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緊急企画! 女子モトクロス世界チャンピオンのキアラ選手に、安原さや選手が聞きたいことを全部聞く!

2017年10月19日

こんにちは、ヤマハ発動機販売の菊地です。

全日本モトクロス選手権の最終戦MFJGP

全日本モトクロス選手権の最終戦MFJGPがこの週末に控えていますが、以前、ブログでも紹介した通り、国内最高峰クラスの一つIA2に、2017 ウィメンズモトクロス世界選手権(WMX)のチャンピオンであるキアラ・フォンタネージ選手が参戦します。

その準備のためキアラ選手は先週来日したのですが、「この機会を逃すな!」ということで、日本の女性トップライダーである安原さや選手との対談を企画。なんと、実現することがきました。

そこで、今回はさや選手にインタビュアーとなっていただき、聞きたいことを自由に聞いてもらいました。ということでここからは、さや選手にバトンタッチします。

安原さや

こんにちは、名阪レーシングから全日本のレディスクラス参戦している安原さやです。
ご指名いただき光栄です! 今回は一人のライダーとして聞きたいこと(好奇心)を、ぶつけたので、ちょっと専門的な部分もありますが、ぜひ読んでください。それではどうぞ!

安原さや選手=さや キアラ・ファンタネージ選手=キアラ

安原さや

さや 「早速ですが、2015年WMXタイGPで一緒に走った時、あまりの速さに言葉を失ってしまったのですが、速さの秘訣はありますか?」

安原さや

キアラ 「残念ですが秘訣はありません。私の体に"速く走る"という血が流れているんだと思います。誰かに走りを教えてもらったこともなく、スクラブ(スピードを落とさずにジャンプを低く飛ぶ技術)とか、テクニックは自分で学びましたから」

さや 「うわー、かっこよすぎる... 汗」

キアラ 「もともと、もっているものだと思います」

さや 「でも、あれだけの速さで走ると私なんかは怖さが勝ってしまう。ジャンプだって怖くて飛べない時もありますが、キアラさんは怖さって感じますか?」

キアラ

キアラ 「スピードに恐怖感はありません。これも、もって生まれたものだと思います。ジャンプも入るスピードとか着地のことをしっかり考えますが、トリプルとかダブルとか自然体で飛んでいます」

さや 「じゃあ、速くなるために克服することとか、あったりするのかなー?」

キアラ 「克服するというよりも、バイクに乗る準備として、フィジカルトレーニングを大切にしています。合わせてマシンのセットアップも重要で、これらが揃ってはじめて、アクセルを早く開け、ブレーキを遅らせるといったことに繋がっていく。その積み重ねで速さに磨きがかかるんだと思います」

さや 「私自身は、バイクに乗るのが中心でジムでのフィジカルトレーニングはほとんどしないのですが、参考までにどんなことやっているのか教えてください?」

キアラ 「以前はジムとバイクを一日交代にやっていました。ジムではダンベルなどは使わずに、自重が中心でしたね。でも今年の6月からは、筋肉を減らし体重を落とすためにランニングやサイクリングなどを取り入れバイクに乗る時間も増やしました。モトクロスをするには筋肉が多すぎたので」

安原さや

さや 「2015年に見たキアラさんの印象が"筋肉の塊"という感じでしたが、久々に会って、小さくなったというか、筋肉が落ちてるなって思ったのですが、意図的にやっていたわけなんですね」

安原さや

さや 「ちなみに私は日本のレディスクラスでチャンピオンになった経験があるんだけど... 知っていますか?」

キアラ 「もちろん知っています。でも日本の女性が85ccでレースをしているのは知りませんでした。女性にはふさわしいバイクだと思うけど、250ccに乗れないのは残念な気がします」

さや 「私は時々あるのですが、5回も世界チャンピオンになっているので、スランプなんかないですよね?」

キアラ

キアラ 「いや、ありますよ。2016シーズンがまさにそれでした。咋シーズンはヤマハからマシンを変えたのですが、チャンピオンも逃してしまいました。スランプから脱出するには勝つしかありませんでしたね。その他としては、周りのサポートも大事ですし、私の場合は今シーズンからヤマハに戻ったことが変化のきっかになりました」

さや 「さて、今週末のMFJGPの話を聞きたいのですが、まずは先週、SUGOでテストをしたって聞きましたが、感触はいかがでした?」

MFJGP

キアラ 「初日は雨が降って、かつ路面がハードパックだったので、氷の上を走っているみたいで難しかったですね。でも2日目はコンディションが少しよくなって、レイアウトも前日のテストで把握できていたし大きくステップアップしました。ベストは2分3秒だったかな?」

さや 「えっ、本当? ドライコンディションでIA2のトップが1分57秒くらいだから、コンディションによっては、まだ速くなる。やっぱりすごい...... でもキアラさんは、これまでたくさんのコースを走ってきた経験があると思うけど、SUGOは難しいですか?」

キアラ 「自分のスタイルに合っているかどうかを基準にすると、SUGOはテクニカルでコーナーが多く自分に合っており大好きなコースですね。難しいか、簡単かで言えば、難しいコースですよ。でも、難しいからこそ好きということもあります」

さや

さや 「私はとても難しいと思っているので、走りを参考にさせてもらいます。私も優勝したいし!」

キアラ 「表彰台に立てることを祈ってます! ラインとか聞いてください!」

さや 「ありがとう。ではテストの結果を踏まえ、レースでの目標は?」

キアラ 「すべてが初めてだし、AMAのライダーもやってくるということでとても難しいと思います。でもせっかくイタリアから来たので、やっぱり成果を残して帰りたい。だから表彰台を狙いますよ」

さや 「ぜひ、ぜひお願いします! ありがとうございました。MFJGPではお互いがんばりましょう」

キアラ 「ハイ、そうですね。私も楽しかったです。ありがとうございました」

対談を終えて

対談を終えて...

言葉に強さがあって、自信がすごいですよね。年下ですが、終始圧倒されました。さすが世界チャンピオン、頼もしかったですね。

最後に、とても興味深いことをキアラさんが話していたので紹介しておきたいと思います。男性とレースをして、女性と男性の違いを感じたかという話題だったのですが、彼女は、MX2を走った時に違いはフィジカルでも、ラインでもないと感じたそうです。ただ、男性は男性のペースの中で育っていますし、MX2ではそのペースに慣れています。キアラさんはWMXのペースの中で育ったから、MX2のペースには慣れていない。だから勝負ができなかったと。

彼女は、男性には負けていないということを言いたかったんだと思います。私自身が男性に勝てないという先入観を持っていたので、この言葉には目からウロコでしたし、環境がまさに人を変えていくのかなーと、色々と考えさせられる言葉でした。

でも実情を見れば、やっぱり男女に大きな差があるのは事実。私自身はA級のライセンスを持っているし、地方選手権ならば走れると思いますが、全日本は無理。そんな世界にキアラさんは正面から切り込んでいくわけで、これはすごいことです。だからこそ、モトクロスを知っている方はもちろん、知らない方にも観てもらえるとうれしいですね。

彼女が言うように、表彰台は簡単ではないとは思いますが、きっと性別を超越したレースをしてくれると期待しています。

それは全日本のレディスのライダーたちも大いに刺激を受けるはずなので、業界の活性化にも繋がっていくのではないでしょうか。

なにはともあれ、MFJGPはまもなくです。女性ライダーがIA2を走るなんて滅多にないチャンスなのでぜひ観戦にきてください。決戦は10月22日(日)、会場は宮城県のスポーツランドSUGO。もちろん、私の応援も忘れないようにね! 会場で待ってまーす!

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レース情報

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2017年10月19日

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