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貝類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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ホタテ地蒔き養殖

北海道稚内

地蒔きされたホタテを桁で引き揚げる。早さの中にも慎重さが求められる作業だ

桜の開花前線が北海道地方に到達する頃、時蒔き養殖で有名な宗谷岬のホタテの桁曳が始まります。地元では8尺曳きと呼ばれるホタテの地蒔き養殖漁。 今回は14トンクラスのホタテ船を使う漁に同行しました。

 北の海峡、独特の濃い霧が立ちこめる午前4時半。宗谷岬の大岬漁港に次々と漁師が集まってきます。ホタテ桁引き漁は午前5時の出港が組合で取り決められ、合図と同時に24隻のホタテ船団が次々と港を後にします。今回同行させていただいたのは須藤義男さん(49歳)が船頭を努める第五十八神宝丸<DX-150>で、乗組員は義男さんの弟、義光さんと和義さん。これに安藤さんと小池さんを加えた5名で操業しています。
 今年の漁場は港からおおよそ7マイルの場所で、その大きさは2マイル×3マイル四方あります。
 「漁場自体は8カ所あって、その年によって場所を変えていくんですよ。だいたい4年がひとつのサイクルになっていて、稚貝を入れてから4年経った場所が、その年の漁場になるんです。だから一カ所しかない時もあれば、2カ所3カ所という年もあります。細かくは生育の調査次第ですからね。その年になってみないとわからないんですが」
 ひとつの漁場に投入する稚貝は約2億粒で、1シーズンの漁獲量は2万4千トンにも上ります。いまでこそ、宗谷の代名詞となったホタテの地蒔き養殖ですが、25年前の開始当時は苦労の連続だったといいます。
 「昔は漁が取れなくなった時に腕の善し悪しがでたんだけどね、いまはGPSもついているし、機械も丈夫にできているからそれほど差がでなくなった。それだけこの作業自体も完成されたものになってきましたね」(義光さん)
 漁場に着くと両弦から桁を勢いよく落とします。桁の間口は10尺あり、水深が30mのところを引いていきます。時間にして約15分。義男さんが船を止めると、網の引き揚げが始まりました。デッキに引き揚げられたホタテはその場で選別が行われます。総掛かりで行われる選別作業でいい貝は次々とイケスに投げ込まれていきます。
 「この漁で一番きついところは選別作業だね。貝がかさばるから、いいものだけを水揚げするんだけど、やっぱり人の手でやるから1回で30~40分はかかる。今日みたいに凪だったらいいけど、時化の時もあるしね。2、3回と水揚げをする時は、ホント戦争だよ」
 この日のノルマは6トンということで作業も1回で終わりましたが、最盛期を迎える7月には、水揚げ量も9tになり、それだけに船の安定性が作業効率に大きく関わります。
 神宝丸は<DX-150>のなかでも初号艇であり、当時の最新鋭の技術が盛り込まれた船体バランスは、いまだに現役として北の海峡で活躍しています。

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デッキに揚げられたホタテ貝は、すぐさま選別作業が行われ、身欠けやウニ等はそのまま戻される。6トンあるホタテ貝も20分弱で終わる

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ケタを曳くローラー。この日は漁期の始めと言うことで、10分足らずで規定量に達した

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ケタ曳きの鈎の長さが8尺あったことから「8尺曳き」と呼ばれていた。ちなみに現在の大きさは10尺ほど

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港に戻ると、荷揚げされたホタテは選別場に運ばれる

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お世話になった神宝丸の乗組員。中央が船主の須藤義男さん

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