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Audio System by Yamaha:開発ストーリー

Audio System by Yamahaの開発ストーリー紹介ページです。

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DEVELOPMENT STORY
海の上でも変わらぬ音楽を届けたい。
Story Image

音による感動を届けたい。その信念のもと
苦難の末、完成させたWaveRunner搭載スピーカー。
当時を知る5人のメンバーに開発時のエピソードを語ってもらった。

Profile

Yamaha corporation
  • 山木 清志 山木 清志 ヤマハ株式会社
    電子デバイス事業部
    CX推進部
    技術開発グループ/サウンドデザイン
    入社後、半導体の LSI 設計・評価の仕事を担当。その後、1999年頃にブームになった携帯電話用の着メロの音源プロモーションをきっかけに、徐々に音を作り出す側の仕事にシフト。現在は車載オーディオをはじめとした、オーディオの音作りをメインとして担当。
  • 小野 俊幸 小野 俊幸 ヤマハ株式会社
    電子デバイス事業部
    技術部
    スピーカー開発グループ
    ヤマハには2020年にキャリア入社し、前職含めると自動車向けスピーカー等の開発に約25年携わる。現在は WaveRunnerをはじめとしたヤマハ発動機向けの案件、その他アミューズメント向けのスピーカーユニットの開発をチームリーダーとして担当。
  • 緒方 宏至 緒方 宏至 ヤマハ株式会社
    電子デバイス事業部
    営業部
    調達グループ
    入社後初めての仕事として、世界最大容量(当時)のチタンヘッドゴルフクラブEOS Ti-22の開発に携わり、その際ヤマハ発動機と共同で技術検討に関わった。その後、現在の調達グループにて車載用のスピーカーの生産技術、工程設計をチームリーダーとして担当。
Yamaha Motor
  • 鈴木 正吉 鈴木 正吉 Yamaha Motor Manufacturing
    Corporation of America
    入社以来、ヤマハ発動機にてWaveRunnerの電装部品の設計に従事。2021年から本オーディオ製品の開発に関わる。7月1日からYamaha Motor Manufacturing Corporation of America (YMMC) にて開発担当として赴任。
  • 松本 千宏 松本 千宏 ヤマハ発動機株式会社
    企画戦略部
    商品戦略グループ
    開発部門を経て、WaveRunnerのエンジン設計部門へ異動。その後、アメリカにWaveRunnerの商品企画担当として赴任、現在も本社にて商品企画を担当。

所属・肩書きは取材時のものです。

01 開発のきっかけ

なぜヤマハ発動機のボートには、ヤマハ株式会社のスピーカーが搭載されていないのか?

Starting Development Image

松本:
十年ぐらい前から、アメリカ市場でのトレンドに合わせてアクセサリーとして後付けオーディオを販売してきました。その後、純正部品として装着するように移行してきましたが、企画としてもお客様のニーズに合うより良いオーディオを開発したいという思いがありました。

鈴木:
当社としては、2021年のモデルから純正装着をしたモデルを販売してきました。その2021年モデルの時にも、実はヤマハ(株)様に開発の打診をしていました。当時はWaveRunnerへの高い信頼性要件と、コストの折り合いがつかずに、残念ながら開発できずに終わったと聞いています。その後に私も開発に携わるようになり、一番きっかけとなったのは、純粋に「何故ヤマハ発動機のボートにヤマハ(株)のオーディオがついていないんだろう?」という非常にシンプルな疑問を感じたことです。松本の話にもあったように、音量、音質ともに、より良いレベルを目指すためにどうしようかという話があったとき、もう一度、ヤマハ(株)様にお声がけして一緒に検討しようということで、2021年6月から今回のモデル開発がスタートしました。

山木:
私は2021年6月の時点では参加しておらず、社内のレポートを見てそういった話があったことを知りました。それ以前にもモーターショーのコラボなどで少しだけ一緒にお仕事をさせていただいたことがあって、ヤマハ発動機様とはずっと本格的な仕事がしたいという思いが、実は私の中にはありました。そのお話を伺ったときに、ちょっと面白そうだなと思ったのが、私の最初の第一印象でした。21年の8月頃だったと思いますが、当初担当していたメンバーから、「突然ですがヤマハ発動機のWaveRunnerにスピーカーを搭載するという話があるので、早速デモ作ってくれませんか?」という話がきました。まさに「待ってました、すぐやろう!」という気持ちで、私どもが持っているDSP チップとアンプの環境とつないだりして、スピーカーで音を出すということを始めたのを覚えています。

