アメリカ・ミツバチ軍団と呼ばれるマシン勢揃い
- 2014年11月27日
いま磐田市のヤマハ発動機本社にある企業ミュージアム「コミュニケーションプラザ=CP」で、突然現れた4匹のアメリカ・ミツバチが巣を作り(笑)、ちょっとした人気を集めています。
ん〜このヒントでピンと来たあなたは、か・な・り年季の入ったレースファンです!
もちろん、本当にミツバチがやってきたわけではありません。黄色地に黒のスピードブロック・ライン、通称「インターカラー」が施されたロードレーサーを4台そろって見られるコーナーができたというお話。もともとゲストのために設えた1日限りの特別展示だったのですが、CPのFACEBOOKで紹介したところ、予想外に多くの(誘導的な)反響があったので、展示期間を延長することになったそうです。
↑これがウワサの(!?)バンブルビー軍団
ただし、「少なくとも年内いっぱいは……」という状況なので、いつ撤去されるかわかりません。ちょうど企画展「The Big-Bike Collection 第一集:ハイパフォーマンスモデル」も開催中ですし、見たい!という方は、ぜひお早めにご来館ください。おっと、年末年始を含め、休館日にはご注意を!!
CPスタッフの間で「無敵のバンブルビー軍団」と呼ばれている、今回展示のマシンは次の4台です。
↑1978 YZR500:ケニー・ロバーツが世界GPで3連覇を果たした最初のマシン
↑1978 YZR750:ケニー・ロバーツがデイトナ200で初優勝したマシン
↑1984 YZR700:ケニー・ロバーツがデイトナ200で最後に優勝したマシン
↑2005 YZR-M1:ヤマハ発動機創立50周年記念に復刻カラーを施したマシン
さて、この「インターカラー」ってなんだ? ちゃんと知りたいぞ、とおっしゃるキトクな方は、もう少しお付き合いください。
「インターカラー」の名は、1960年に設立されたYamaha International Corporation=YICという日本楽器製造(現・ヤマハ株式会社)のアメリカ法人に由来します。この会社はヤマハ発動機の製品販売も担当し、業務の一環としてアメリカ国内のファクトリーチームを運営。そのイメージカラーとして、1970年ごろから使い始めたのが、黄色地に黒いオビのパターンでした。黒いオビが白いスリットでブロック分けされ、鎖みたいに見えるので、当時、現地では「チェーンブロック」と呼ばれていたそうです。発想は何だったのか、なぜ黄色と黒の組み合わせだったのかは、よくわかりません(笑)。
そして1977年、YICからモーターサイクル部門などが独立し、Yamaha Motor Corporation U.S.A.=YMUSを設立。「チェーンブロック」のデザインもそのまま継承され、1980年代中頃まで使われました。
では、どうしていまだに人気が高いのか。それはやっぱり、派手でカッコよかったからでしょう(笑)。いや、見た目の印象だけでなく、YIC/YMUSライダーたちの活躍が、ですよ!
↑ケニー・ロバーツが現役の頃から、彼に影響を受け、導かれて大成したライダーは少なくありません。エディ・ローソン(♯21)や平忠彦(♯310)、後のウェイン・レイニーも
1973・74年連続でAMAグランドナショナル=ロードサーキットとオーバルトラック、ダートトラックの総合チャンピオンとなり、世界GP500でも3連覇を果たしたケニー・ロバーツや、AMAスーパークロスとモトクロスで7つのタイトルを奪ったボブ・ハンナ、ブロック・グローバーなどキラ星のごとき英雄たちを続々と輩出。その人気のおかげで、1970年代半ばくらいから「チェーンブロック」イメージのカラーリングはアメリカ向けの市販車にも導入され、一部が日本でも販売されました。
そしてついに、「チェーンブロック」は世界GPヤマハファクトリーチームの定番、白地に赤いラインにも波及。K・ロバーツがやってきた1978年、黄色/黒のYMUSカラーと白/赤のファクトリーカラー、まったく同じ「チェーンブロック」デザインのYZR500が色違いでスターティンググリッドに並ぶことになったのです。
↑1978年のYZR750(0W31)。いずれもスピード・ブロックが施されています
- 2014年11月27日