レポート&コラム
日本沿岸で行われるビルフィッシュトーナメントレポートと海外の釣行記です。
チームYBSのJIBT参戦記
チームYBSは、なんとしても1本のカジキをランディングしてオーナーのファーストマーリンを飾りたい。黒潮の情報から潮は少し東におされていると判断し、今日のポイントを利島までの東の海域に定めてスタートした。
32ノットオーバーの快速を生かして、狙ったポイントに一番に着きルアーを投入。5分ほど経つと、隣にいたボートがヒット。カジキがジャンプしている姿がはっきりと見える。またしても隣に来た。さらに10分ほどで反対側にいたボートもヒットコールし、ファイトフラッグの赤旗を掲げているではないか。
最終日の作戦会議
魚にそっぽを向かれた長い一日がまた始まった。初日よりは釣果は落ちているものの、ヒットコールは30を超えていた。ぐったりとしているクルー、スタッフが多い中、昨日からのゲストの女性ふたりが元気でいることに救われる思いがした。昼にはギャレーで冷たいそうめんを作ってくれた。天気が良すぎて海上でも暑さが厳しいなか、このそうめんはのどの越しが良く、半ば諦めムードのチームを活気付けてくれた。
こうして、チームYBSのJIBT挑戦は、3日間0-0-0で終わった。楽しくもあり、鬱憤もたまる3日間だった。
『カジキ釣りは全てが噛み合わないと釣れないものだ』と日本記録を持つある人から聞いたことがある。何か欠けているものがあっただろうか。考えても見当たらない。優秀なキャプテンとクルー、日本でも実績のあるルアー、流すフォーメーションも問題はない。カジキ釣りの難しさをあらためて痛感した。JIBT常連のベテランチームも3日間0-0-0が多くいたことが、少しの慰めになる。やはりツキとか女神とかにも左右されるゲームだ。逆にいえば、条件さえ整えば、多くのビギナーにもチャンスは訪れるのかもしれない。ビッグゲームの門戸は広いのだ。
下田港に帰港する。意気消沈の帰路は長かった。着岸して本部への帰着申告も済ませ、デッキにて残念会の乾杯をして、チームYBS は競技を締めくくった。
残念会をAldila77アフトデッキで
夕方6時からは、600名をこえる盛大な表彰パーティが下田市内のホテルで開催された。3日間の好天を示す潮焼けした顔の逞しい海の男たちが、勢ぞろいしていた。大会中もそうなのだが、各チームともお揃いのユニフォームできめている。チームYBSも全員テーブルに着き、パーティ冒頭の今大会のハイライトビデオに写る、カジキとのファイトに見入ってしまった。来年こそはこのビデオに写る活躍をしたいものだと、誰もが思ったに違いない。
2008JIBT表彰式パーティ
優勝は、チームソルティーが最終日2本のタグを成功させ、通算4本のT&Rで逆転。そのまま逃げ切り見事に記念大会の優勝を飾った。3日間でカジキ総数77本。それにしても凄まじい釣果に沸いた3日間だった。Aldila77のオーナー堀切さんはパーティの終了後ステージへ上って、記念撮影。来年こそはここへ登って表彰されることを心に誓っているようだった。
どんなにゲームフィッシングを追求し、研鑽し、精通しようとも、相手は生きている魚である。この遊びはやはり奥が深い。そして、同じ遊びを理解する仲間たちと、回航日を入れて5日間、仕事を忘れて、心底楽しめる素晴らしいパラダイスが下田にあった。