ウェーブランナー(水上バイク)ツーリングを楽しむワンポイントアドバイス
マナーとともにスピード感覚や波への対処の仕方など、ツーリングに必要な知識とテクニックをご紹介します。
水上バイク(水上オートバイ)ツーリングに必要な知識とテクニック
ツーリングには、普段のランディングとは違った知識やテクニックが必要です。
最近の水上バイク(水上オートバイ)は時速80キロ程度まで瞬時に加速します。この速度で長い距離を走航すれば、体力と集中力の低下から、思わぬトラブルを招きかねません。長い距離を走航することができる巡航速度を心がけましょう。
マナーとともにスピード感覚や波への対処の仕方などを十分に身につけた上で、ツーリングを楽しみましょう。
ツーリング時の姿勢とポジション
ランディング時の姿勢
シッティングタイプの場合でも、ランディング時の「良い姿勢」というものがあります。前屈みになって少しぐらい風の抵抗を減らしても、スピードには
ほとんど影響しません。
それよりも、姿勢を低くすることによって視界が狭まり、周囲の状況が見難い危険な乗り方となってしまいます。また、肩や腕に力を入れ過ぎた状態だと操作・反応が遅れることにつながるとともに、疲れがたまり、安全上も問題があります。まずは正しい乗り方を覚えてください。
ランディング時のポジショニング
ツーリングの先導役は走り慣れた人が務める場合が多いと思いますが、後続で走航するのにもちょっとしたノウハウがあります。
例えば、先導艇がカーブを大きく回った後、後続艇が近道しようとして小回りしていくと、浅瀬や障害物に激突してしまうことが考えられます。
せっかく先導艇が安全なルートを走っても、後続艇がルートから外れて走行しては何の意味もありません。
基本は先導艇のルートを辿ることですが、水上バイク(水上オートバイ)の場合には、航跡の真上(先行する艇の真後ろ)は泡が多く走りにくいものです。したがって後続艇のベストポジションは、「先航艇のウェイキ(引き波)の中で、かつ航跡の真上を避けた位置」となります。
波への対応
波のある水面を走航する際、バウが水面に突っ込んだり、ポンピングを繰り返しながらでは、走り辛いものです。この場合は、チルト(トリム)機構を使います。最近のモデルには装備されている機構で、ジェットノズルの角度を上下に変えることで、マシンの走航状態を変化させるシステムです。
体重の重い同乗者を乗せた場合など、バウが持ち上がってしまうのを抑える時は、チルトを下げます。
逆に、波が高くスプレーをかぶって走りにくい時などは、マシンが波に突っ込みにくくなるようにチルトを上げてバウを持ち上げるようにします。それによって比較的走りやすくなります。
ビーチへのランディング
ビーチへのランディング
ランディングのマナー
ジェット推進の水上バイク(水上オートバイ)は「水深の浅い所でも航行できる」という特長がありますが、勢いよく砂浜に乗り上げて行くのは危険です。
ビーチにいる人に危険が及ぶだけでなく、水上バイク(水上オートバイ)も吸水口から砂や小石を吸い込んで、インペラを傷つけることとなります。
波に考慮する
ビーチへの着艇で最も考慮しなければならないのが、波です。
基本的には波の打ち上げているようなビーチに着艇しないことですが、やむを得ない状況では、波と垂直にビーチにアプローチすることが大切です。波を横から受けると波に巻き込まれてしまいます。
波打ち際でのアンカリング
ボートを留めておく方法
水上バイク(水上オートバイ)を波打ち際に置いておくと、吸水口やジェットノズルから、波で巻き上げられた砂や小石がポンプ内に入ってきます。ビーチングの際には完全に陸に引き揚げておくことが望ましいのですが、人数が少ない時などは難しいかもしれません。
このような時には水上バイク(水上オートバイ)のスターン側からアンカーを投入しておき、波打ち際より少し深い所にマシンを停められるにアンカーロープの長さを調整します。
このままでも波によってバウは岸に向くはずですが、可能であれば、バウ側にもロープを取り付けて陸の石や木などに結んでおくとより確実です。
桟橋へのドッキング
進出距離の把握
ドライバーは下記の状況を瞬時に判断し、適切な操船を行わなければなりません。
マシンやスピードごとの進出距離
水上バイク(水上オートバイ)の場合、フルスロットルで走航している状態からエンジンを停止し、完全に行き足がなくなるまでに100m近くもの距離が必要です。この距離感がわからないと、スピードに乗ったまま桟橋に追突したり、マシン損傷の原因になります。自分のマシンのスピードごとの惰性や進出距離をしっかり把握しておく必要があります。
乗員の数による進出距離
惰性での走航距離は、乗員の数によっても変わります。乗員数が多い時には体重の分だけ沈み込んでいるので、吃水(船の最下面から水面までの距離)が深くなります。つまり水中の抵抗が大きくなり、惰性での進出距離が短くなるのです。
風や流れの有無による進出距離
風や流れの有無によってもその距離は変化します。
ドッキングの手順
一般的な桟橋へのドッキング
風や流れの影響がほとんどない場合のシッティングタイプの着岸方法は、イラストの通りです。
- ① 桟橋には20~30度くらいの角度で接近し15~ 20mくらい手前からはアイドリングスピードで進みます。
- ② 着岸点の3~4m手前で桟橋の反対側にハンドルを切り、エンジンを停止。
- ③ ハンドルを切ることによってマシンを振ることと、20~30度の角度をつけて接近している遠心力の作用で、桟橋の方に寄せられていきます。
- ④ あとは惰性で桟橋と平行になり、着岸完了です。
RiDE搭載機種でのドッキング
最新の水上バイク(水上オートバイ)であれば、画期的なコントロールシステム「RiDE」を搭載しています。
RiDEでは、「走る・曲がる・減速する・後進する」を直感的な操作でコントロールすることが可能なため、風や流れがある桟橋へもに驚くほど安易に着岸できます。
「RiDE」でコントロールした桟橋へのドッキング