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底曳き・桁曳き漁

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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石ゲタ曳き網漁

大阪府岸和田市

大阪湾で行われる石ゲタ曳き網漁は午前5時から始まり午後3時まで行われるハードな底曳き漁

岸和田といえば「ダンジリ祭」。民家の軒先を猛スピードで山車が走り抜ける、勇壮果敢な男たちの祭です。その岸和田市に兄弟で石ゲタ網を行っている加減さんを訪ねました。

 岸和田で漁を続けて3代目。加減仁三郎さんは、弟の良次さんと二人で毎朝5時に出漁します。
 二人が行っている漁は「石ゲタ曳き網漁」。これは岸和田を含む大阪湾独特の漁法で、底曳き網の一種ですが、網の入り口に巨大な熊手のような形をした鉄のツメがついており、その熊手の両端に花崗岩でできた半球状のオモリがついているのが特徴で、この石をつけていることから「石ゲタ網」という名が付いているそうです。
 この石ゲタ網を左舷に3丁、右舷に2丁装備し、一斉に降ろして底曳きを行います。水深17~20mのポイントで1回につき10分から15分ほど曳いてから一斉に揚げる。これを1日で15回以上繰り返します。
 網には、シャコ、エビ、ワタリガニ、カレイなどがかかりますが、選別の作業が終わるとすぐに次の網が揚がるという具合で午前5時から午後3時までの間、息をつく暇もない忙しさが続きます。
 「もう慣れたからね。そっちは見ているだけで疲れてしまうやろ」と良次さんは笑います。
 これまで地元の造船所の船に乗っていた加減さんが<DT-97>に乗り換えたのが、今年の2月。
 「造りがすごくしっかりしている。メーカーの船だから当たり前なんだろうけど、水もまったく漏らない。それに波に対して断然強い。波を押し退けていく力強さがある。以前だったら樽がひっくり返るような波の日でさえ、樽から水がこぼれないんだから」と仁三郎さんは、そのポテンシャルに満足気です。
 「ヤマハの船に憧れていたから。この辺じゃ一番かっこいいんじゃない。みんな乗りたがっているよ」と良次さんもいたくお気に入りの様子です。
 「石ゲタの難しいところは、スピードだね。石ゲタがポンポンとはねるように曳くのがちょうどいいんだ。この船に替えてからは、船とバランスが良くとれているから、操船しやすいよ」
 ハードで知られる石ゲタ曳き網漁。その現場で<DT-97>は加減兄弟をしっかりサポートしていました。

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石ゲタ網漁の様子。左舷には3丁の石ゲタ網が据え付けられ、右舷の2丁と合わせて、計5丁の石ゲタ網を一斉に曳く

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午前4時半、イケスから前日のシャコ・エビ類を揚げ、船から降ろして出航

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これが石ゲタ。鉄製のツメを曳くロープの位置を少し変えるだけで、海底への食い込み方がまったく違ってくるという

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舵輪は中央のコンソールと後部のコンソール、2カ所に設けられている。ウインチもここから操作する

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三代目選手の加減仁三郎さんと弟の良次さん(右)。先代の故清次郎さんは岸和田漁協の組合長を務めた

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<DT-97>は大阪湾の底曳き網用に開発された。バランスに優れた艇体は作業性も良く、岸和田の漁師さんからは人気を得ていた

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