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貝類

日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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ホタテ地蒔き養殖

北海道尾岱沼

「八尺」と呼ばれるホタテ漁の桁網。昔は桁の幅が八尺(約2.4m)だったことに由来する。現在は十尺以上とも言われる

知床半島と根室半島の間に、オホーツク海に向かって突き出たかぎ針状の野付半島は、延長28kmにおよぶ日本最大の砂嘴(さし)。この巨大な砂嘴を形成したオホーツク海を流れる強烈な潮流は、この半島の周辺に豊かな漁場を創り出しています。

 「野付」とはアイヌ語で「アゴ」の意で、大きく湾曲した半島の形状が人のアゴに似ているところから名付けられたもの。一年を通じて漁が営まれていますが、中でも盛んなのが秋鮭の定置網とホタテの桁曳き漁です。6月から準備を始め、9月に網入れ、11月中旬まで続く秋鮭の定置網に対し、ホタテ漁は12月1日~6月末日まで行われます。
 この根室海峡で行われているホタテ漁は、稚貝を放流して育てた後に収穫する「地蒔きホタテ漁」です。網走や羅臼などから買い付けた500円玉ほどの大きさの稚貝を毎年3~6月の間に放流し、十分な大きさに育った4年後に桁網漁で収穫するというサイクルで行われています。根室管内で操業する5単協は、管内の海面を碁盤の目のように細かく区切って、4年前に放流した区域だけで操業が許可されるというシステムになっています。
 「水揚げでは他のところに負けてるけど、ホタテの粒の大きさでは北海道一」と胸を張るのは、この地で4代にわたって漁業を営んでいる木村雅之さん。
 野付漁協では、水揚げされたホタテは全て漁協がプールして市場に出すというシステムが採られています。ホタテ漁を操業する漁船は全て漁協がチャーターするという形で、漁船のオーナーはそのチャーター料として報酬を受け取るというもの。多少の歩合は乗るものの、ほとんど均一の給料制となっています。
 「もちろん、一生懸命やる人もいれば、そうでない人もいる。でも共同でやってるんだから、思いやりの気持ちが根っこになければ成り立たない」(木村さん)。
 どこの海域で操業するかは、漁協によって割り振られます。この日〈拓洋丸〉が操業した海域は、オニヒトデが大量に繁殖していて、網に掛かるのは9割以上がヒトデという異常事態。「このあたりはずっとこんな感じだね。でも、ここは来年稚貝を蒔くところだから、ヒトデ駆除の意味もあるんですよ」と、〈拓洋丸〉に乗り込んだ5人は黙々とヒトデの入った網を揚げていました。これも、プール制というシステムで支えられているからこそ、安心して操業に専念できるのでしょう。

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網に掛かったヒトデは全て漁港に持ち帰り、飼料として再処分される

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粒の大きさでは北海道一と言われる野付のホタテ貝。旨味が凝縮された貝柱は天下一品

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計器まわりを黒で統一して視認性を上げている

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GPSにインプットされたホタテの漁区。1つの区画は500×1500m。GPSが無かった頃は、ブイで区切られていた

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5人で共同所有する〈拓洋丸〉。前列右から船頭の木村雅之さん、北島和治さん、木村忍さん、後列が富崎雅人さん

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毎朝4時過ぎに出航する〈拓洋丸〉

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