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刺し網漁

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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スケソウ鱈刺し網漁

北海道噴火湾

噴火湾の冬の風物詩となっているスケソウ鱈・刺し網漁

古くはニシンの漁場として、現在は垂下式ホタテ養殖の日本一の水揚げを誇る北海道噴火湾。 10月から12月にかけては、1年を締めくくるスケソウ鱈の刺し網漁が、200隻ものホタテ養殖船によって行われます。

 八雲町でホタテの養殖を基盤にカレイ、ハタハタ、スケソウ鱈の刺し網漁を営む有櫛薫さん(33歳)は「舵を取って10年のひよっこ」といいますが、父・初男さんのもと、子どもの頃から漁を見続け、漁師としての眼を養ってきました。
 夜も明けきらない、早朝5時。
 「安定性がいいから多少の時化でも出漁できるいい船だよ」というホタテ船独特のデッキレイアウトを持つ第百十七福神丸<DX-97-0A>に乗り、噴火湾内の森沖のポイントを目指し船を走らせます。
 漁は前日に仕掛けておいた網を引き揚げる作業から始まります。浮き玉の竿につけられた旗が目印の刺し網は、ホタテ養殖よりもさらに沖の水深70m~90mあたりに仕掛けられます。テグスの刺し網は網の目を3寸6分(約11cm)、1建ての大きさは800間(約1500m)あります。組合の取り決めにより、1回の漁につき5トン以上の船は6建てまで。5トン未満の船は5建てまでと、刺し網の数が決められています。
 デッキの右舷側に付けられたローラー網を巻き始めると、薫さんが先頭に立ち、ローラーを操作しながら、網に刺さったソケソウを外し、後ろでは義兄の栄二さんが魚の選別を行い、その後ろには母の京子さんが網の整理といように無駄のない効率的な作業が続きます。
 スケソウは7年で約1kgの大きさに成長しますが、漁で獲れるのは5年魚がほとんどとのこと。しかし今年は400~500gの4年魚が多く、例年に比べ細かいと言います。
 「仕掛けるポイントは勘と魚探が頼りですね。噴火湾で生まれたスケソウは外洋で成長し、10月頃になると再び産卵ために戻ってきますが、回遊性の魚だけに一カ所に留まることはないね」
 取材を行った日の相場はキロ70円で有櫛さんも「まずまず」といいます。この日はスケソウやカジカ、最近ではめっきり見なくなったニシンの水揚げもありました。
 早朝から始まった漁は11時には終わり、午後からは養殖ホタテの玉付けを行います。
 「養殖の片手間じゃなくて、やるからにはしっかりやりたい」という有櫛さん。最盛期の噴火湾では200隻弱のホタテ漁船がスケソウ鱈を求めて操業します。

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800間の大きさを持つ刺し網。回収には1時間を要する

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投網は左舷側から、引き揚げは右舷側から行われる

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今年は細かいのが目立つスケソウ鱈。多くが加工用となる

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各種航海計器が並ぶ操舵室

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漁の奥深さがやっと分かり始めたという有櫛薫さん

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第百十七福神丸<DX-97-0A>。ホタテの養殖作業、刺し網など、幅広い漁に対応する力強い走りと優れた安定性が特徴だ

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