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55mph - モーターサイクルをカッコよく撮りたい!

モーターサイクルをカッコよく撮る方法をプロカメラマンが指南。ちょっとしたポイントで見違えるような愛車写真を撮れるようになります!

#1 カッコいい「置き」の写真を撮ってみよう!

スマートフォンやSNSの発展により、愛車の写真を撮る機会が大幅に増えた昨今。どうせ撮るならクォリティの高い写真を残しておきたいもの。ここでは、そんなモーターサイクルをカッコ良く撮る方法をプロのカメラマンが指南。ちょっとしたコツを覚えるだけで見違えるような愛車写真が撮れるようになります!

第1回目となる今回は、オーソドックスな「置き」の写真の撮り方を郡 大二郎カメラマンがレクチャー。 実際に作品を撮ってもらい、ロケーション選びや時間などのプロセスや撮影時の注意点などを分かりやすく解説してもらった。 もちろん普段の仕事では一眼レフで撮影している郡カメラマンだが、今回はバイクで持ち運ぶことを想定してコンパクトな機材(コンデジ)で撮影を行った。スマートフォンでも基本的に同様のテクニックで撮影することが可能だ。

講師:郡 大二郎さん

大阪芸術大学写真学科卒業後、(株)八重洲PRセンターを経て1990年よりフリーランスとして活動。自動車やモーターサイクルの専門誌をはじめ、メーカー広告やカタログなども手掛ける。千葉県出身。http://www.dk24ph.com

使用カメラ:ニコン クールピクス AW10

今回は郡カメラマンの私物であるコンパクトデジタルカメラで撮影。クールピクスAW100は耐衝撃、防水といった機能に加えGPSによって位置情報も記録できるのでロケハン用に重宝しているとか。撮影は絞りやシャッタースピードなどをカメラが自動設定するオートモードで行った。
撮像素子:1/2.3型原色CMOS(1602万画素)
レンズ:光学5倍ズーム5.0-25.0mm (35mm判換算28-140 mm相当)

使用マシン:BOLT Cスペック

BOLTをベースに近年注目が高まっているカフェレーサースタイルを与えたバリエーションモデル。アルミ鍛造のセパレートハンドルやバックステップ、専用シートなどによって軽快なイメージを実現。ルックスだけではなく、足周りの仕様も最適化が行われている。

モーターサイクルをカッコよく撮影するためのコツ

01被写体のどこを"活かす"か決めよう

被写体の造形的なカッコ良さを写真で表現したい場合には、まずどの部分が魅力的に感じるかをあらかじめ頭の中で整理しておくといい。ちなみにオートバイは総じて右面の方が絵になりやすい。右からマフラーが出ていることが多いためとサイドスタンドで立てるとマシンが左側に傾くというのがその理由。BOLT Cスペックの場合、空冷Vツインエンジンの"男らしい"造形が印象的だったのでそれを活かしたアングル&シチュエーションを考えた。

左:プログラムオート/焦点距離 18㎜/シャッター速度 1/200秒/絞り値 F4.6 /露出補正 -2段/ISO 125
右上:プログラムオート/焦点距離 25㎜/シャッター速度 1/400秒/絞り値 F4.8/露出補正 -2段/ISO 125
右下:プログラムオート/焦点距離 14㎜/シャッター速度 1/500秒/絞り値 F4.4/露出補正 -2段/ISO 125

02マシンのキャラクターに合ったロケーションを考察する

マシンに合ったロケーションは写真にちょっとした物語を与えてくれる。スクーターなら都市部のカフェ、スーパースポーツならダイナミックなワインディングといった具合に、どんな場所なら愛車の個性を表現できるかを考えよう。普通のBOLTに比べ、少しストリートっぽい雰囲気を感じるBOLT Cスペックには、海や山より、工場や橋など、人工的な構造物が似合うと私は思った。

プログラムオート/焦点距離 14㎜/シャッター速度 1/1000秒/絞り値 F4.4/露出補正 -1.3段/ISO 125

03早朝の光を利用してドラマチックに演出!

早朝の光は被写体をドラマチックに演出してくれる。太陽の位置が低く、光が被写体に対して斜めに当たるため立体感が出やすいのだ。逆光や半逆光によって生じる露出差を上手く活かして撮影しよう。夕日でも同じように撮影することはできるが、クルマや人が少ない早朝の方がやはり撮影条件はいい。また、夕方は時間経過とともに暗くなっていくため焦って撮影をしがち。朝の方が心理的に余裕をもって撮影することができる。

プログラムオート/焦点距離 25㎜/シャッター速度 1/160秒/絞り値 F4.8/露出補正 -1.7段/ISO 125

作品A

構造物を利用して写真に動きを与える

歩行者用のループ橋を広角レンズでダイナミックに入れ込むことによって写真に"動き"を出そうと意図した作品。橋が鉄骨だったこともあってバイクのイメージにピタリとはまった。立体感を出すため車体を半逆光の位置に置き、露出補正機能をマイナス方向に調整して少しアンダー目に撮影。そのまま撮るとエンジン周りのディテールがつぶれてしまったので、強制発光モードでストロボを発光させて撮影している。

プログラムオート(ストロボ強制発光)/焦点距離 5㎜/シャッター速度 1/400秒/絞り値 F7.8/露出補正 0段/ISO -

作品B

壁の質感がオートバイを引き立てる

順光で撮影してしまうと逆光や半逆光に比べ、フラットでのっぺりした写真になりがち。しかし、ロケーションと撮り方を工夫すれば写真にインパクトを与えることができる。作例Bは順光を受けて燃料タンクが光っていたので、そこを基準にして露出を調整。背景を暗く落とし込むことで早朝の空の色や壁の重厚感を強調することができた。ちなみにレンガや木といった質感のある壁は被写体を引き立たせる効果があるので覚えておこう。壁の格子状のラインはまっすぐ見えた方がいいので、ゆがみの大きい広角レンズは避け、望遠側にして撮影した。あえて縦位置で撮影したのはクレーンを入れたかったから。

プログラムオート/焦点距離 13.9㎜/シャッター速度 1/640秒/絞り値 F4.4/ 露出補正 -1.7段/ISO 125

コンデジ撮影はこんな部分に気を付ける

手軽で画質もそこそこ良いコンパクトデジタルカメラはバイク乗りにはぴったり。ただし、コンパクトで機能が制限されている分、上手に使うにはちょっとしたコツが必要だ。

(1)ブレないようにしっかり構える

小さくて軽いカメラはシャッターを押すときにブレやすいもの。構えた肘を膝に当てればカメラをしっかり保持することで手ブレを防ごう。

(2)逆光撮影では手で"ハレ切り"をする

逆光や半逆光で撮影すると、強い光がレンズ内で反射することによってフレアやゴーストが発生しやすくなる。写真が白っぽくなったり、光源とは別に光の輪っかのようなものが写り込む現象だ。こういうときはレンズに直接強い光が当たらないように手でさえぎる、通称"ハレ切り"(ハレーション切りの略)をしよう。あまりレンズに近いと手が写ってしまうので少し離して行う。

(3)露出補正機能を活用する

今回の撮影は使用カメラにマニュアルモードの設定がなかったこともあってすべてオートモードで行ったが、露出補正機能を併用することで表現力を高めている。BOLT Cスペックのような重厚なマシンは逆光や半逆光のような露出差の大きい状況は絶好のチャンス。マイナス補正にしてハイライトを強調すれば立体感がぐっと高まる。

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