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一本釣り

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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アジ・サバ手釣り漁

大分県佐賀関

竿を使わない手釣り漁。この漁法が佐賀関ブランドを支えている

関アジ・関サバといえば、その知名度の全国区。豊後水道の荒潮に揉まれたアジ・サバは釣りによって釣れた魚のみ「佐賀関ブランド」称号が与えられます。 今回はこの関アジ・関サバの<トバシ漁>と<手釣り漁>をレポートします。

 <DY-34B-0C>で漁場に向かう信盛丸の船主、浜田信義さんは、関アジ、関サバを追い、潮の流れが激しい豊後水道を目指します。
 「この船は取り回しが抜群に良くて、足も速い。多少遅く出てもみんなより先につくことができるし、燃料も他の船に比べたら2/3程度ですむから、ほんとうに出来がいいんだ」
 信盛丸に絶対的な信頼を寄せる浜田さんが最初の縄を落としたのは日が昇る直前、午前6時前のことでした。
 「こちらではトバシといって、150mぐらいの縄に一尋半づつの枝をつけて、ダマシ(疑似餌)で釣るものです。サバだと80-100m前後、アジだと140mぐらい。棚の取り方で腕の善し悪しが出る漁なんですよ」
 枝糸の数はおおよそ100本。縄を入れてからは、魚探と航跡を見ながら、半クラッチの状態で縄を曳いていきます。途中所々で縄を手に取り、魚の掛かり具合を確かめます。
 おおよそ15分ほど曳いたところで、最初の縄上げが始まりました。海面を見ながら、ローラーを用いて素早く縄篭へ回収する間も魚探を確認し、サバとアジの群を探し続けます。
 「この漁は朝と夕方が勝負の釣り。一日の量は、だいたいこの時間で決まってしまうから、気が抜けませんよ」
 縄を回収し終えるとすぐに次の場所に船を走らせ、縄を落とします。場所は愛媛・佐田岬と大分・鷹島のちょうど中間。僚船の数も多く、目視で確認できるだけで50艇前後がこの海域で操業しています。
 「アジ・サバの基本は潮が読めること。一番いいのが14日(旧暦)の潮なんだけど、今日は11日の潮と言ってそれほどいい潮ではない。潮の流れで漁場が読めることが、この漁で最初に覚えることです」
 この日は、漁を始めてから、わずか2投目にして早くも当たり始めました。「上手く当たったね」魚釣りが好きで漁を始めた浜田さんの、最も好きな時間がやってきたようです。
 「やっぱり手釣りでやるのが一番楽しいよ。魚の引き具合を確かめながら、釣り上げる。これがあるからやめられないんだよ」
 トバシで当たりがなくなると、浜田さんはすぐさま場所を移動し、手釣りの場所に移動させました。
 「今度は船で曳かないでスパンカーで流して釣るやり方。サバよりもアジを狙うやり方です。とはいっても基本的には手釣りだから、瀬に錘を取られないように、棚を取ることが大切です」
 縄を入れ、流しては移動させて、の繰り返しで、漁が終わったのは午後2時。潮が良ければ夕方まで、沖での作業が続くと言います。
 ブランド品として全国的に有名な佐賀関の関アジ・関サバ。この魚を追う手釣り漁は一年を通じて、この豊後水道で行われています。

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作業はすべて後部デッキで行われる。トバシの場合はローラーを使用する

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船を流しながら、魚体に傷をつけないよう手際よく引き揚げる

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この日は「まずまず出来」という浜田さん。半日で50尾以上の釣果だ

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釣り上げた魚は寄港後、漁協のイケスへ移され一日の作業が終わる

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ヤマハの船に乗ったのがきっかけで、沿岸に転向したという浜田さん

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