円熟味が増したオートマチック・スーパースポーツ 2025年モデルTMAXのデザインをご紹介します!
- 2025年1月17日
こんにちは。ヤマハ発動機販売 小林です。
2025年モデルのTMAX560 / TMAX560 TECH MAXを1月16日に発表しました。
TMAX560としてはじめて搭載されるBC(ブレーキコントロール)、クリアなサウンドとリニアな特性をもたらす吸排気系の仕様変更、滑らかな操縦性に貢献する新クラッチセッティングの採用で戦闘力がアップしたTMAX560。
さらに、TMAX560 TECH MAXは、ヘアライン仕上げの切削ホイールや「TPMS®(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)※」、出力アップしたグリップウォーマーなどを新たに採用しています。
※TPMS®は太平洋工業株式会社の登録商標
機能・装備も充実していますが、デザインも2022年モデルから変更されているんです。
そこで今回はTMAX560のデザイン担当者に2025年モデルのこだわりポイントを聞いてきましたのでご紹介します。
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TMAX 2022年モデル、2025年モデルデザイン担当
ヤマハ発動機株式会社 プロダクトデザイン部MCG
澁谷 啓之
オートマチック・スーパースポーツの伝統を継承・進化させ、熟成が進んだ2025年モデル
2025年モデルのTMAX560は、おもにフロントフェイスをブラッシュアップし、全体的には2022年モデルを成熟させていく方針でデザイン開発に臨みました。まずは2022年モデルが、歴代『TMAX』の伝統をどのように継承・進化させてきたか、お客さまがTMAX560に何を望まれてきたか、それをどのように実際の開発に反映させたのかを、いま一度ご説明することによって2025年TMAX560のデザインが目指したものが、はっきりとご理解いただけると思いますので、2022年モデルの考え方からご説明します。
TMAX560を求めるお客さまが考えるステータスとは「豊かな経験」だった
まず、TMAX560のお客さま像を語る上で重要なことは、TMAX560に乗ることがある意味でお客さまにとってステータスの象徴だということです。2022年モデル企画当時も、「"ステータスとはなにか"を具体的にプロジェクトメンバー全体で共有することが必要だよね」という話から始まり、実際にTMAX560の乗車体験や、お客さまへのインタビューを通して、ステータスの本質についてひとつの答えを見出しました。
ステータスというと、自身の成功の証として高級品を身につけることをイメージする方も多いかもしれませんが、お客さまにとって、ステータスと呼ばれているものは一日にして成るものではなく、人生経験によって長い年月をかけて積み上げられるもので、「豊かな経験=ステータス」とプロジェクトメンバー全員が共通の認識を得たことが大きな発見でした。
TMAX560が人生を豊かにするツールになりたい
豊かな経験をするためのツールを、お客さまは求めていらっしゃいました。そのツールは歴史やブランドに裏付けられた信頼に足るものであり、さらにはそれを主張するだけではなく、自然に使いこなしていることがまたステータスに繋がっていく。お客さまの人生を豊かにする、TMAX560はそんな存在であってほしいと改めて思いました。
俊敏な走行性能、スーパースポーツ感覚のハンドリングをデザインで表現
では、TMAX560がお客さまに豊かな経験を与えるためのツールであるために、どういったアイデンティティや強みがあるかですが、それは軽量であるところと『TMAX』が積み上げてきた20年以上の歴史です。『TMAX』の歴史を紐解いてみると、2001年にデビューした初代『TMAX』の開発メンバーが目指したのはYZF-R5(※)をオートマチックで実現することでした。
※YZF-R5は架空のモデルです。YZF-Rシリーズが排気量に応じてナンバリングされていることになぞらえ、500ccのスーパースポーツのイメージを表現したものです。
『TMAX』の魅力は、スクータースタイルながらもスポーツバイクのようなハンドリングや操縦安定性によってもたらされる俊敏な走行性能であり、これからも残していくべきポイントですし、これらをしっかりとデザインとしても反映させ感じてもらいたいと認識したのです。
この走行性能自体が、お客さまに特別な経験を提供できる最も重要なポイントです。
