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R-DNAの継承と現代の価値観を融合! 2025年モデルYZF-R3/YZF-R25のデザインをご紹介します

2025年3月21日
こんにちは。ヤマハ発動機販売 田邉です。
2025年モデルYZF-R3/YZF-R25が3月18日にリリースされました。YZF-R1から続くYZF-Rシリーズの魅力的なデザインを継承しながら、さらにスタイリッシュなデザインへ進化しました。
2025年モデルYZF-R3/YZF-R25の新たなデザインに込められた思いと、隠れた工夫やとっておきのウラ話をスタイリングデザイナーに聞きましたのでご紹介します。
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2025年モデルYZF-R3/YZF-R25

2025年モデルYZF-R3/YZF-R25
デザイン企画:プロダクトデザイン部 安田 将啓(写真左)
デザイナー:プロダクトデザイン部 保井 康佑(写真右)


R-DNAの継承と現代の価値観の融合を目指したデザイン

※	画像はデザインスケッチです。実際の車両とは一部異なります。(以下に続くデザインスケッチも同様です。)

※ 画像はデザインスケッチです。実際の車両とは一部異なります。(以下に続くデザインスケッチも同様です。)

デザイン企画:安田
2025年モデルYZF-R3/YZF-R25をデザインするにあたっては、2つの方向からアプローチしました。1つ目は、すでにしっかりと存在しているYZF-RシリーズのDNAを一貫して訴求するということです。YZF-R3/YZF-R25のスピード感を想起させるスタイリング、高速移動体としての塊感、そして独創的なカラーリングなど、これまでのYZF-Rシリーズで培ってきたポジティブなイメージを活かしたアプローチです。2つ目は、車両をパッと見たときにカッコイイなと思えるスタイリングや、乗っているときにも他人から注目を集められるといった、今の価値観に沿ったエントリーモデルとしてのアプローチです。
この二つをいかに融合し共存させていくのか、というところからデザイン検討をスタートしました。

この二つのアプローチを調和させるために【Insta(R)Genic】をデザインコンセプトとして打ち出しました。


Insta(R)Genicというデザインコンセプト

Insta(R)Genicとは4つの意味を込めた造語なんです。

Insta(R)Genicとは4つの意味を込めた造語なんです。
1つ目の意味が「Instant」です。より気軽にいつでも、どこでも、すぐに、手軽さを大事にしているという感覚です。2つ目は「Star」です。非日常感や、心のどこかで他人からの視線を集めたいということです。3つ目は「R genic」です。genicは遺伝子という意味を持ちR-DNAの継承を表現しています。4つ目は「Instagenic」です。SNSに代表されるような写真やビジュアルへの興味・共感、いわゆる「映え」というものです。

Insta(R)Genicとは、これらの意味を1つにまとめた言葉です。

Insta(R)Genicとは、これらの意味を1つにまとめた言葉です。
この考え方を体現したデザイン制作を行うために、洗練された印象と機能性を重視する方向性にしました。

※画像は一部海外モデルが含まれています。国内モデルと一部仕様が異なります。(以下に続く画像も同様です。)

※画像は一部海外モデルが含まれています。国内モデルと一部仕様が異なります。(以下に続く画像も同様です。)

二眼ヘッドランプの生物的なデザインを変更して、より洗練された印象を持たせるために、ダウンフォースを強調して威嚇するのではなく、水平基調でより伸びやかなエアロダイナミクスを感じさせるような、空力性を考慮しました。

そして、忘れてはいけないのが、新たにUSB Type-A端子対応ソケットを装備したことです。

そして、忘れてはいけないのが、新たにUSB Type-A端子対応ソケットを装備したことです。実用的な面もパワーアップさせて、現代ライダーのニーズに応える細部の造り込みにも注力しているんです。


YZF-Rシリーズが持つ有機的な面に無機質な要素が巧みに混じり合ったデザイン

YZF-Rシリーズが持つ有機的な面に無機質な要素が巧みに混じり合ったデザイン

デザイナー:保井
YZF-Rらしさの継承として、YZF-R1の造形感を参考にしてデザインに取り入れています。例えば、水平軸を車両のノーズからテールまで貫いて、高速移動体としての象徴となるような造形や、フロントノーズをしっかり前に出し、フロントタイヤにしっかり噛み付くような乱流を生ませないS字シルエットといったYZF-Rシリーズのイメージを継承しています。250ccと320ccならではのスリムさと、それでいてしっかりと走りへのこだわりも持ち合わせている、アスリートのようなボディを表現しています。


絞り込んでタイトに見せるボディ
水平軸にサイドカウルの縦のラインを直交させることで「人機官能」を表現

水平軸にサイドカウルの縦のラインを直交させることで「人機官能」を表現

デザイン企画:安田
特にマットパールホワイトだとよく分かるのですが、サイドカウルの縦のラインは、ライダーが跨がった時に、ヘルメットのこめかみ辺りから燃料タンクカバーの音叉マークを通ってエンジンのクランクケースまで、ちょうど一直線に繋がるように配置しています。これは、ヤマハ発動機が掲げる独自の開発思想である「人機官能」をイメージしてもらうメッセージを込めているんです。

