モノクロスサスペンション
- 2011年11月16日
サスペンション技術に革新をもたらした独創技術
背 景
ヤマハの技術開発の歴史の中で、最もエポックな技術のひとつです。
クッションユニットを1本とし、その前端をフレームのヘッドパイプとタンクレールの継ぎ目部分に、後端を三角構造のリアアーム側に置くことにより、上下動する後輪の動きを前後方向に置きかえてショックを吸収します。
その基本構造は、'72年当時大学教授だったベルギー出身のルシアン・ティルケンス氏の特許に基づき、ヤマハはこの特許権の譲渡を受け研究開発を行い実用化。'73年モトクロス用ファクトリーマシンで実戦投入しデビューウイン。翌年はGPマシン「YZR500」にも採用、オフロード、ロードレースでの輝かしい成績に貢献しました。その技術は、様々な熟成・進化を遂げ今日のヤマハスポーツモデルへと受け継がれています。
仕組み・特徴
もともとリアのサスペンションは、左右のクッションユニットでリアアームを支持していたため、路面からの強い衝撃で左右のショックアブソーバーが別々に作動しリアサスペンションや走行性に影響するケースが指摘されていました。モノクロスサスペンションでは、クッションユニットが1本で、左右ねじれ剛性の高い三角構造のリアアームを支持する形となっているのでこの傾向を減少。さらにショックアブソーバーの取り付け位置が変わる事で、ホイールトラベルが増大、優れた路面追従性、走破性、乗り心地が一段と向上しました。
また、このモノクロスサスペンションは、リアアームとショックユニットの間にリンク機構を組込み、ライジングレート効果を引き出すリンク式へと進化。小さなギャップや細かい振動はソフトに吸収し、大きな衝撃や高速の作動時にはストロークに従いハードな底づきを抑える機能へと進化。
今日、ヤマハスポーツモデルの多くには、リンク式モノクロスサスペンションが採用されますが、一方クッション性能そのものが進化しておりリンクレスタイプのモノクロスサスペンション採用モデルも健在です。
- 2011年11月16日