TMAX560が本来持っている魅力的な機能をありのままに表現したい。デザインを通して表現することで、お客さまにストレートにTMAX560の魅力が伝わるようにしたい点にこだわりました。
コンパクトボディ・インサイドアウト・紡いだ歴史を踏襲
2022年モデルをデザインするにあたって、三つのデザインキーワードを挙げて造り込みを行いました。一つ目がコンパクトボディであること。ボディサイズのコンパクト化によって、扱いやすくすることでお客さまの非日常の価値を最大化しようと考えました。二つ目にインサイドアウト。機能部品をカバーで覆うと、どうしても大柄に見えるので、出せるものはさらけ出して表現することで、スポーティさや機能美を感じていただきたい。最後に『TMAX』がこれまで紡ぎ、後に続くXMAXとNMAXとも共通性を持ったMAXシリーズのブランドアイコンもしっかりと踏襲することです。
具体的に言うと、360度ぐるりと見たとき、2020年モデルよりも小さくなったよねって言ってもらえるようなデザインに2022年モデルから取り組みました。コンパクトに見せることで軽量感や軽快感をアピールしています。ハンドルは、カバーで覆われたスクーター然としたものではなく、スポーツバイクのようなハンドルを採用したり、タンクキャップをカバーの下にしまわずにそのままダイレクトに開けられるものを採用したりといった、コンポーネントの外出しにも積極的に取り組みました。さらに、MAXシリーズの特徴である車体の高剛性感を象徴するブーメラン型のフレームカバーは、リアタイヤにトルクがかかり車体を前へ前へと押し出す力強さを表現しています。
スポーティにセッティングしたライディングポジション
ライディングポジションにもこだわり、コミューター的なライディングポジションだったものを、ハンドル位置などを見直しながら、スポーツライディング時は多少アグレッシブな姿勢をとれるような造り込みを行いました。
また、お客さまが乗ったときに見えてくるスタイリングに対しても、ライダーが走っている姿を想定し、フロントタイヤ、ライダーの頭部、リアタイヤの3点を結ぶ三角形の中にすべてが納まって見えるよう、フロントカウルやリアフェンダー、テールランプなど、オーバーハングとなる部分を極力絞りました。これにより、前後から圧縮されたような形状となり凝縮感が強調され、静止状態だけでなく、ライダーが乗車し走っている姿もスポーティでエレガントなシルエットになっています。
ライダーズビューにもこだわり、ツーリング先だけでなく街中でもモーターサイクルを操っていると実感できるように、コックピット周りを造り込んでいます。
さらに熟成させた2025年モデルのフロントフェイス
2025年モデルの刷新のポイントはフロントフェイスです。XMAX・NMAXという兄弟車が、ポジションランプをうまく使いながら非常に個性的な表情を構えるようになったので一番お兄ちゃんであるTMAX560ももっと主張していこうという方向性になりました。TMAX560のイメージを構成する主要な要素であるコンパクトボディとインサイドアウトはしっかりとキープしつつも、ヘッドライトを中心に顔まわり、ポジションランプの見え方をより洗練させました。
具体的にもうちょっと細かなポイントを解説すると、ポジションランプを活用したフロントフェイスの見せ方です。ヘッドライトユニットに対してラインビームを左右2本ずつ、目の下とカウルのふちに通して、アルファベットのTを横にしたラインが左右に見えている感じに仕上げました。
MAXシリーズ自体、生命感がある顔にしたいと考え、ちょっと目の鋭い西洋人の顔の目の印象、もしくは猛禽類の目がよく例として出されるのですが、『TMAX』では、獰猛はあるんだけれども、あくまで冷静沈着で知的な表情を意識しながらデザインしました。とはいえ、XMAXやNMAXに比べると、経験豊富なお客さまが多くなるので、より落ち着いて見えるとか、マチュア(mature、成熟、円熟)に見えることが重要であると考えています。あえてそれを全面に出さない大人の余裕といった感じですね。
デザインのコンセプトは、2022年モデルから「The Beast unveiled」 (紳士の装いをした"獣")を踏襲しています 。鍛え上げた肉体はスーツで隠し、その時がくれば秘めたるポテンシャルをあらわにし、敵と戦うスパイ映画の主人公のようなイメージ(笑)。よりジェントルな表情を目指してフロントフェイスをアップデートした2025年モデルにもバッチリはまるんです。
