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底曳き・桁曳き漁

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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底曳き網漁

大阪府泉南市

船尾から揚げられる網を手早く回収する裕二さん

人工島に造られた関西国際空港の対岸にある岡田浦漁港(大阪府泉南市)を母港に、後舎(ごしゃ)裕二さんと父親の八郎さんは、2012年9月に進水した「裕丸」(DT-57-0A)を駆って底曳き網漁を営んでいます。

 「勤め人と違って、自分のペースで好きなようにできるところがいいんです。ほとんど休みがないような日々ですけど、それはあまり気にならない。海に出るのが楽しいんですね」と笑う日に焼けた後舎裕二さんの顔には、プロとしての誇りがみなぎります。
 後舎さん親子が底曳き漁を始めたのは20年ほど前。関西空港の埋め立て事業が始まる前は、海苔の養殖や穴子のカゴ漁などを行っていましたが、相次ぐ埋め立て事業によって底曳き網漁への転向を余儀なくされたようです。
 毎朝5時半に出航し、お昼過ぎには港に戻って家族総出で魚の仕分けに取り掛かり、2時20分に始まる競りに間に合わせます。岡田浦の底曳き網漁は通年で行われますが、1〜3月にかけてはメイタガレイ、3〜11月はマダイ、6〜10月はハモと、季節によって変化する魚種に合わせて網と漁場を的確に選択することが水揚げのカギを握るといいます。
 岡田浦は大阪という大都市の郊外に位置することもあり、地方の漁師町にありがちな人口の流出という問題とは無縁で、深刻な後継者不足に見舞われたことはないようで、今も20代の若者が元気に漁に出ています。
 「岡田浦漁協では、毎週日曜日には『青空朝市』という一般のお客さん向けの市を開いていています。その他にも地曳き網の体験や、実際に漁船での漁を体験してもらう体験漁業などのイベントを積極的に開催しています」と語る裕二さんは、2012年4月までは岡田浦漁協青年部の部長(現在は事業推進部長)を務めていました。
 こうした漁業体験などを行うことで、漁業をより身近に感じてもらい、漁師という職業のカッコよさや、素晴らしさを一般の人たちに伝えることで、若い漁師さんたちがプライドを持つようになったのではないかと、裕二さんは考えているようです。
 寡黙に、目の前の仕事に黙々と打ち込むというのが昔ながらの漁師気質なのかもしれませんが、その仕事の素晴らしさを外側の世界に発信していくことも、情報社会の現代においては求められる漁師像の一つなのかもしれません。

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中学卒業と同時に迷わず船に乗った裕二さん

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空港島の建設を機に底曳き網に転向。現在は親子で操業している

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父親の八郎さんもまだまだ現役だ

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帰港後はセリの時間に間に合うように家族総出で仕分けにかかる

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裕二さんのDT-57-0Aは底曳き専用船。対岸の淡路島をはじめ各地で注目されている新鋭船だ

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専用漁船として関西地区ではダントツの人気を誇る

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