その他網漁
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
桜エビ漁
静岡県静岡市
桜エビ漁は夕暮れから始まり、多くの場合は1回の水揚げで終わる
春と秋が漁期となる駿河湾の桜エビ漁には由比、蒲原、大井川の漁港に船を置く、約120隻が操業しています。
サクラエビ漁は、駿河湾に接する由比を中心に蒲原から大井川沖までが主な漁場となり、60カ統の許可制に加えて6.6トン未満、速力15ノットの船体制限、さらに操業も船団長の指示によって出港から操業場所まで決めるという徹底した管理型漁業が推進されています。
「この漁は2艘曳きなので1回に約120隻が海に出ていますが、そのほとんどが地元の造船所で建造していますので、今から船を造るとなると2年から3年は待つことになります。そこでヤマハさんに相談したら半年かからないというので、思い切って決めました」
そう話すのは、銀清丸の船主である岩辺嘉夫さん。新艇の建造は地元で行うことが多いだけに、不安もあったようですが、新造船で操業を重ねるごとに船への信頼が高まったと言います。
「自分が最初だったので新造船にはいろいろな不安はあったけど、頼んでみて今では間違いじゃなかったと言えるね。船にとって大切な腰の強さがあるから、走行中の波にも負けないし、作業中の揺れも和らいだ。全体的に見てもいい船だと思うよ」
漁法に関わる艤装品と船をいかにバランスよく組み合わせるかが建造のポイントでしたが、曳き網に対応した走りの力強さと、ワイドな船体で抜群の安定性を発揮するバランスの良さに岩辺さんも確かな手応えを感じているようです。
秋漁の漁期は約2ヶ月間ですが、出漁できるのは20日間ほど。作業は波や風の影響を受けやすく、安全性や資源保護の観点から、気象条件が整わない限りは出港しないそうです。また限られた資源ということで、桜エビの群れが多少大きくても、1日に網を曳く回数は1回から2回までとなっています。
秋漁を終えると3月下旬にスタートする春漁までしばしの休息となる由比港。岩辺さんも秋で掴んだ新艇の能力の高さを春漁でも発揮していきたいと期待を寄せていました。
漁は二艘曳き。寄せた網の中に水揚げ用のポンプを入れて、海水ごと吸い上げる
ポンプで吸い上げられたエビは管を通り、ブリッジ前の仕分け台に運ばれる
鮮度を維持のため、水揚げ後はすぐに漁港へ向かう。活魚としても流通できるように鮮度維持の管理は徹底されていた
デッキ前は桜エビのケースが崩れないようにレールが設置されていた
網をペラに巻き込まないようにプロペラガードがつけられている
由比の桜エビ漁を支える<DT-66C>