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貝類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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ホタテ地蒔き養殖

北海道稚内

網を回収した後は、その場で貝の選別が行われる。不要な貝は排出口を通して戻される

最北の地の夜明けは、ホタテ漁船の出航合図。猿払村、知来別港に籍を置くホタテ養殖船が一斉に港を出港し、漁場へと向かいます。14トンのFRP漁船、第一金英丸は舫を解き僚船の後に続き出港しました。

 取材で訪れた日は昨年の残貝を収集する「漁場造成」の作業が行われている最中で、この作業は春先から5月の連休まで続けられ、連休明けには地蒔き養殖の収穫(本操業)が行われています。
 「猿払の漁場は五つの区画(1区画=2×4マイル)に分けられていて、4年周期でひとつずつ漁場を移動していくんですよ。ちょうど今作業している場所が昨年の操業場所で、これから稚貝を入れるために昨年の残りの貝を拾っているところです。まあ、この船に変わってから沖の作業は5回目なので、いいウォーミングアップですよ。様子を見ながら本操業に合わせて船をいい状態に仕上げていこうと思います」
 ここ猿払村ではホタテ養殖を古くから行っているだけに、漁場管理や人材育成、出荷調整等がすべてシステム化され、乗組員も60歳を迎えると定年となります。堀井英樹さんの父、忠さんも2年前までは舵を握っていましたが、定年となり、今は息子である英樹さんが第一金英丸の船頭を務めています。
 「自分が舵を取るからオリジナルにこだわったんだ」というように従来の<DX-150>とは全く別の型を起こし、14トンフルスケールを実現。従来艇よりも若干V角度をつけ凌波性と安定性を両立する船型に改良されています。またブリッジはプレジャーボートを思わせる内装を施していました。
 「船型も内装も決めることが多くていろいろ悩みましたが思い通りの船になったってようやく実感できるようになりました」
 今年の漁場造成は金英丸にとって本操業前の試験操業的な意味合いも強く、桁の曳き具合やデッキでの作業性など、細かい部分をチェックしながら漁が続けられます。
 「船が新しくなってからは疲れもだいぶ減ったし、走りの強さも安定性もぐっと良くなった。造船では細かいことをいったけど、正直よくここまで仕上げてくれたと思う」
 期待通りの仕上がりに太鼓判を押す英樹さん。本操業では1日平均11トンの水揚げを行うため、港に帰ってからも細部の調整に余念がありませんでした。

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デッキは作業性を重視し、前後とも幅広いスペースが確保されている

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魚探、GPS、ソナーを始め計器がずらりとならぶ

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ブリッジはすべてクロス張り。エアコンも完備されていた

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前デッキの下にある船倉は、20トンまではホタテが収容できるという

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写真中央が船主、堀井英樹さん。その右が父、忠さん

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14tフルスケールを実現した第一金英丸<DX-150B-0A>

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