55mph - モーターサイクルをカッコよく撮りたい!
モーターサイクルをカッコよく撮る方法をプロカメラマンが指南。ちょっとしたポイントで見違えるような愛車写真を撮れるようになります!
#3 カッコいい「夜景とバイク」の写真を撮ってみよう!
スマートフォンやSNSの発展により、愛車の写真を撮る機会が大幅に増えた昨今。どうせ撮るならクォリティの高い写真を残しておきたいもの。ここでは、そんなモーターサイクルをカッコ良く撮る方法をプロのカメラマンが指南。ちょっとしたコツを覚えるだけで見違えるような愛車写真が撮れるようになります!
都市部に住むバイク乗りならぜひチャレンジしてみたいのが夜の撮影。バイクの立体的でメカニカルなカタチを表現するなら、太陽の沈んだ夜こそ最高の時間帯なのである。そこで今回は"夜のバイク"を撮らせたら業界屈指の腕前を誇る安井カメラマンにそのノウハウを指南してもらった。あくまでもバイク乗りのための写真講座であることを考慮し、外付けストロボなどを使った撮影はあえてやらないようにした。スマートフォンやコンパクトデジタルカメラでも応用できるテクニックがほとんどなのでぜひ参考にしてほしい。
講師:安井 宏充さん
1985年生まれ、東京都出身。東京綜合写真専門学校を卒業後、石井功ニ氏らに師事。モーターマガジンや広告を中心に、Oggi(小学館)などの女性誌でも活動。根っからのバイク好きで、現在まで乗り継いだマシンは、YAMAHA「YZF-R1」や「TMAX」など。
使用カメラ1:一眼レフ&三脚
一般的に夜間の撮影はセンサーサイズの大きいカメラの方が美しい写真が撮れる。遅いシャッタースピードや高感度で撮影をしたときに問題となるノイズ(画面のざらつき)が出にくいからだ。一眼レフ(ミラーレス含む)ならば文句はないが、もしコンパクトデジタルカメラを使うならシャッタースピードと絞り、ISO感度を任意で設定できるマニュアルモードのあるモデルが望ましい。また、手ブレを防ぐためにぜひ三脚も用意したいところ。バイクの場合は持ち運びが問題となるが、コンパクトな機材であれば、写真のような簡易的な三脚でも役目は果たしてくれる。シャッターはセルフタイマーかリモコン、レリーズを使って切る。
使用カメラ2:アップル iPhone 6
近年のスマートフォンのカメラは高感度に強く、手ブレに注意すれば夜景もそこそこ撮れる。このiPhone6は夕暮れやビル街など明暗差の大きい場所でもしっかりとした諧調表現を行うことができるのが特徴だ。
有効画素数:約800万画素 レンズ:5枚構成レンズ f2.2
手ぶれ補正付き
使用マシン:MT-09
低速トルクと高回転での伸びを両立させた並列3気筒エンジンをアルミフレームに搭載するロードスポーツモデル。軽さとマスの集中化を徹底的に追求したスリムな車体は400㏄並の車両重量を実現。ネイキッドとモタードを融合させたスタイリングも魅力だ。
夜のバイクをカッコよく表現するためのコツ
01マシンを引き立てる「光」を探そう
02夜のビル群は恰好の背景
ビルの窓が色とりどりの美しい玉ボケとなって背景に加わると夜らしさが一気にアップする。僕はこういうときに望遠レンズをよく使う。100㎜以上の望遠レンズなら背景がよりボケやすく、主役であるバイクがくっきりと浮き立つからだ。また、望遠レンズは圧縮効果によって被写体と背景の距離を短くする特性があるため、玉ボケを大きくすることができる。バイクの場合はコンパクトで持ち運びやすい高倍率ズームを利用すると良い。
夜だからこそ映えるディテールを切り取る
夜の撮影では光を当てることで強い陰影が出せるため、日中よりも立体感を強調しやすい。エンジンやエンブレムなど、立体的で光を反射しやすいパーツは恰好の被写体となる。またメーターやウインカーといった発光するパーツも夜だからこそ映えるディテールだ。
作品A:一眼レフ
MT-09の個性を構図と色で演出!
上記をふまえて撮影してみたのがこの作品。自分的に右側後ろ斜め45度はバイクをカッコよく見せる"鉄板"な構図。そこを望遠レンズを使って背景のビルを引き寄せて撮影した。ビルをあえて斜めに写しているのは写真に躍動感を与えたかったから。ホワイトバランスはMT-09のサイバーパンク的なキャラクターに合わて青みが強く出るように設定。クールな非日常感をより強調している。ちなみにこの角度からバイクを撮影するときはホイールが見えるよう必ずステアリングを右に切る。まっすぐでもおかしくはないが、ステアリングを切ることでバイクからの主張が一段と強いものになるのだ。
作品B:スマホ
ワイドなレンズを有効に使って撮る
夜のバイクには人工的な構造物の方が相性が良いので、高速道路の高架が背景になるよう下から煽って撮影した。街灯の灯りをエンジンに反射させ、全体をあえて暗めに撮ることで立体感を強調している。スマートフォンのカメラは画角がかなりワイドなため、被写体を浮き立たせるためにはバイクにかなり近付く必要がある。バイクが斜めになっているのは演出だけではなく、こうしないとバイク全体を画面に入れるのが難しかったから。手軽に加工できることもスマホの特徴なので、撮影後、四隅を光量を少し落とすなどの調整を行っている。
おまけ
プロが仕上げるとこうなります!
僕の場合は、ここらからさらに画像調整を行うことでより印象的な写真に仕上げる。といっても高度な合成ではなく、立体感をより強めるために露出やコントラストを調整する程度。最近は無料の画像調整ソフトも多くあるので、興味のある人はコントラストだけでも弄ってみるとより表現の幅が広がると思う。