2025年モデルは目の部分が一番のポイントではあるのですが、顔まわりの表現についても、細かい部分でいろいろとアップデートしています。継続するリアまわりはそのままに、フロントとリアで印象が異ならないようバランスを意識しながらナチュラルにつながる造形にしています。2022年モデルから継続で変えられないラインや構造という課題にも向き合わなければなりませんでした。実はフルモデルチェンジと同じくらい時間をかけて試行錯誤しているんです。
造形にメリハリをつけて車体をコンパクトに
例えば、ポジションランプを入れたことによって、その分ヘッドランプ周りの面は実容量として大きくなってしまうのですが、それを単純に大きく見せないような工夫をしています。むしろそれを逆手に取って、コンパクトに見せるようにしました。内容物の増加に合わせて外装をぴったりに貼ってしまうとただ大きい見た目になってしまうのですが、あえて膨らみを持たせる部分を作って、その落差でコンパクトに見せています。そういったメリハリをつけるための細かい作業を何度も繰り返しているんです。
良好な旋回性が感じられるフロントタイヤを巻き込むような造形
さらにはTMAX560が元から持っているフットワークとか旋回性がしっかりと感じられるような造り込みです。フロントタイヤを巻き込むような造形感を意識して、しっかりと前輪に荷重をかけて、クイックに曲がれるような印象を、フロント周りのカバーの造形化にも反映しています。
顎を引いたような造形で知的な印象のフロントフェイス
目だけでなくフロントフェイスの先端、人間でいうと鼻の造形も変更しています。先端を"ツン"と終わらせずにピークを少し下に持ってきて、少し顎を引いたような表情になり、知的なイメージを表現しています。2022年モデルが成長して、ちょっと大人になったみたいな雰囲気です。
心地よい防風効果が得られるウインドスクリーン
フロント周りを変更したので、防風効果もリセッティングしています。どのように風が当たるかや、不快な風が当たらないように、風洞試験を何回も重ねながら造り込みをしています。流体解析で数値を出しますが、クレイモデルを風洞室に設置し、実験ライダーに乗ってもらい、低速から高速までの空気の流れを当て、その都度クレイを盛ったり削ったりして調整していきます。実験ライダーには何度も乗ってもらって、実験データだけではない、肌感覚による心地良さまで最適化を図っています。
直感的に走行状況がわかるTFTメーターの新テーマ
TMAX560では、TFTメーターのデザインテーマを3種類から選択できるのですが、2025年モデルでは、そのうちの1つ『Authentic style』を変更しました。2022年モデルに搭載されていたオーセンティックな針式メーターデザインから、スマートフォンのようなフラットデザインを取り入れたシンプルなものにしました。表示色の変化といったビジュアルにより回転数や速度域が分かるように仕上げています。また、2025年モデルからETCのインジケーター機能も搭載しました。
※画面は開発時のイメージです。実物とは異なる可能性があります。
シボパターンを変更しスポーティに仕上がったシート表皮(TECH MAX)
TECH MAXに関しては、シート表皮のシボ加工パターンを変更しました。今まではいわゆるラグジュアリー感が強いシート表皮を採用していましたが、スポーティさやTECH MAXが持つ先進的なテクノロジーを感じられるようなシート表皮パターンを採用してスタンダードモデルと異なる個性を表現しています。
スポーティなスクーターに乗っているという感覚を、さらに熟成させてデザインに取り込んでいますので、このスポーティさをお客さまに感じていただければと思います。
最後にカラーリングをご紹介します。
TMAX560 TECH MAXは、2色をラインナップ。
・マットダークレディッシュグレーパール1(マットダークレディッシュグレー)
深みのあるレッドフレークが自然光の下で美しくきらめき、内に秘めた力強さを主張するカラーリング。
・ブルーイッシュグレーカクテル2(グレー)
TMAX560の進化を象徴する無機質でモダンな印象のカラーリング。
TMAX560スタンダードモデルのカラーは以下になります。
・マットブラック2(マットブラック)
TMAX560のテクニカルでスポーティなキャラクターを表現したカラーリング。
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いかがだったでしょうか?
デザイン担当者こだわりの2025年モデルTMAX560は、2月28日に発売となります。
ぜひとも店頭でTMAX560をご覧ください。
それではまた。
■関連リンク
TMAX560製品ページ
- 2025年1月17日