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バイク初心者必見!速くなるよりも上手くなるための、柏流ライテク論 第12回「柏流のライテク総まとめ」

2013年5月31日
こんにちは、柏秀樹です。

これまでツーリングに必要な整備と装備と基本テクニックについて言及しましたが、今回はライディングテクニック上達の極意についてです。加えてクルーザーバイクの取り回しについても触れたいと思います。

上達の極意というと、なんだか凄いことのように感じますがポイントはすごく簡単です。大切なことは「知る」ことではなく、「実行し続けること」。

ある雑誌向けにライテク記事を連載し続けていますが、読者アンケートで、紹介したテクニックはすでに知っているというコメントを時々いただきます。読んだことがある、というのは知っていることかもしれませんが、実践できるのかというと話は別でしょう。バイクを安全に楽しく走り続けるためには「知識」だけではなく、「実践」が欠かせません。

いきなり脱線してしまいましたが、頭で理解したことを実践するためのポイントは、高度なことを無理やりするのではなく、日常の中で簡単なレベルで反復練習することです。

たとえば交差点の信号で止まって発進する際に、意識すべきたくさんのことが隠されています。技術だけで言えばブレーキはリヤのみ、フロントのみ、前後同時、たとえばフロントの弱入力一定。弱、中、強の3段階に強くしていく方法などがあります。

止まる場所については自分の車線の真ん中、右、左。後続車に対してはブレーキランプを点滅させて追突防止を促すだけではなく、停止間際には左端に寄って後続車による追突事故を防止するなど安全率を具体的に上げることも「実践」なのです。

ブレーキというと時速40km/hとか50km/hだして、ガツンと急制動することが練習だと思っているライダーが多いでしょう。それも必要ではありますがやるべき順番はけっして正しいとは言えません。恐怖心を持って挑む練習はその効果が少ないですし、危険なだけでいざという時にはあまり役に立ちません。必要なのは無意識でもブレーキできる状態にしておくことです。

力を抜いて時速5km/hから、たとえば両足を出したままフロントブレーキの効き始め一定の確認。つまり、ブレーキレバーを少し握ったまま凄くゆっくりと停止させることから始めたいのです。

両足を出したままでの練習

両足は出したままで大丈夫。車体が垂直であることを意識しましょう。垂直なら発進時も停止時も転倒し難いし、もしふらついても両足が出ているので瞬時にバイクが支えられます。バイクが完全に停止してから両足、もしくは片足で着地しましょう。

落ち着いた優しい停止の仕方をまずは確認するべきです。リラックスした、穏やかなブレーキ入力が基礎。そして時速5km/hが自分のものになったら時速10km/hにしましょう。

このやりかたは遠回りに思えても、確実な進化に繋がります。基礎ができるほど成長速度が速いし、無駄な怪我をしません。それは自分や周囲への分析力が高くなるからであり、バイクという機械への理解度も高まるからです。

ブレーキテクニックは習得すべき優先課題ですが、両足を出したままの練習っておかしくない?と思われる方もいるでしょう。教習所などでは完全停止直前までクラッチレバーを握ってはいけない、などと教わります。

教習所などで習ったことが正しいとか間違えているとかをここで言いたいのではありません。両足を出してアイドリング回転のまま穏やかにクラッチを繋いでいけば、整備されたバイクはそのまま発進できますし、ブレーキも穏やかに利きます。

その確認を抜きに強いブレーキや一本橋、深いバンク角走行をすることが危険行為だと言いたいのです。時間をかけて徐々に難易度の高いことをやるのならいいのですが、1時間練習しただけで強いブレーキをしてしまい、トラウマになってしまったら不幸なだけです。だからこそ、前後に誰もない公道ですごくゆっくりの停止をするのは正義なのだとさえ言います。

あえてブレーキの上達の極意に言及しましたが、市街地では交差点が特にハイリスクです。まずはブレーキレバーに指を掛け、ブレーキペダルに足を乗せたまま、さらにブレーキが利き始めるところまでレバーもペダルも踏み込んで交差点を通過するぐらいでちょうど良いでしょう。

ワインディングでも同じです。カーブギリギリまでブレーキを掛けないというのではなく、早めにブレーキを掛ける準備をして、平常心確保の元でコーナリングを開始しましょう。

ワインディング

しかもギリギリまでブレーキをかけないだけではなく、一気に強くブレーキを掛けて車体が不安定になってしまうとコーナリングそのものがハイリスクになってしまいます。サーキットでもそれではタイムが出ないし、公道では非常に危険なだけです。

コーナリング中にブレーキを掛けることができないなら、それはカーブに入る速度が速すぎるということでしょう。バンク角が浅くても、カーブがゆっくりでも悪くないのです。

ただし、公道は対向車だけではなく、前後にクルマやバイクがたくさん走っています。流れに乗ることなど、他の車両の動きに合わせた走りかたをしなければなりません。ゆっくり走行が漫然走行になると本当の安全走行にはならないことも理解しましょう。

飛ばさないといってもカーブではセンターラインやガードレールに近寄らないこと。自分の道の真ん中を走ること。センターラインがない狭い道では左端の白い線から1メートルを目安に走行ラインを維持しましょう。左の白い線:レフトラインから1メートルなのでL1走行しましょう。早めのブレーキ準備と穏やかなブレーキ入力が安全確保と同時に上達のための効果的な練習になるのです。

最後に、クルーザーの取り回しに少しだけ触れておきます。

クルーザーはシートがかなり低いので、取り回しの時にバイクを腰で支えにくいです。普通のバイクのように腰で支えて前後に動かせませんから、ハンドルだけでバイクを前後させることもあります。ですが、両足が着くなら、乗ったまま取り回しを進めるべきでしょう。

クルーザーの取り回し

平坦路では前進もバックも足の力で動かしやすいです。ゆるやかな斜面で乗車しながらの取り回しではエンジンパワーを併用することになります。さきほどゆっくりとブレーキレバー入力することに触れましたが、取り回し中も同じです。ジンワリとかけないと足が着きやすいアメリカンでもぐらつきます。ブレーキレバーの遊びをとって、効き始めるところを事前に調べておき、必要な時にスッと握りましょう。

取り回しもまっすぐで優しいブレーキ操作力がキモになるのです。特にフロントブレーキを優しく使うためには車体垂直でフロントブレーキの停止練習が欠かせません。

すべてのライディングの基本は車体垂直:両足出したままの時速5km/hの制動から始まるといっても過言ではないでしょう。エキスパートならフロントブレーキ入力でサス反力を引き出しバックするという遊びも取り入れたい。一度バックして足を着かずにそのまま発進なんて遊びが、低速能力向上となって中高速の技術力安定性が得られるはずです。

どこかの道で会ったらピース!

笑顔も大切

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