ヤマハならではの「バイクに乗ったら良さが分かる」を、デザイン面で全体的なスタイリングから見て、しっかり造り込んでいるということを感じてもらいたいです。

随所から感じられるハイコントラストな機能美

随所から感じられるハイコントラストな機能美

デザイナー:保井
サイドから見ると、先頭にはウィングレット、その後ろにはエアロマネジメントを担うアウターカウルと、ライダーの二―グリップを意識したインナーカウル、その隙間にはラジエターからの排熱を流すアウトレット、これらが一つの大きな面の中に共存しています。

アウターカウルは空気をしっかり弾くエアロマネジメントに特化してクリーンで硬質に施されています。対して、ライダーの足や膝などが触れるインナーカウルは、バンクしたときの膝が動く位置まで考慮して、動きを阻害しないような有機的な形状になっています。

アウターカウルは空気をしっかり弾くエアロマネジメントに特化してクリーンで硬質に施されています。対して、ライダーの足や膝などが触れるインナーカウルは、バンクしたときの膝が動く位置まで考慮して、動きを阻害しないような有機的な形状になっています。

このように、人の体に触れることを考えた有機的な面と、風を受け流す外側の硬質で無機質な面が、近い場所で機能や形状の差を見せることで、"ハイコントラスト"なデザインを感じてもらえると思います。

シート周りとリアウイングも同様にハイコントラストな造形を意識しています。例えば、伏せたライディングポジションのときは、お尻がタンデムシートの先端につくぐらいまで下がりますし、そのままバンクするとお尻が横から降りてきます。

シート周りとリアウイングも同様にハイコントラストな造形を意識しています。例えば、伏せたライディングポジションのときは、お尻がタンデムシートの先端につくぐらいまで下がりますし、そのままバンクするとお尻が横から降りてきます。そのため体が当たるシート付近の外装はなるべく有機的になるように作っています。対してリアウィングは、風をしっかりコントロールして逃がすため、クリーンで信頼感ある形に造り込んでいます。

新しいYZF-Rを感じさせるフロントフェイス・サイドカウル・テール周り

新しいYZF-Rを感じさせるフロントフェイス・サイドカウル・テール周り

デザイナー:保井
フロントフェイスは、我々が"Glaring Eye"と呼んでいる睨み目二眼のポジションランプと、YZR-M1から受け継いでいるM字ダクトといったYZF-RシリーズのDNAを継承しています。そのうえでYZF-Rシリーズの知的な印象を高めるため無機質な要素をプラスアルファして、ポジションランプは斜めのラインが2本の直線形に、M字シェイプ下には、より空力に適ったウイングレットを配置することで、クールな表情に造り込んでいます。

サイドカウルは、2020年モデルYZF-R3/YZF-R25に比べてフラットにすることで、できる限りバランスを取りながらスリム化しています。

サイドカウルは、2020年モデルYZF-R3/YZF-R25に比べてフラットにすることで、できる限りバランスを取りながらスリム化しています。フロントから見るとスリムで軽快感が向上していますが、単に細くするだけだとフロントで風を受ける面積が減ってライダーに風が当たりやすくなってしまいます。そのため、表面を硬質でクリーンなものとし、サイドカウル後端を風が外に流れるような形にすることで、空力性とライダーへの負担軽減を両立させています。

そのため、表面を硬質でクリーンなものとし、サイドカウル後端を風が外に流れるような形にすることで、空力性とライダーへの負担軽減を両立させています。

デザイン企画:安田
フロントからの風がライダーの腕に当たらないことを念頭に、フロントからサイドカウルにかけての形状の造り込みをしています。頭を伏せたライディングの際に、なるべくライダーの拳に風が当たらず、脇を通って抜けていくように風をコントロールしています。

リアは、新たにYZF-R3/YZF-R25専用となっていて空力を意識したテールウイングのデザインとしています。フロントとテール双方でしっかりと風をコントロールするという印象が、近年のYZF-Rシリーズとのリレーションを生み出し、妥協せず造り込んでいるというヤマハからのメッセージなんです。

シート周りをスリム化し足が下ろしやすく、さらに足つき性が向上

シート周りをスリム化し足が下ろしやすく、さらに足つき性が向上

デザイナー:保井
スーパースポーツの最初の1台としてお選びいただく若いお客さまは、扱いやすさに直結する足つき性を気にされる方も多いと思います。良好な足つき性に定評がある2020年モデルYZF-R3/YZF-R25とスペック上のシート高は780mmと変わりませんが、脚が触れる部分のサイドカバー形状や、シート幅をスリム化することで、足つき性が一段と良くなりました。シート幅は左右最大6mmずつ、サイドカバーの幅は片側だけで約13mmのスリム化を実現しています。小柄なお客さまでも安心感を持って跨っていただけると思います。

