本文へ進みます

「乗らずに学べるバイクレッスン」トランスミッションの構造と役割を知ってシフトチェンジのコツをつかもう!

2026年1月28日

こんにちは、ヤマハ発動機販売の城です。
今回の「乗らずに学べるバイクレッスン」は、トランスミッションの役割と構造、作動について知ってもらい、その上でシフトチェンジのコツをおはなししたいと思います。
◆トランスミッションとは?
名称は聞いたことがあると思いますが、エンジンが作り出した動力を効率よくリヤタイヤに伝えるための変速装置です。
バイクのトランスミッションは、主に2つのタイプに分けられます。
①マニュアルトランスミッション
M/Tと表現されることが多いです。クラッチレバー、シフトペダルが装着されており、自分の意志でギヤを選択しながら走行します。操作にコツと慣れが必要ですが、バイクを操る醍醐味を味わえます。

マニュアルトランスミッション

②オートマチックトランスミッション
A/Tと表現されます。クラッチレバーは無く左手はリヤブレーキとなっています(例外あり)。
自動変速機構が装着されていて、スロットルを回せばスピードに応じて変速していきます。
速度調整はスロットルとブレーキのみなので、操作がシンプルで運転に集中しやすいのが特徴です。
また、従来のM/Tではライダーが行うクラッチ操作やシフトペダルの変速を、モーターが代わりに行う「Y-AMT」という新機構も登場。
マニュアルトランスミッションをベースにした構造ですが、クラッチとシフトチェンジが自動化されているため、分類上はオートマチックトランスミッションに含まれます。
※Y-AMTイメージ

Y-AMTイメージ

今回は①のマニュアルトランスミッションについておはなしします。
◆トランスミッションの役割
トランスミッションは変速機とも呼ばれ、速度や傾斜(エンジン負荷)に合わせてギヤの大きさを変えることが主な役割です。
公道は市街地から高速道路、峠道など様々です。力が必要な発進、加速、登坂、スピードが必要な高速道路など、これら様々な道に対応するため変速機が必要です。
ギヤ付きの自転車に例えると、発進時や坂道を登るときはペダルが軽く回るがスピードが出ないギヤを選択します。バイクで言う1速2速の状態です。

バイクで言う4速、5速の状態です。


逆に平坦路や下り坂はペダルが重くなるがスピードがでるギヤを選択します。バイクで言う4速、5速の状態です。

トランスミッションの役割


限られた人力をギヤ比の変更で様々な地形やスピードに対応している所は、バイクと同じです。

◆トランスミッションの構造
バイクのトランスミッションはどのような構造になっているのでしょうか?
図解を見ながら解説していきましょう。
エンジンからの力が伝わるメインアクスル(アクスル≒軸)と、リヤタイヤへ力を伝えるドライブアクスル、この2本のアクスルに5速であれば5枚+5枚の計10枚のギヤで構成されています。
※4速→8枚 6速→12枚
そこに3種類の異なる動きをするギヤが装着されています。

そこに3種類の異なる動きをするギヤが装着されています。


①固定ギヤ(緑)
メインアクスル、またはドライブアクスルに固定されていて、左右に動かず常にアクスルと一体で回転するギヤです。
②スライドギヤ(紫)
メインアクスル又はドライブアクスル上を左右に動く事ができるギヤです。左右に動けますが回転方向はスプライン(溝)によってアクスルに固定されているため、常にアクスルと一緒に回転しています。
③フリーギヤ(青)
左右には動かず、回転方向はフリーに回るギヤです。
固定ギヤ、スライドギヤの隣とギヤが噛み合う相手は必ずフリーギヤとなっているのが特徴です。

下図のように、スライドギヤとフリーギヤには爪と、爪が噛み込む穴(または爪)が設けられており、左右に動いたスライドギヤが噛み合うことでギヤ同士が連結する仕組みになっています。

左右に動いたスライドギヤが噛み合うことでギヤ同士が連結する仕組みになっています。


また、スライドギヤには シフトフォーク という部品が取り付けられています。
ライダーが シフトペダルを上げ下げすると、シフトドラムが回転し、その動きによってシフトフォークが左右に動きます。
結果、シフトフォークに連結された スライドギヤが左右にスライドし、隣のフリーギヤと噛み合うことで変速が行われます。

隣のフリーギヤと噛み合うことで変速が行われます。


◆トランスミッションの作動
次にシフトチェンジの際に各ギヤがどのような動きをするか見てみましょう。


トランスミッションの作動

シンプルな4速のトランスミッションで説明します。
先ほどと同様にギヤの種類ごとに色分けしました。
・固定ギヤ(緑)・スライドギヤ(紫)・フリーギヤ(青)
エンジンからの動力がメインアクスル→各ギヤ→ドライブアクスル→リヤタイヤの順で伝わっていくのがイメージできると思います。
はじめにニュートラル状態をみてみましょう。


はじめにニュートラル状態をみてみましょう。

・スライドギヤ(紫)は、どのフリーギヤ(青)とも噛み合っていません
・固定ギヤ(緑)とスライドギヤ(紫)はアクスルに固定されているので、エンジン回転に合わせて一緒に回っています
・フリーギヤ(青)は噛み合っていないため空転しています
・結果、メインアクスルは回っていてもドライブアクスルに動力は伝わりません
停止時やエンジン始動時などは、ニュートラルに入っている事が多いです。

