厳しいだろうね。雨も降るし潮回りも良くないから」
 そう苦笑する古賀誠二さん(67歳)は鯛やカレイなど一本釣りでの漁を営んでいます。
 「有明海は港ごとに得意な漁法を持っている。ここは昔から一本釣りで漁をしてきたから、みんな一本釣りにはこだわりを持っています。ただ最近は魚の漁もだいぶ減ってしまって、釣れない日もよくあるんですよ」
 湯島の鯛釣りは餌となる赤イカ釣りから始まります。
 「夜明け前に出るのはイカを釣るため。このあたりでは集魚灯は使っちゃいけないので、朝まづめを狙ってイカを捕る。それこそ昔は30パイも捕れたんだけど、今はもう二桁いったらいい方じゃないかな」
 この日の赤イカは2ハイ。タイ釣りには丁度いい30cmクラスで、この2ハイをもって古賀さんは鯛を狙います。船の位置を島の南側から西側へと移動させ、水深が30m、島から100mと離れていない場所で糸を垂らし、アタリを探ります。
 「今の時期だと調子がよくても3-5尾。だいたいが1尾かまったく釣れないのどちらかですよ。だからほとんどの人は休んでいて、比較的タイが釣りやすい小潮の時まで待っているか、カレイなど別の魚を狙うようにしています」
 餌となる赤イカは、頭と尾の両方に鉤を差し、棚を50cmほどとって流していくのがこの鯛釣りの基本だそうです。古賀さんは左舷から糸を垂らし潮の流に合わせて船足を調整し、魚探を眺め続けています。
 「鯛の魚影はだいたい底のほうに出てくるんですよ。上に写るのがカタクチイワシなどの群。鯛はその下。でもやっぱり今日は反応が無いね(笑)」
 厳しい状況でも漁を続ける古賀さんですが、この粘りこそ鯛の一本釣りには欠かせません。キロ当たり1500円。20年前の1/3以下の価格にまで落ち込んではいるものの、漁は一日の積み重ねだということを示しています。鯛はまだまだ始まったばかりで、動きも鈍いという古賀さん。天草、湯島での鯛釣りは年明けの2月まで続けられます。

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カタクチイワシの群を見つけるとサビキを垂らして釣り上げる

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一本釣りを教えていただいた古賀誠二さん。33歳で独り立ちしてからはヤマハ船を4隻乗り継いできたベテラン漁師

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タイの餌となる赤イカを釣る。集魚灯を使わない漁のため朝まずめの短い時間に勝負を決める

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鯛の餌となる赤イカの尾と頭の位置に針をつける。鯛は頭を狙うことのほうが多いという

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イカ釣りは一般的な疑似餌を使う。潮の流れを読み、あたりを待つのが湯島での漁法

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