緒方:
この時、前向きに話を受けられたのは、私たちがすでに車載向けに容量の大きなサブウーファーボックスの実績があったからでした。同じような容量のボックスを既に作ることができていたので、生産実現性を含めて可能という判断に至ったと聞いています。しかし、実際はこんなに難しいものなのか、ということを知ったのは後の話です(笑)

鈴木:
やはり、その数年の間に車載の経験を積まれたことがあって、十分できるだろうという判断に至り、お話を受けてくださったということなんですね。

山木:
車載オーディオは大きかったと思いますね。
その前は、私たちは小さな半導体LSIや、それに付随するものを開発・販売していましたが、2020年、兼ねてから開発を進めていた車載オーディオで最初に採用された自動車メーカー向けにいよいよ実製品向けのサウンドチューニングが始まるという段階になります。しかしコロナで現地にも行けなくなり、リモートチューニングというシステムを作ったりしながら苦労して開発を進めました。翌21年にヤマハ初の車載オーディオが搭載された中国メーカーの車が発売され、一番自信がみなぎっているときにヤマハ発動機様からお話がありました。

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02 開発時の苦労

波の振動は想像以上。
耐久試験の思わぬ結果に目を疑った。

Difficulties in Development Image

小野:
私は自動車向けのスピーカーについてそれなりに長い経験がありましたので、正直それほど心配はしていませんでした。しかし、実際蓋を開けてみたらとんでもないことになったのですが、それは開発途中でのパートでお話しします。
開発当初の課題として捉えていた事としては、自動車向けや家庭用のスピーカーというのは、限られた空間で使用するものですが、WaveRunnerはそれらとは違い屋外のオープンな空間で使われます。水や海水もかかります。低音を出すためにはスピーカーをボックスに入れなければならない。そうなるとシーリングの性能が非常に重要になってきますし、各部品の耐久性も必要になります、そして屋外でも素晴らしいと思ってもらえるような音圧、音質というのが課題になるだろうと考えていました。

緒方:
製造面でもシーリングが一番苦労したところです。今回は中国の委託先で製造していますが、通常の IPX(防塵・防水機能を表す国際規格) や、屋外用のスピーカー生産の実績はあるものの、やはりマリンスポーツで使われるスピーカーの実績は無く、通常のIPX では考えられないような厳重なシーリングが必要だというのが、製品開発を進めていく中で分かってきました。私たちもその経験はもちろんありませんので、ヤマハ発動機様の方からも、たくさんアドバイスをいただきました。また、製造委託先含め私たちでもいろいろと調べ、トライ アンド エラーを繰り返しようやくここまで辿り着くことができました。

鈴木:
開発のスタートの時点で課題が3つありました。
まず一つが信頼性です。WaveRunnerは水上オートバイという特性上、高速で走り、海水でも使用され、ひっくり返ることも想定されています。ですので、暑いところでも寒いところでも、そして海水に落ちても使えるスピーカーである必要があり、さらに対衝撃性も要求されます。サスペンションがないため、波に当たるとダイレクトに衝撃がかかります。ヤマハ(株)様の商品として過去にそういった実績はないとおもっていましたので、信頼性が私たちが要求するものが満たせるかどうか、という点が課題だろうと考えていました。 2つ目はコストです。一般的なイメージかもしれませんが、ヤマハ(株)様のスピーカーはやはり少し高いもの、プレミアムなハイラインのものというイメージが私たちの中にありました。一方、今回はプレミアムなモデルにだけ搭載するわけではなく、スタンダードなグレードのモデルにも搭載されますので、大量生産して多くのお客様に使っていただけるコストで作れるのかという懸念はありました。やはり社内でもそういう声がありましたし、特に、電装系の部品は、開発途中でコストがどんどん上がってしまい、量産になる前にこれでは成り立たないのでは、ということもあるので、そうならないようにマネジメントしていくことも課題でしたね。3つ目はヤマハ(株)様が全くの新たなサプライヤーとなることについての懸念です。一般的には、私たちのような輸送機器の業界では、電気部品は実績や技術を持っているサプライヤーと契約します。それでも音叉の繋がりというのを武器に、これを成し遂げると何かが起きるだろうという思いから、既存のサプライヤーを選ぶ観点ではありえない選択ではありましたが、二つのヤマハのコラボを実現しようという想いがありました。

