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一本釣り

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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マグロ一本釣り漁

長崎県壱岐市

銛で突きクレーンで船上に引き上げられるが魚体には傷はつけない

マグロと言えば青森県の大間が有名ですが、玄界灘に浮かぶ壱岐で獲れるマグロは、その大間に匹敵する、いや、それ以上という呼び声も聞かれるほどの品質の高さを誇ります。今回はその壱岐のマグロ一本釣りに同行しました。

 壱岐周辺は暖流の対馬海流と寒流の日本海流がぶつかり合う絶好の漁場であり、このマグロ漁を始め、イカやブリなど季節毎にさまざまな魚種が水揚げされます。その壱岐・勝本で、マグロの一本釣りに情熱を傾けるのが中村稔さんです。昭和43年生まれの中村さんをはじめ、勝本のマグロ漁師は若手が多いのが特徴です。若手漁師たちの「勝本のマグロを日本一に」といった熱気が港には漂っています。
 この日の出船は午前1時半。まずは餌となるイカを釣り、夜明けに漁場である大陸棚の七里が曽根に到着。七里が曽根は大漁のプランクトンが発生するため、大型魚の餌となる多くの小魚が集まり、マグロだけでなく、カジキやブリといった魚食魚の好漁場でもあります。
 マグロは毎日のように何本も釣れる漁ではありません。その確率を高めるのはポイントの見極め。時折場所を変えながらじっくりとマグロがかかるのを待つのです。
 中村さんは前日に70kgマグロを釣ったばかり。この日はなかなかあたりがありません。ところが、そろそろ帰港かとあきらめかけた時間に、リールのドラグがうなりを上げます。マグロのヒットです。炎天下、約1時間のやりとりを経て40kgクラスのマグロを甲板に引き揚げます。丁寧に釣り上げられたマグロの魚体へのダメージは、この時点で最小限にとどめられています。
 引き揚げられたマグロは、その場ですぐさま中村さん自身の手によって、えらと内臓が丁寧に取り除かれ、水で綺麗に洗い流されます、そして神経も抜かれた後でシートにくるみ氷倉に保存され、港に持ち帰るのです。この手間こそが、他の地域で釣り上げられたマグロと大きく異なる点です。
 港に戻ると組合の職員の方々が出迎え。クレーンで水揚げされたマグロはすぐさま木箱に納められ「神経抜き・勝本マグロ」のシールが貼られて出荷されていきます。
 勝本では平成15年頃から七里が曽根で釣り上げたマグロのブランド化推進に取り組み始めたそうです。漁師の熱意と工夫、手間を惜しまない鮮度維持と漁協の真剣な取り組みの融合。勝本のマグロだけでなく、水産品のブランドはこのようにして生まれ、育てられていくのです。

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マグロがかかってから40〜60分をかけて釣り上げる

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船上での手間をおしまぬ処理作業が高品質の商品となる

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水揚げ後、漁協の職員らによって素早く梱包される

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壱岐ブランド品として出荷される

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中村稔さん。勝本マグロ一本釣りのリーダーでもある

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中村さんの「幸丸」(DY-51-0A)

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