本文へ進みます
サイト内検索

船体や艤装

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

MENU

船の重量と省エネについて

大漁ニュース 第48号掲載

 艇体の抵抗についてはこれまでも何回か触れていますが、今回は「排水量と抵抗」について考えることにしましょう。
 船は排水量型と滑走型に大きく分かれます。現在のFRP製小型漁船は艇体重量の軽量化に努めると同時に、その船型を滑走型に近づけることで、スピード性能の向上が図られてきたことはご存じの通りです。

 船が決定された段階では、どのようにこれを使用することが省エネルギーに有効なのか?言い換えれば、どのようにすればより速い船とすることができるかについて考えてみたいと思います。

 船の性能を推定する際に、私どもはBHP/WとV/√Lという数字を代表として利用することがあります。


BHP:最大出力の馬力 W:排水量(トン)
V:船速(ノット) L:水線長(フィート)


 いま船が決まるとBHP/WとV/√Lの関係がほぼ決まってしまいます。こうした中で船速を上げるためにはBHP/Wの値を大きくする必要があります。BHP/Wの中で馬力はエンジンが決まってしまうと動かすことができませんので、残るはW(排水量)ということになります。

 重量に関することは船に限らず飛行機などでも同様で、たとえば飛行機の場合は床に敷く絨毯や機体の表面に塗る塗料をより軽量化したものを使用して重量を削減しています。もちろん漁船でもこれらのように軽量化に対する研究や努力が積極的に進められ、初期のDYタイプ46尺クラスの艇体重量は3.8~4.2トンぐらいありましたが、現在のDY-46Dでは、約3.2トンと大幅に軽量化されています。

 ところで、設計段階における軽量化と同様に大切なのが、艤装時における重量配分の認識です。いくら軽量化された船を購入しても、漁労機器などの艤装により完成した船が非常に重くなっているケースもよくあります。
 艤装を施す場合には、ぜひ排水量のことを考慮してください。漁労機器の選択から艤装作業によってはスピード性能や燃費性能に大きな差が生まれることも、頭に入れておきましょう。

 例として、ある船の重量と馬力、スピードの関係を見てみましょう。

<図1>

イメージ

 このような船があったとします。もっとも軽い状態の3.8トンから0.7トン毎に線があります。5.2トンまでのスピードの低下は1ノット程度ですが、最も重い5.9トンでは2ノットの低下が見られます。つまりこのような船では5.2トンぐらいまでで使用することが望ましいということがわかります。
 一概に軽量化=省エネとは言えませんが、機器の重量配分や燃費に気を遣えば、少ないエネルギーで効率よく運転ができるようになります。みなさんももう一度自分の船の艤装やエンジンを見直してみましょう。


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

ページ
先頭へ