本文へ進みます

底曳き・桁曳き漁

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

MENU

底曳き漁

淡路島津名港

淡路島に進水した『DT-57-0A/吉一丸』は底曳き網漁に特化した5トンフルスケールのニューモデル

大阪湾と瀬戸内海の境に位置する淡路島。 その東海岸中央部に位置する津名町は沿岸ではシラスやノリ養殖、底曳網漁などが盛んに行われている漁業の町でもあります。 その津名町の森漁港に5トン未満最大の船体を誇る底曳漁用のニューモデル<DT-57-0A>が進水しました。

 種付けしたノリ養殖のアミの展開が始まろうとする晩秋の淡路島・森漁港を目指して、近隣の生穂漁港の一角にある西造船のスロープから、大漁旗に飾られた新艇が進水しました。
 「決め手となったのは、DT-57-0Aの大きな船体です。船尾での作業が主ですから、広い作業スペースが確保されている後部デッキと物入れとイケスの充実した57尺の船体は魅力でしたね」
 待ち望んでいた進水式当日を迎え、満面に笑みを称えながらそう語るのは、森漁港で底曵網漁を営む若き漁師・灰野吉一さん(33歳)。ご自身の名を冠した〈吉一丸〉DT-57-0Aは、瀬戸内海の底曵網漁に特化した新型漁船で5トン未満最大のスケールを誇るニューモデルの1号艇です。
 同じ淡路島の中でも津々浦々で操業形態が異なる底曵網漁ですが、灰野さんの属する森漁港では、チン網、アジ網、タイ網、サバ網、ジャコ網など数種の漁網を季節や潮に合わせて使い分けながら行う形態が取られています。
 「朝一番はチン網でヒラメやメイタガレイを1~2回狙って、潮時が来たらタイ網かサバ網に換えたり、ジャコ網でエビやアナゴを狙ったりと、とにかく何度も網を交換するというのがここのやり方なんです」
 出港時間は早朝の3時。出荷の関係上昼頃までの8時間前後という操業で11~13回の網の上げ下ろしを行いますが、多い場合にはその間に4~5回の漁網の交換を行うそうです。無論、その操業形態に合わせた漁網を積んで漁に出掛けるため、その保管スペースが船内に必要となります。
 「このDT-57-0Aなら、船尾だけで11か所のイケスと物入れが確保されていますから、網の交換など作業効率も格段によくなりそうですよ」
 この地域では底曵網での操業は通年可能ですが、森漁港ではノリ養殖漁を兼務する経営体も多く、ノリの摘み取りシーズンには沖のイカダから港までの運搬船として兼用する場合も少なくないため、船首にも7か所あるイケスや物入れなどDT-57-0Aの高い搭載性には、進水式に集まった漁友さんたちの注目を集めていました。

イメージ

ラウンド形状のバルバスバウで凌波性、ハードチャインの採用で安定性を両立

イメージ

従来モデルのDT-50Cより20%広くなった後部デッキ。イケス・物入れスペースも充実、後部に集約することで、底曵網漁での作業性を高めた

イメージ

大型ネットローラーを搭載しても作業空間を確保できるのはクラス最大の船体ならではのゆとりだ

イメージ

全周視覚を確保した視認性のよいブリッジ。〈吉一丸〉はサイドエントランスタイプだが、横一面に横引き扉を配したロングエントランスタイプや後部から出入りするリアエントランスタイプもある

イメージ

進水した〈吉一丸〉の船主・灰野吉一さんは33歳と年齢は若いが漁歴18年のキャリアを有する。「何でも一番じゃなきゃ」との奥様・和恵さんの一言でDT-57-0Aの1号艇への乗り換えを決意、同艇での来春からの操業に期待を寄せる

ページ
先頭へ