次に1速に入れたときの動きです。


次に1速に入れたときの動きです。

・1速はメインアクスル側の緑の固定ギヤと、ドライブアクスル側の青のフリーギヤです
・シフトペダルを下げると、ドライブアクスルのスライドギヤ(紫)が右へ移動し、1速フリーギヤの爪と噛み合います
・これにより、今までフリーだった1速ギヤがドライブアクスルと同軸で回転するようになります
・結果、メインアクスルからドライブアクスルへ動力が伝わります


2速はメインアクスル側のスライドギヤ(紫)とドライブアクスルの青のフリーギヤです

・2速はメインアクスル側のスライドギヤ(紫)とドライブアクスルの青のフリーギヤです
・シフトペダルを操作すると、ドライブアクスルのスライドギヤ(紫)が左へ移動し、2速フリーギヤの爪と噛み合います
・これにより、今まで空転していた2速フリーギヤがドライブアクスルと同軸で回転するようになります
・結果、メインアクスルの2速スライドギヤからドライブアクスルの2速フリーギヤへ動力が伝わります


3速、4速も同様に、スライドギヤ(紫)が左右に移動してフリーギヤ(青)と噛み合い

同軸で回転することで動力が伝わります。

3速、4速も同様に、スライドギヤ(紫)が左右に移動してフリーギヤ(青)と噛み合い、同軸で回転することで動力が伝わります。
単純な動きですが、これを考えた人はすごいですね!スペースの少ないバイクのために、なるべくコンパクトで効率よくシフトチェンジするために開発された機構だと思います。

◆ギヤチェンジをスムーズに行うには?
トランスミッションの構造と作動についてなんとなくわかったところで、どのような操作をすればギヤチェンジがスムーズにできるのかを考えてみましょう。
ギヤ同士は爪が噛みこむ事で動力を伝えていると前項でお話しました。
この爪同士は動力が伝わっている時は、強く押し付けられることによって簡単に抜けないように工夫されています。
ギヤチェンジする際はこの爪を外して次のギヤへ新たに噛みこませるという動作が必要になります。
皆さんはギヤチェンジ(シフトアップ)する際に3つの操作を行うと思います。
①スロットルを戻す
②クラッチを切る
③シフトペダルを上げる
この3つの操作はなるべく同時に行うのが理想ですが、その理由を説明します。


ギヤの爪同士が嚙み合った状態です。

ギヤの爪同士が嚙み合った状態です。
走行中はエンジンの出力がギヤを伝わってリヤタイヤを駆動しているので、爪同士が強く嚙み合っています。次にスロットルを戻すとどうなるでしょう?


爪は一旦離れますが、エンジンブレーキ状態となるとリヤタイヤの回転>エンジン回転となるので再び爪同士は強く噛み合ってしまいます。

爪は一旦離れますが、エンジンブレーキ状態となるとリヤタイヤの回転>エンジン回転となるので再び爪同士は強く噛み合ってしまいます。
クラッチを切れば多少噛み合いは弱くなりますが、この状態でシフトペダルを操作しても強く噛み合った爪はなかなか外れません。
これを避けるためにはスロットルを戻した瞬間、エンジンブレーキがかかる前にシフト操作を行うと、軽く爪が外れ次のギヤにシフトする事がわかります。ふわっとトスする感じです。
トランスミッション内部ではこのように爪が浮いた状態となっています。


これらの操作を実践するためには、シフトアップのタイミングで先行してシフトペダルの下に足を動かし

これらの操作を実践するためには、シフトアップのタイミングで先行してシフトペダルの下に足を動かし、スロットルを戻す(クラッチを切る)と同時に、シフトペダルを上げる事がポイントになります。

逆にシフトダウン時は減速中なのでスロットルは戻っています。
エンジンブレーキがかかっているので噛み合う方向が逆となり、スロットルを開けると爪が外れるという事になります。
ベテランライダーがシフトダウン時に、ボンッと一瞬回転を上げると同時にギヤを下げている操作を見たことがある方もいると思いますが、あれはギヤの噛み合いを一瞬緩めるという意味があります。(回転を合わせる意味もあり)

◆ギヤが入らない時の対処法
例えば2速走行中に信号待ちなどで停止した後にシフトペダルを踏みこんでも1速に落ちない、クラッチは切っているのになかなかギヤが入らない・・・この様な経験は有りませんか?
トランスミッションの中ではこのようなアクシデントが起こっています。


爪と爪、または爪と穴が噛みこんでギヤが入る構造上

爪と爪、または爪と穴が噛みこんでギヤが入る構造上、止まった状態で爪同士がぶつかってしまうといくらシフトペダルを操作してもギヤは入りません。
これを解消するには、
①バイクを前後どちらかに動かす
②クラッチを少しだけ繋ぐ
こうすることでドライブ側、またはメイン側のギヤが少しだけ回り、爪同士の位置がずれてギヤが嚙み合うようになります♪

いかがでしょうか?
すこし難しい所もありますが、普段見る事の出来ないトランスミッションの動きを知る事ができたと思います。構造を理解したところでシフト操作のイメージをつかみ、スムーズなギヤチェンジができると良いですね!

ヤマハバイクブログ
乗らずに学べるバイクレッスン


2026年1月28日
ページ
先頭へ