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バイク初心者必見!速くなるよりも上手くなるための、柏流ライテク論 第10回「春に向けてのツーリング準備」

2013年3月28日
こんにちは、柏秀樹です。

春といえば、ツーリング。バイクが大好きなライダーが暖かな陽射しを受ければ、どこかへ行きたくなるのも無理はありません。春の風の気持ちよさは、この上ないものだから。

さて、ツーリングとなれば相応の準備が欠かせません。今回は整備と装備とテクニックについて、基本をここできちんと確認しておきましょう。

まずは整備から。

安全にもっとも直結するもの、という発想で考えればまずはタイヤとブレーキ。
製造から3年以上経過したタイヤは溝があっても硬化しているので交換。製造日はタイヤ側面にある4桁の数字をみればわかります。2413なら2013年の24週目に製造された、という意味。後ろの13は2013の13。前の24は1年を週単位で表したもの。同時に亀裂・偏摩耗などのチェックもしておきましょう。また、タイヤの端まで使ったものがカッコイイと思ってインターネットで購入する例もあるそうですが、これだけはやらないように!

タイヤのチェック

ブレーキもパッドの残量だけではなく、ブレーキ液の量をチェック。キャリパーの分解整備も本来なら定期的にやっておくべきこと。整備したブレーキは効きがリニアで走りそのものが楽しくなります。

さて、整備はその他いろいろありますが、意外とやっていないのがブレーキレバーやクラッチレバーの高さ調整。ポイントとなるのは「腕と手の関係」です。握力計を握るとき、手首はどう使ってますか?

クラッチレバー

おそらく手首を曲げずに握っているはずです。つまり、手首が曲がらない位置にレバーの高さを調整するのが基本。身長が低い人は総じて肩位置が低くなっていますから、レバーは通常よりも高めのセットが合うはずです。

実際に私のライディングレッスンを受講された小柄な女性は、そのことをまったく知らないでずっと乗っていました。アメリカンのハンドルをさらに大きくアップさせたバイクでしたが、そのフォームといえば軽く万歳した状態。驚いたのはブレーキとクラッチの左右のレバー位置だったこと。身長181センチの私でさえ手首を内側に大きく曲げて使う状態。相当無理をして使っていたはず。というか、簡単に言うとブレーキレバーが十分に握れないくらい危険なものでした。

メーカーの規定位置はあくまでもガイドライン。ここを基準に少しずつ設定を変えるべきです。規定位置からあまりにもかけ離れた設定は大抵の場合は「乗り方のクセ」のレベルと考えていいでしょう。

ブレーキペダルやチェンジペダルも極端に低くしたものも「乗り方のクセ」のレベル。

ポジション設定はそのままフォームの作り方と関連していますが、正しいフォームのためのポジションというのは、正しい乗り方を知っていなければ見つけられません。そして運転レベルが上がるほど、わずかな位置でも自分の納得いくところを探すようになるもの。

ここまで言うのは実のところ、ツーリングを安全快適に走るため。低疲労はそのまま集中力維持につながります。ゆっくり走っても疲れが早いと集中力が低下して危険性がどんどんアップする。ポジション設定はツーリングにはとても大切な要素なんです。

シートもそのひとつ。ビギナーや小柄なライダーはどうしても足着き性を重視しますが、シートが低いと停止している時は良いけれど、ロングラン時では腰やヒップに荷重が集まってかえって疲れやすくなることも。走っている時間の方がはるかに長いのだから、ノーマルポジションで乗ることにもトライしてください。かならずしもお奨めできることではありませんが、ある程度乗れるようになったらシートを標準の高さにして、走りの違いや疲れにくさを実感してもらいたいですね。

バイクはスポーツでもあるのだから、技量によってフォームは変化していくもの。そしてフォームはライディングポジションによって大きく左右されます。

また、前後サスペンションについてもプリロードをイチバン柔らかい位置にしたり、逆に固めにしたりするだけで印象が大きく変わることがあります。体重の軽い人と重い人が同じバイクの同じプリロード位置で同じ曲がり方をするわけがない。かならずわずかに曲がり方が異なるもの。それがバイクという乗り物であり、それがバイクの楽しさのひとつなんですから。


装備も重要です。

ツーリング先でイチバン困るのは寒さと雨。急な寒さに対応できるようにコンパクトなウインドブレーカーをバッグに詰めておくと便利。けっして無理せずに早めに着用してください。春の夕暮れ時は大体、寒いはずですから。

私はかならずグローブも予備を携帯しています。雨で濡れた後に晴れ間が出た時にとても便利だから。もちろんグリップヒーターもお奨め。夏でも寒いと感じることがあるのがバイクだから、ツーリング装備の優先順位の上の方に入れたい。雨の時は特にそのありがたさが実感できるでしょう。


次に整備・装備を整えた上で考えたいことです。

ツーリングは人数が多くなるほど予定時間が遅れがちになってしまうもの。距離を少なめにする、出発時間を早めにするなどの対策を取っておくといいでしょう。遅刻してくるライダーもいるでしょうから、その場合はあわてずに次の集合場所にダイレクトに来るなど、フレキシブルに対応したいですね。

ワインディングなどを走っていると、いつの間にか走行ペースが上がっていることがあります。速度はきちんとメーターで確認するように!誰かについて行くとか、遅れると迷惑になるとか、カッコ悪いとか、そんな体裁は不要。少しでもドキドキしたら速度をセーブ。カーブ手前でシフトダウンに失敗するような状態は、すでにオーバーペースであることを意識してください。

私が以前から強調しているセンター・キープ・メソッド:CKMは、その意味でも自分の技量を超えない走りになる方法なので強くお奨めします。センターラインのある道路で、自分の車線のど真ん中以外は走らない。そうすると安全と効果的な練習走行になる上に、いちいちラインを考えずにど真ん中を維持するという気軽さも実感できます。

アウト・イン・アウトなど「速さ」「タイム」のようなレースに使う走りは、速く走れてカッコイイと思いがちですが、ペースが上がると大体、左カーブではコーナー出口でセンターラインに異常接近、あるいはオーバーラン。右カーブではカーブ中央でセンターラインに異常接近し、カーブ出口で大きくはらんでガードレール異常接近状態になる例が多い。

CKMを忠実に守っていれば絶対速度は上げられない。それこそが過剰な速度での事故を防止する抑止力になるんです。そして真ん中をきっちりキープするためには、実に繊細なブレーキ操作、ステア操作、体重移動などが要求されます。

CKMは上達のためのモノサシとしてもお奨めしたいテクニック。なお、センターラインのない狭い道では左の白い線から1メートルを維持するといいでしょう。ちなみにコレはレフトラインから1メートルなのでL1走行と呼んでいます。

それでは、どこかのツーリング先でお会いしたら。ピース!


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