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藻類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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海苔養殖漁

宮城県鳴瀬町

F115の2基掛けを搭載する第七清勝丸<W-35CF>

宮城県、松島湾の最大の島、宮戸島を中心に大小の島々が織り成す奥松島の景観は、まさに心奪われる一服の絵です。 今回はこの奥松島、鳴瀬川河口近くの北上運河にある浜市漁協で、海苔養殖の準備に追われる鹿野拓洋さんの作業を取材しました。

 鳴瀬漁協から出港するとすぐ目の前が石狩湾。湾といっても太平洋のうねりが押し寄せる外洋です。ノリ養殖の漁場は浜市からは約5分から10分の沖合に広がります。ノリ養殖のイカダは長さ30間(約35m)、幅6尺(約1.8m)を1台とし、1台に6枚の網が張られます。鹿野さんのところでは、100台のイカダを所有し、合計600枚にも及ぶノリ網を管理してます。
 ノリ養殖は、9月のイカダ設置に始まって、9月中旬に種付けをし、ノリの種が網にしっかり根付いたころに、初めに重ね合わせておいた網を一枚ずつにする本殖に展開します。そして11月初旬から成長具合を見計らってようやく刈り取りになり、3月いっぱいまで収穫、4月に撤収になります。
 鹿野さんが主に使用するのはヤマハ和船W-32とW-35CFです。「W-35は今年10月4日に進水したばかりの新艇です。ノリ養殖では、イカダの設置、刈り取り、撤収といった、たくさんの荷を積んだり運んだりする作業に使用します。その他、漁場での細かい作業にはW-32を用いています」と鹿野さん。
 「W-35については、ブリッジをできるだけ後に持ってきてもらうようお願いしました。ノリの刈り取り機械や取ったノリを合計すると8トンにもなると聞いた事があります。ここでの刈り取りは、和船に備えたパイプのフレームで網をたくし上げて、その下に和船ごともぐりこみ、刈り取り機で成長したノリを刈っていく方法。髭剃りみたいなやり方ですよね。進水して間もないので、まだイカダの設置で使用した程度ですが、重荷でもスピードは変らないし、揺れないし、身体が楽だね」とお気に入りの新艇に期待を寄せます。
 W-35CFの進水にあたっては、設計上可能な限りブリッジを後方へ移動したほか、機械などの荷をロープで固定できるようにするためのパイプを船の両舷のガンネル下部に廻したり、同様に舫などを取りやすくするためのパイプを船首部に設け、防舷材などを艤装しました。船外機は4ストローク、F115の2基掛けです。
 「よっぽどの時化で、河口付近に逆波が立っているような時以外は沖に出ます。11月以降は刈り取りですから、朝の5時に出港して、7時30分戻る毎日ですね」
 秋から春まではノリ養殖の最盛期。家では6歳になる菜月ちゃん、2歳の澪ちゃんの二人の女の子のお父さんでもある鹿野さん。わが子との触れ合いが、忙しい毎日のエネルギーになっているようです。

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広々とした前デッキ。船首には舫用の横パイプ、ガンネルと平行にパイプが設けられている

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11月からの刈り取りに備えデッキをスノコ張りにしている最中の<第七清勝丸>で、ノリ網の確認作業には飛び入りで友人も同乗

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<第七清勝丸>の操舵まわり。濃霧時対策用というGPSがある

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鳴瀬川河口に近い北上運河にある浜市漁協の船溜まり

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鹿野拓洋さん(右)と斎藤モータースの斎藤清二さん

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