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貝類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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カキ養殖漁

宮城県石巻市

荻浜に舫われた第三裕進丸<DX-46E-0A>。これからの漁の相棒として渡辺さんの評価も高い

黒潮と親潮がぶつかる海域で、好漁場としてしられる宮城県・牡鹿半島。 その入り組んだリアス式海岸線一帯には養殖用の浮きがびっしりと並び、空きの日をまぶしく照り返しています。 これからシーズンを迎えるカキ養殖に精を出す渡辺茂さんを訪ねました。

 宮城県のカキ養殖は全国第2位。特に「生食」が売りのポイントです。
 10月から4月までがカキのシーズンと言われますが、そのスタートの10月を迎え、浜は荷揚げからカキ剥き作業に追われ、活気に満ちています。
 宮城県石巻地区漁協荻浜支所では21軒の漁家さんがカキ養殖に携わっています。その一人、渡辺茂さんは今年の7月に新造船、第三裕進丸<DX-46E-0A> を進水させ、このカキ養殖にフル稼働しています。
 「高校を卒業してからトロールに乗っていて自分の船を持ったのは去年のこと。小さい頃から親父の作業を見て育ったから、見よう見真似で、身体が覚えた手順で誰に教わるでもなくやっているよ」
 カキの出荷シーズンになると毎朝3時頃に出港して、沖の養殖場でカキを揚げて港に戻って来るのが5時。それから7時から午後4時まで、荻浜の共同カキ処理場で総出でカキ剥きをします。
 荻浜のカキ養殖は垂下式です。100メートルの桁綱が樽を挟んで2本並び、それが1セット。これを1台と呼んでいます。その桁綱にカキの稚貝を付けたホタテの貝殻を下げます。貝殻の数は労働力、つまり人手やカキの育成を考慮して決めます。
 渡辺さんは6台を管理していて、1台のカキ揚げの作業に約1ヶ月を費やします。日の出前に出港する日々がこれから半年続くわけです。
 「カキが始まる前、5月から9月まではハモ(アナゴ)漁をやっています。漁があるもないも、全部自分の責任。トロールに乗っていた頃とは、やりがいが違う」そう語る顔からは、一国一城の主という自覚が感じられます。
 荻浜ではこれからの漁業を見据えて、故郷へのUターン組や若いパワーをとり入れやすくするために、柔軟に迎え入れるような若手育成の方針をとっています。31歳の渡辺さんには心強い追風と言えるでしょう。
 「実績がものをいう漁。でもいつかは浜で一番の漁師になれるようにがんばりたい」ご自分の船を持って2年目。カキシーズンもようやく2回目ということもあって、まだこれからという気持ちを表わすかのように、慎重に言葉を選びながら話します。
 明美さんとの間には二人の子宝に恵まれている渡辺さん。来春、小学校に入学する長男の祐介君、そして3歳の裕太君。新造船の船名、裕進丸の裕は二人の名前からとっています。
 「海にばかりでてないで、たまには子供と遊ばないといけないね」はにかみながら話すその笑顔にも、一家の大黒柱と浜一番を目指す渡辺さんの若き意気込みが感じられました。

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浜に設けられた吊り下げ式養殖のモデル

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養殖場は比較的近く、15分程度の距離にある。荻浜一帯は岬ひとつこえるとまた深い入江や浜があり、養殖には格好の地形が延々と続く

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船から荷揚げしたカキはフォークリフトで共同作業場に運ばれる

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カキが運び込まれると作業場は一気に忙しさを増す

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荻浜共同作業場でカキ剥きをする渡辺ご夫妻。リズミカルにせっせと作業する姿はまさしくおしどり夫婦でした

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