レポート&コラム
日本沿岸で行われるビルフィッシュトーナメントレポートと海外の釣行記です。
チームYBSのJIBT参戦記
大会初日は早朝6時から厳かに安全祈願祭が行われ、開会式へと続いた。チームYBS はバネばかりを使いリールのドラッグテストやハーネスなども完璧に準備し、初体験のオーナーと初日に攻略するポイントやクルーの役割、タックルの扱い方やルールなどもスタート前に再確認。オーナーのファーストマーリンを確実にキャッチするため、最初は80ポンドタックルで臨むことにした。
100艇以上のボートが離岸し、下田港出口に向けデッドスローで進む。無線チェックのロールコールが響いている。スタート前の緊張感が高まってくる。カウントダウンが始まり、スタートフィッシングのコールが響き渡る。Aldila77の715ps×2基のエンジンが唸りを上げて、他艇の曳き波を越えていく。30ノットに達すると多くの艇を抜き去り、神子元島をかわすころには先頭集団を形成していた。
ここでキャプテン大谷氏が水温計の変化にいち早く反応して、艇を止める。「ここから流そう」の号令。神子元島南1マイル程度のポジションだったが、アウトリガーを倒し予め決められた1番から5番のルアーをクルーが手際良く投入していく。隣に来たVoyager(ヤマハSF-53)もルアーを投入していく。その様子を眺めているとVoyagerが流したルアーにさっそくヒットし、カジキが豪快なジャンプで、海面から現れた。まだスタートして15分。隣のヒットに緊張が走る。カジキが居る。ここにたくさんのカジキが居る。
それから2時間の間、無線はヒットコールの嵐に包まれた。その大半が同じ海域からのもの。あちこちで赤旗を掲げたファイト中のボートを避けながら、チームYBSも流し続けた。10時になろうかとした時、アウトリガーロングの4番のリールが唸った。ヒットだ!
クルー全員で手際良く他のロッドを回収し、オーナーの堀切さんがロッドを引き抜き、ファイティングチェアにセットする。ファーストランはそんなにラインは出ていない。大谷キャプテンは本部艇に無線を飛ばす。「チームYBS Aldila77ヒット。魚種不明」アングラーの堀切さんは初体験のロッドの重さに耐え、前日の講習通りに背筋と足を使い、汗だくでファイトしている。
ファイト中のアフトデッキ
しかし、カジキのジャンプがない。テールウォークがない。ひょっとして鮫か。20分くらいのファイトでクランキングリーダーが見えた。魚体らしき白く明るい影が見えてきた。やはり狙っていたマーリンではなかった。揚がってきたのは1m30cmを超えるメスのシイラ。なーんだ、と全員が落胆する中、ゲストで乗船していたオーナーのファミリーは初めてのシイラにも感激し、少し疲れたアングラーの堀切さんもこの数倍の引きの強さであろうカジキのファイトに恐れを感じていた。
残りの5時間も周囲でのヒットコールは止まなかったものの、チームYBSには、ストップフィッシングのコールが響くまで、GPSの航跡通りずっとアオネにこだわったが何のアタリもなく、1日目を終えた。
下田港に戻り検量会場がある大会本部前に向かうと検量とタックルチェックを受けるチームで大渋滞。JGFAの大会本部役員も検量に忙殺されている。何と初日は41本のカジキがキャッチ(内29本がタグ&リリース)された。大会30回目にしてこれが大会新記録となった。