松本:
WaveRunnerはオートバイのようにヘルメットを被らなくてもよく、免許を取ればすぐに乗ることができます。例えばアメリカの湖などでは、環境が整えば、時速100キロ以上で継続走行されている商品です。オーディオもお客様の使用環境に応じた設定が必要になります。特に時速80キロ以上になると、いわゆる風切り音が非常に大きくなりますので、ヤマハ(株)様だけではなく、当社のボディー設計にとっても大きな課題であったのでは、と思います。

小野:
本当にたくさんの壁がありすぎて、すべてお話するには時間がいくらあっても足りないくらいですが、やはり、対衝撃、耐水性、という二つが特に大きな壁だったと思います。対衝撃としては、常に波に打ち付けられるような、小さい加速度で断続的な振動に対するものと、大きな「ドン」と係る衝撃と、2つの試験がありました。正直言うと私の経験上、振動よりも衝撃のほうが大変だと思ってきましたが、今回の製品に限っては、振動試験の方がかなり厳しかったです。一番最初の試験結果を見た時に、私は目を疑いました。これは恐らく試験条件の間違いか、ミスがあったか、誰かが故意にぶつけたのか、というくらいの壊れ方をしていたので、嘘だろうと思いました。実際現場に行ってみると、本当にそういうことが起きていて、そこから本当の開発がスタートしたと思います。最終的には製品の質量のなかで非常に大きなウエイトを占めるスピーカーユニットのマグネット磁気回路を軽量化することで、共振を抑えて、なんとか振動に対しての品質の確保ができました。開発の途中段階で大きく設計変更をすることになり、かなり勇気のいる判断でしたが、今思えば、その判断は間違っていませんでした。もう一つ、耐水性については、本当に開発の終盤までなかなか課題をクリアすることができなくて、とても苦労しました。ヤマハ発動機様の方には大変心配とご迷惑をおかけしたと思います。スピーカーという製品は振動板が柔軟に動くことで空気を動かして音を出す製品です。それに対してこのボックスは水一滴の侵入も許してはいけない、非常に高い密閉性が要求される製品です。それを組み合わせたボックスのスピーカーは、中の空気の温度による圧力の変化や、外から受ける水圧に対して、柔軟に動く必要の有るスピーカーの振動板が全て受け止めなければならないというところに、この問題の難しさがあったのだと思います。これを解決するために、振動板の動きを妨げないようにしつつも、接合している部分は、最強と言われるくらい強固にするよう、あの手・この手の施策を織り込んできました。私のこのスピーカー人生の中でこんなに強くしたスピーカーはないというぐらいの対策を施して、なんとか形にすることができたというふうに思っています。

山木:
音作りの側として、これまで私たちが作ってきた音は、基本的に屋内の閉じた世界で聞く音で、壁の反射などを利用した音圧で音を作ってきましたが、屋外では、それがすべて散っていってしまいます。当初からの目標として、音圧を上げたいというところがありましたが、こんなに音が聞こえなくなってしまう外でどうやって音圧を稼ぐのかということを考えていました。単純にパラメータで音量を上げていくには、電流が多く流れる必要がありますが、ハードウエアのスペック上、限られた電流を流さなければならないというのが最初の壁でした。最初の頃はテストでいい音がでたら、まず電流を測ることをしていました。音量をあげてこのくらい音圧が上がるな、と思って測ってみたらアウト、ということが何度も何度もありました。弊社の豊岡事業所に完全な無響ではないんですが、反射の少ない無響室がありまして、そこにスピーカーと機材を持ち込んで、視聴環境として船に近いものを作り、だいたい外ではこんな音だろうと想像しながら、訪問とシミュレーションを繰り返して、目標の音と電流との駆け引きを繰り返した苦労が、前半にはありました。

