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270度クランク

2011年11月16日

"GENESIS思想"を受け継いだコンパクトなツインエンジン

  背 景  

エンジンのトルクは、爆発力が生み出すトルクと、ピストン上下動の慣性力が生み出すトルクの双方が重なり合う"合成トルク"として絞り出されています。この合成トルクは多気筒エンジンの場合、各気筒の点火順序や点火間隔でキャラクターが異なってきます。
一般に4ストローク2気筒並列エンジンは、中・高回転で有利な180度クランク、またはツインの爆発を感じやすく低速トルクを搾り出しやすい360度クランクが採用されています。一方で、90度V型2気筒は、クランクねじり振動特性とのバランスで不等間隔爆発(270度クランクなど)が採用され、V型2気筒の鼓動が強調されます。ただ、V型2気筒は前後長が長く後方シリンダーの冷却でも不利となり、高性能スポーツモデル向けエンジンとして成立させる場合、鼓動感と軽量スリムさの両立がテーマとなっていました。

  仕組み・特徴  

'95年誕生のエキサイティング・ビッグ・ツインスポーツ「TRX850」用エンジンで初採用した独創の270度並列2気筒は、合成トルクの山をライダーが感じやすく、しかも鼓動感が楽しめるのが特徴です。これは、"前傾低重心エンジン"というGENESIS思想を継承しつつ"軽量・スリム・コンパクト"というスポーツバイクのパワーユニットの必須要件を集約させたパワーユニットのかたちです。
クランク軸を90度位相させた270度クランク並列2気筒は、当時世界初のフィーチャーでした。爆発間隔は270度、450度をくりかえし、並列2気筒エンジンながら90度Vツイン同様の爆発間隔を達成。
小型設計エンジンによる軽快な走行性と、優れた駆動力&パルス感を両立させました。
ちなみにこの、270度クランクは、砂漠での駆動力が鍵となるパリ~ダカールラリーにおいて、'90年序盤ヤマハのファクトリーマシンの研究開発からフィードバックして実用化された技術で、'95年の「TRX850」、「TDM850」現行モデルの「TDM900」に継承されています。

2011年11月16日

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