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篭壺漁

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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アナゴ筒漁

神奈川県横浜市

港町横浜を背景に今も江戸前のアナゴ漁が行われている

世界に誇る貿易港である横浜港を背景に、今も江戸前の伝統を受け継ぐアナゴ漁が行われています。 筒を使った延縄漁はアナゴ筒漁を呼ばれ、多いときには1回に100kg以上のアナゴが水揚げされます。

 古くから江戸前のネタとして名を馳せた小柴(横浜市金沢区)のアナゴは筒による漁法が主流です。昔は定置網が盛んだったと話すのは斎藤仁さん。かつて浅草海苔を作っていたという仁さんも東京湾の埋め立てにより、自由漁に転向した漁師のひとりで、現在は息子の三樹男さんとお二人でアナゴ筒漁を営んでいます。
 東京湾でのアナゴ筒漁は、6月中旬から8月にかけてが最盛期。取材に伺った日の出漁は午前4時。横浜港の入口に仕掛けた筒を引き揚げる作業から漁は始まります。
 「仕掛けを入れに行くのは前の日の午後2時からです。底曳網との兼ね合いでそれより早くは出漁できません。仕掛けの数については個人によって違います。ウチは親父と二人なので360個ですが、3人乗りの船だと一回に500個近く仕掛けると思います」
 仕掛け自体は延縄と同じで筒は塩ビ管を使用し、長さは80cm、幅は10cm。両方の入口はウケがついているので1度入ったら出られない仕組みになっていて、餌には冷凍のイカを使います。
 「餌は季節によってイワシとイカを使い分けています。昔はイワシがメインでしたが今は4、5月以外はイカですね。漁の仕方も人によってばらばらです。ウチは360個の筒を3つに分けて仕掛けていますが、ひとつの縄で360個の筒をつなぐ人もいれば、二つに分けて仕掛ける人もいます。どちらがいいとかっていうよりも好みの問題ですね」
 その言葉通り2つの仕掛けは横浜港の入口水深約25mの所に、もうひとつは横須賀の沖、こちらは50m近い深さのある場所に仕掛けてありました。
 「漁自体の難しさはあまりない分、肉体的にはハードな漁ですね。今は1日1回で終わりますが、最盛期には最低でも2回は行います。寝る暇もないですし、作業は立ちっぱなしですし、オマケに東京湾は交通が激しいので漁をしている時でも絶えず気をつけてないといけない。辛いといえばそのあたりでしょうね。今もしんどいなと思うことはありますけど、八十近い親父が働いているので弱音は吐けませんよ」(三樹男さん)
 120本の筒が仕掛けられた縄を引き揚げるのには1時間半、すべての縄を引き揚げるのには5時間近くかかります。
 「まわりはいろいろ変わったけど、アナゴを取ることは今も昔も変わらないよ」という仁さん。江戸前の名残りが微かに漂うアナゴ筒漁は東京湾を舞台に一年中行われています。

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餌は冷凍のイカを使う。アナゴは食欲旺盛で1晩でイカ1杯を食べ尽くしてしまうという

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34cm未満のアナゴはこの選別機で篩にかけられ、海に戻される

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選別機でより分けられたアナゴは直接イケスに送り込まれる

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イケスのアナゴ。この量で40kg前後だという

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小さなアナゴを逃がす為、筒に穴が開けてある

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江戸前のアナゴ漁を今も受け継ぐ斎藤仁さん(右)と息子の三樹男さん

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作業性は抜群だという<DY-51>斎仁丸

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