緒方:
ヤマハとしては、今回デザイン研究所が設計段階から関与したということで、デザインにもかなりこだわりをもっています。このデザインを実現するために樹脂成形金型が必要となりますが、その設計も非常に困難でした。最終的に単純な金型では実現不可能と判断し3方向スライド構造を採用せざるを得ず車載スピーカー用としては過去最大レベルとなりました。その甲斐があって、出来あがった製品をデザイン研究所の川田所長に見てもらったところ、大変満足そうな笑顔で、「よくぞ実現してくれた」と喜んでいただいたことが印象的です。当然お客様にも満足していただけるデザインを実現できたなと思っております。

鈴木:
信頼性を担保しようとしたときに、対振動とか防水に関しては、ある程度シミュレーションできますが、特に防水性についてはシミュレーションしきれない部分が多くありました。壊しては対策、あるいは壊れては対策、本当にその繰り返しで何回も何回もモノを作って、何回も何回も条件を変えながら試験をして原因を突き詰めました。スピーカー構造の中に防水に懸念がある箇所は十箇所ぐらいあります。そのうちの一個一個、どこから水が漏れているのかということも、毎回毎回分解したりして調査をしていきましたが、同じパターンで壊れるものもあれば、違うパターンで壊れるものもあり、おそらく何百個という単位のスピーカーを壊したのではないかな、と思っています。いい言葉で言うと、鍛え上げることができました。一方、その中で開発は当然時間が無限にあるわけではなく、このモデルをいつ世の中に出すのかという、スケジュールがある中で、マイルストーンの度に社内で説明をしなければなりませんでした。そうすると、プロジェクトそのものが無理なんじゃないか、中止した方がいいという意見もありましたし、予定通りの日程ではできないねという意見もありました。それでも当時ヤマハ(株)様とはお互い諦める気は全くなく、議論をしいてる最中もずっと試験を繰り返して、最終的にはクリアできるところまで行けたと思います。もう一つ苦労した点は、今回、ヤマハ(株)様の中でも既存の商品を改造しているものではありませんので、工程も新規で作りました。何度も何度も現地の工場を訪問して、何人もの目で、どこが懸念なのか、あるいは何が原因なのかを解決していきました。先ほど緒方さんがおっしゃっていた部分ともつながりますが、ヤマハ(株)様にはかなり攻めたデザインをしていただきました。もう少し作りやすいデザインを実現できたかもしれないと思うのですが、やはりこのデザインでなければならないというこだわりがあって、その難易度が高くなることをお互い承知の上で進めました。

松本:
グリルのデザインも、通常は丸の中で比較的左右対称型が好まれますが、今回は特殊な左右非対称の形でデザインを提案していただきました。生産には苦労されているのではないかと思います。結果的には、走るものとして一体化したスピード感があるスタイリング・アジリティを感じられる、形状になったのではないかと思います。

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03 サウンドコンセプト実現のために

サウンドコンセプトの決定で
次第に見え始めた音作りのゴール。

Realizing the Sound Concept Image

山木:
このような苦労に並行して、というかまずサウンドコンセプトを決めるところから、音作りへの取り組みを始めました。試しの音を鳴らしてみながら考えたことは、音が四方に発散していく屋外というシチュエーション、PWC という非日常のエンターテインメント、社内の各部門の識者とも意見交換しながら導き出したのが、次のサウンドコンセプトでした。
スロットルを開け、もっともっと走り続けたい
そのサウンドは、あたかも夏の野外音楽フェスティバル
サウンドコンセプトが決まると、作りたい音のイメージは頭の中にしっかりと出来上がりました。これをどうやって実現していくのか。ヤマハの持つ音・音楽の実績や経験の中から、まさにライブ音響・PA音響のアプローチが使えるな、と考えました。最も散りやすい低音は、しっかりと芯のある音としつつ、中高域は、ヤマハ独自の信号処理技術を駆使して、PWCの乗員が音に包まれるような効果を演出したり、ボーカルはしっかりと目の前に定位するように、等。もちろん水上航走で試聴すればするほどに、なかなか思ったような音にならないといったもどかしさ、また、さきにお話ししたように電流との闘いも付いて回ります。それでも少しずつ、目指したコンセプトの音へと一歩一歩近づいていったように思います。

