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乗合船・渡船

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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乗合船

神奈川県三崎港

走行性能、釣り機能、どれをとっても文句ナシと評価された第十一佐円丸<FG-160>

遠洋漁業の基地として栄えてきた神奈川県三浦半島の南端に位置する三崎町は、古くから港町としての観光文化を築いてきました。 その三崎町で船宿「佐円丸」の後継者として期待される柳下昌則さんを訪ねました。

 子どもの頃は船酔いが酷くて港を出ることもままならなかったという昌則さんが家業の船宿を意識し始めたのは大学生生活も半ばを過ぎてからだといいます。
 「結構忙しい時期にエンジンが故障して、親父がその修理をしている時に階段を踏み外して膝を脱臼したんですよ。僕はそれまで本腰を入れて手伝ったことはなく、もちろん操船なんて出来ませんでした。そんな時にお客様から『おまえが出ないで誰が出るんだ』っていわれましてね。目が覚めましたよ。何とかしなきゃいけないんだって」
 その日から、操船したこともなければ、仕掛けを作ったこともない昌則さんの挑戦が始まりました。
 「最初はお客様と同行して一緒に釣ることから始まったのですが、釣りをするよりも酔気との戦いでした(笑)。それでも徐々に釣る方が楽しくなってきて、それからですね仕事がまとも出来るようになったのは」
 修行の身だから苦労は耐えない、そんな昌則さんの励みになったのは新たな土地と事務所と新艇の購入という今までにない両親の決意でした。
 「親父のケガから始まって事務所の移転や新艇の購入など若いなりにも自分自身への期待感や責任感を感じましたし、なんとかそれに答えたかった。釣りも好きじゃないし、船も好きじゃない。そんな陸の人間だったのが逆に中途半端にならずに仕事に集中できて良かったのかもしれませんね」
 接客業と釣果が求められる船宿にとって、1番の課題は集客力です。古くから渡船業を営み、釣り船としても老舗の佐円丸さんでもその課題は変わりありません。その理想に近づくため、佐円丸さんではヤマハの遊漁船<FG-190>を採用しました。
 「見た目はクルーザーみたいで釣り船らしくないんですけど1度乗ってしまうと他の船にはないトータルバランスの良さを感じます。釣座のスペースも充分ありますのでお客様にも好評です。ヤマハのオーナーは他の船には乗れないといった意味も納得しました」
 オリジナリティを追求していきたいという昌則さん。自ら手がけるインターネットを使った釣果速報も、釣果に現れないその日の出来事が中心に掲載されていて、他の船宿の釣果中心とは一線を画します。
 「他の船宿さんと同じ事をするより、それなりのリスクがあっても新しいものに取り組んでいたいですね。難しいけど、やりがいがあった方が仕事に張りがあっていいですよ」
 「人も魚も好きです」と笑顔でいう昌則さんは、一人前の船頭としての誇りが漂っていました。

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人が座れば座るほどその広さを実感するという釣座スペース

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船室はシンプルにまとめられている

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お客様を楽しませるために。操舵席は各種の航海計器がフル装備されていた

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家族の団結がなければ船宿の経営はできない。写真中央右が父、竹治郎さん

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船上はもちろんのこと、事務所での仕事も多忙を極めている柳下昌則さん

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遠洋漁業の港として知られる三崎港も沿岸漁業はサバ船が中心

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