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超扁平プレス成型技術

2011年11月16日

ロープロフィールスタイルのクルーザーデザインを実現する製造技術

  背 景  

モーターサイクルの燃料タンクの製造は、通常3枚の薄いスチール板から始まります。タンクの右半分用に1枚、左半分、下側用に各1枚、合計3枚です。その3枚が、専用の金型によりプレス機で成形されます。プレスされる時間は僅か数秒。プレスされた3つの部分は、その後互いに溶接されてタンクの形状になり、溶接跡は手作業で研磨されたのち、塗装されます。しかし、僅か数ミリの板材で超扁平のタンクを成型するには、曲面具合によって鋼材に微妙な伸びが生まれ、肉厚が薄くなりシワが生じたり割れたりすること(成形限界特性)が懸念されます。これを解決してクルーザーモデルの超扁平燃料タンクを実現したのが、ヤマハ独自のプレス成形技術です。

  仕組み・特徴  

「XVS950A」に採用の超偏平燃料タンクの場合では、1)伸縮性に優れた鉄鋼素材の開発と、2)スタイリングキャドを導入してのデザイン開発が鍵となりました。一般に燃料タンク用のスチール素材には、極低炭素鋼(炭素の含有量0.01%以下のスチール材)に、チタン、ニオブ、ボロンを混入させた伸縮性の良い材料を使用しますが、その材料よりさらに伸縮性を向上させた材料を独自に開発。従来のボロンを使わず錆に強いチタンと、鋼材中の炭素固定剤として重要な役割を示すニオブの量を最適に添加して可能となった、伸縮性のよい独自素材です。さらにコンピューターで成形シミュレーションを行い、外観デザインと素材の伸縮具合、プレス成形条件などを一度に解析。超薄型形状を実現しました。こうした材料研究から材料開発、スタイリングキャドを使ったデザイン開発まで、この一連のプレス成型技術は各製品の個性に合わせて積極的に投入されています。

2011年11月16日

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