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日本全国津々浦々で行われている沿岸漁業を漁法別にご紹介します。

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船型要素の決定手順・その(1)

大漁ニュース 第111号掲載

■計画初期段階での性能予測
 船の性能を予測するにはいろいろな法則があります。新しく開発しようとしている船と類似した船のデータが数多くある場合には、それらを参考にして、船の主要寸法や目標重量、重心位置などを設定することで、比較的精度の高い結果が得られます。
 しかし、既存の艇種よりも大きい船の計画や全くデータのない船を計画するときには、艇体の主要目の決定が性能に影響するだけに、なるべくいろいろな角度から検討する必要が出てきます。
 計画初期の段階では過去に発表されたさまざまな資料の特徴をにらみながら、そのうちのいくつかを利用して、そこから得られた推定値を参考に仕様を決定していくことになります。
 最も多く利用されるデータは「軍艦カーブ」と呼ばれるカーブです。このカーブは図からも分かるように、長さ(水線長)、スピード、抵抗、排水量の4つのデータで整理したものです。必要なデータの項目が少ないので、それだけ利用も容易です。
 しかしその反面、使用されている項目が少ないだけに、カーブの中に条件が類似しているデータがプロットされているものを使用しないとカーブのどの位置で読めばいいのか判断できないという難しさがあります。

イメージ

■軍艦カーブの読み方
 まず最初に、これはあくまでも例であることを頭に入れておいてください。(実際に使用する数値は、その時々で異なります)
 図は縦軸が速長比=V√Lで示されています。〈V=速度、L=水線長(フィート)〉。1フィートは0.3048mですからほぼ1尺に近い値と言えます。
 この速長比が同じで、船型を掃除していれば走り方も同じようになると考えられます。
 例として49フィートの船が30ノットで走るときの速長比は30/√49=30/7=4.286となります。
 この船と相似型で36フィートの船の場合、√36=6となり、49フィートの船が30ノットで走るときと同じ状態は4.286×6=25.7ノットで走るときとなります。  一方、図の横軸はBHP/W(トンあたりの馬力)が示されています。つまり排水量1トン当たり、何馬力のエンジンを搭載しているのかを示し、どの程度の馬力が必要なのかが解ります。
 先ほどの49フィート、30ノットの速長比は、4.286ですから縦軸で4.286を見てそのまま横方向に辿ると、まずDISPT TYPE(FINE)のカーブにぶつかります。
 この時のBHP/Wは46.5ですから排水量が6トンとすると、必要馬力は46.5×6となり279馬力になります。さらに右の方へ行くとV TYPEのラインにぶつかり、BHP/Wが56.0ですから必要馬力は56.0×6、336馬力となります。
 同様にしていくと必要馬力はいろいろと求めることができますが、問題は、計画している船がどのラインの近くにあるのか判断しなければならないことです。そのためには、似たような船型がこのカーブのどの辺りに位置するのかといった情報が必要です。その情報を基にFINEの線上とかFINEとGOODの中間というように判断します。
 また、この図から言えることはBHP/Wが同一で相似船型ならL(水線長)の長い方がスピードがでるということです。しかし、実際には同じBHP/Wと各ラインの離れ具合から計画艇の各ラインの離れ具合を推定して、船測を予想することになります。


※「設計室だより」は大漁ニュース掲載号の原稿を掲載している為、内容がお客様の船に合致しない場合がございます。漁船、エンジン、艤装品の詳細については必ず最寄りの販売店にてご確認をお願いします。

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