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04 完成時の思い、今後への思い

One Yamahaの総合力があったから
完成させることができた。

Thoughts on Completion and the Future Image

小野:
開発中は様々な課題がずっと続いていました。途中から何かクリアしたとしても、ぬか喜びしない、気は抜かない、と心に誓っていましたので、試験をクリアしても、量産GOが出た段階でも、正直実感が湧いていなかったと思います。ただ、量産開始時に弊社の中国生産委託先の方に、ヤマハ発動機様の開発部長、マネージャーにきていただき、本当に暖かいねぎらいの言葉を頂いた時、ようやく心からの喜びがこみ上げてきました。お客様には、ヤマハ発動機様とヤマハ(株)のいわゆるOne Yamahaの総合力を感じていただきたいなというふうに思います。恥ずかしながらつい先月に初めてヤマハ発動機様のはからいでWaveRunnerに乗ったのですが、こんな楽しい世界があるのかと思うぐらいの体験ができました。本当に楽しい最高の商材の価値向上に、私たちの製品が寄与できていれば、本当に嬉しく思います。これをきっかけにして一緒に色々なお仕事をできることを願っています。

山木:
既にお話ししたように音作りをするにあたって、私はまずサウンドコンセプトというものを作りました。世の中には、外で音楽を楽しむ、たとえば野外フェスティバルのようなものが参考になりました。フェスのあの臨場感や音に包まれるライブ感のようなものを、このWaveRunnerに作りこもうというアプローチをしてきました。アメリカを訪問して、YMUS(Yamaha Motor Corporation, USA)の責任者からも本当に良い音ができたと評価をいただき、またヤマハ発動機様と私たちで一緒にこの音を作ってきて、完成した時は関係者みんなで試乗することもできました。音楽が水上で流れて、みんなが笑顔になっている。お客様にもそういった体験を提供できるという確信を持てました。ヤマハ発動機様から開発当初お伺いしたコンセプト、Beyond expectation superior music on the water(期待を超える水上の上質な音楽空間)というものを、サウンドコンセプトを軸に具現化できたのかなと思っています。これをお客様に届けられるということが非常に嬉しく、わくわくしております。

緒方:
FX, VX, GPシリーズモデルと3機種を平行で立ち上げたというのは、ヤマハ発動機様の方としても稀だったということを後になってお聞きしました。確かに非常に大変でしたが、複数モデルを並行開発してやり遂げた事は、事業部としても個人としても大変な自信となりました。今回の製品開発で得た知識、スキルは、今後私たちのモノづくりの大きな武器になると思います。次期WaveRunnerを含め、今後の商品開発に繋げさせていただければとも思っています。今回は大変貴重な経験をさせていただきました。どうもありがとうございました。

鈴木:
完成した時の思いですが、さっき小野さんからいただいたように、このプロジェクトを明確に完了したタイミングがなく、ずっと色々な対策を織り込んできたので、完成した時っていつなんだろうと思ってしまいます。量産に移行した時はやっと開発が終わって、お客様にお届けできるという安堵が大きかったです。一方、私は2021年から三年ぐらい密にこの開発をやってきたので、矛盾する想いですが、開発が終わってしまう寂しさもありました。このオーディオのこだわりは、やはり音とデザインです。時速100キロで走行して音楽を楽しめるものって、恐らく他にはないのではと思います。その中でやはり走行中でも音楽を楽しめる大きな音とか、ヤマハ(株)様らしさとWaveRunnerの特性にあった音質というのが一番の売りです。それを彩る外観として恥じないアグレッシブな形状で、デザイン性の高いグリル、そして特に今回は中央にヤマハのメッキのエンブレムが入っていますので、そういうところでもお客様の所有感も高まるのではと思っています。最後になりますが、この取り組みはWaveRunnerから始まりましたが、これに限らず他のヤマハ商品にも広がってほしいなと思っています。一般でお買い求めになるお客様の中には、ヤマハ発動機とヤマハ株式会社の違いを知らない方もたくさんいらっしゃると思います。しかし、ヤマハ(株)様のスピーカーというものは素晴らしい音をお客様に届けるという事実は変わりません。WaveRunnerを購入していただいたお客様に、やっぱりヤマハのオーディオっていいんだなと思っていただけたら、それが私の喜びかなと思います。

松本:
今後も、ヤマハのブランドと、アイデンティティを持って、ヤマハ発動機のモノづくり、ヤマハ(株)様の音作りを進めていきたいと思っています。これで終わりではないと思っていますので、次のモデル、さらにはその次のモデルといったものまで、今後展開、進化させていけたら良いなと思っています。

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