観光船・ダイビング船他
日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。
観光船
北海道室蘭市
噴火湾を快走するベルーガ<FG-160>は、ホエールウォッチングやサーモンフィッシングに大好評
北海道室蘭はイルカやクジラ、シャチなども沿岸近くまで近づくため、それらを観察したり見学したりする絶好のポイントとしても注目されています。 今回は観光船として導入され、船長や乗船客の好評を得ている<FG-160>ベルーガを訪ねました。
ショッピングアーケードにクジラをモチーフにした旗やポスターが飾られていることからも、室蘭は地域をあげてホエールウォッチングを支援している町であることが分かります。
その室蘭で、ホエールウォッチング、サーモンフィッシングを主な目的に営業するKK・エルムの古谷忠雄社長は、同社の新艇として<FG-160>ベルーガを進水させました。
「洋上での見学や冬場での釣りといった使用目的、そして気候的な特殊性を考慮した上での船選びからはじまりました。
安全性を優先しましたので、舷側の高さを始め、視認性に優れたデッキレイアウトやデッキでの事故を防ぐための、お客様の荷物を収納するスペースが必要でした。もちろん客船としての快適性も兼ね備えてなければいけません。寒暖の差がある室蘭ですから、朝夕や気温の低い時には暖房できるなどの空調設備も重要事項でした。そしてそれらの条件をすべて満たしてくれたのが、ヤマハさんの船だったんですよ」
ベルーガが係留されている室蘭港で、その運航責任者である向井利和船長が、現場での評価を話してくれました。
「キャビンを中心にデッキ全周にスペースがありますから、ホエールウオッチングでも釣りでも乗客の位置取りがしやすい船ですね。デッキの座席下の物入れや、デッキ、キャビン内の収納スペースも充分にあって、船内が乱雑にならず重宝しています。
スピードも申し分ないですよ。ホールウォッチングの時は少しでも近くで見ようとするために、お客様はどうしても船首に集まってしまいます。それでもこの船は極端には船首が沈まず、操船も安心してできるんです」
GPS、レーダー、魚探などが並んだコクピットで操船しながら話す向井船長と並んで、操舵室から周囲を眺めると、その視界の良さを実感します。
KK・エルムはホエールウオッチングなどの運航の為に、このベルーガと、エルム<DX-47>、オルカ<FR-46>を加えた3隻を所有しています。ベルーガを導入した98年シーズンは、乗客が前年を大きく上回りました。
「クジラをはじめ、カマイルカやオットセイ、ウミガメにマンボウなど、室蘭の海は多くの生き物達の生活を見ることができます。それらを間近に見せることによって、お客様ひとりひとりの地球環境への意識の芽生えとなれば、やっている甲斐は十分にあります」と話す古谷社長の横顔には、ヤマハ船という良きパートナーを得たことによる手応えと、海と生物を愛してやまない充実感が感じ取れました。
向井船長によれば、シーズン中のイルカやクジラとの遭遇率は95%ぐらいだという
全長19m、全幅4.8mの船体を機能的にデザインされたデッキ
階段状に座席が並ぶ前部デッキ。上部のデッキは、ホエールウォッチングや釣りなどさまざまな用途に応えるレイアウトとなっている
上部デッキ前方に設けられた操舵室は視認性に優れ、操作性も良好だという
室蘭港に並ぶエルム<DX-47>、ベルーガ<FG-160>、オルカ<FR-46>の3艇。室蘭の繁華街からも徒歩で行けるところにある
各船の船長さん。左から平塚船長、木村船長、向井船長