デザイン企画:安田
シート幅を細くするほど足つき性は良くなります。ただ快適性は削ぎたくなかったんです。このバランス調整を最後の最後まで試行錯誤して、お客さまが納得いただける幅まで絞り込めたと自負しています。


速さへの情熱と日常での扱いやすさを両立させたウイングレット

速さへの情熱と日常での扱いやすさを両立させたウイングレット

デザイナー:保井
実は、ウイングレットをどのように取り入れるかには、とてもこだわりがあったんです。YZR-M1などのレース車両の世界では、ウイングレット装着は性能を最大限引き出すために近年採用が広がっているのですが、この2025年モデルYZF-R3/YZF-R25は、日常でも扱いやすいマシンという使命があります。
このモデルにカウルから飛び出したウイングレットを装着すると、パッと見のイメージで大柄に見えてしまい、レーシーでアグレッシブな印象が先に立ちすぎてしまうんです。「これって自分が扱えるのかな」という不安感が出てきてしまうことを想像しました。とはいえ、YZF-RシリーズのDNAを継承したマシンということをしっかりと訴求したかったので、フロントフェイスは進化させたかったんです。

結果として、カウルから飛び出した大柄なウイングにせずに、フロントフェイスの中に統合させていくような形状に至りました。統合させながらも実際に穴もしっかり通っていますし、ウィングの中を通った風を整流する役割を担う有機的な面質は、ウィングを統合させた今回のYZF-R3/YZF-R25ならではの美しさを持っています。

結果として、カウルから飛び出した大柄なウイングにせずに、フロントフェイスの中に統合させていくような形状に至りました。統合させながらも実際に穴もしっかり通っていますし、ウィングの中を通った風を整流する役割を担う有機的な面質は、ウィングを統合させた今回のYZF-R3/YZF-R25ならではの美しさを持っています。

スピードへの情熱もちゃんと感じさせる機能性と、アグレッシブになりすぎないバランスが、このウイングレットの存在感に表れていて、これが2025年モデルYZF-R3/YZF-R25の特徴にも繋がっていると思います。

そして、今回特に苦労したのが、新作したリアウイングの調整です。

そして、今回特に苦労したのが、新作したリアウイングの調整です。アグレッシブさを抑えすぎると、凛とした知的な感じも同時に無くなってしまうし、さらに言うと走行風に負けた印象が出てしまうんです。走行風をしっかりコントロールするくらいのバランスを出すのに試行錯誤してクレイをひたすら削り続ける毎日でした。

シート下はたくさんの電装部品が詰まっている場所なので、絞ってスタイリッシュにしようとしてもリア周りはわずかしか絞れないという制約もあったんです。それでも細いボディの体幹と大きな空気吸入口にしたいという考えがあって、今の造形表現に至りました。


デザインの発想はYZF-R3/YZF-R25が先!?
新型ポジションランプの構成

新型ポジションランプの構成

デザイン企画:安田
私のこだわりはポジションランプですね。ラインが左右それぞれ2本走っている鋭い"目つきは"新しいYZF-Rシリーズの象徴なんです。本日から、開催されている大阪モーターサイクルショーにて市販予定車として展示されているYZF-R9とリレーションを図っています。実はこのポジションランプを二つ並べるデザイン表現はプロジェクトが先行していた2025年モデルYZF-R3/YZF-R25が先に検討を始めたんです。
我々が新しい時代の扉を先に開けようという思いもありました。また、YZF-Rシリーズのラインナップがそれぞれ新しい個性を出していこうという方針もあって、良いものはどんどん取り入れていきました。こうしたヤマハ発動機のチャレンジ精神も一緒に感じていただけたら嬉しいです。

こうしたヤマハ発動機のチャレンジ精神も一緒に感じていただけたら嬉しいです。

デザイナー:保井
直線の2本のラインにポジションランプを仕立てたのにも、実は意味があるんです。YZF-R7では1本のラインが通っているんですが、よく見ると端が上がっていたり最後はちょっとだけ落ちていたりといった曲線になっているんです。フロントフェイスの目に当たる部分を司るポジションランプの角度や形状によって、見たときの印象がガラッと変わるんです。

鷹の目と言われるような知的かつ、しっかりその奥に情熱を秘めているような目のデザイン思想を残しつつも、お客様の目にもちゃんと印象的に留まるように進化させたかった。一目見て心に残るシンプルさが欲しかったんです。例えるなら、スマホサイズで見ても明快なアイコンです。
その結果、無機質な直線だけで表現しようと試行錯誤して、2025年モデルYZF-R3/YZF-R25のコンセプトを体現したデザインになりました。


消灯時には存在感を隠し、奥まった位置にあるヘッドランプ

消灯時には存在感を隠し、奥まった位置にあるヘッドランプ

デザイン企画:安田
M字ダクトのセンターに位置するヘッドランプにもこだわりがあります。実は、YZF-Rシリーズの中で一番奥にヘッドランプがあるんです。ヘッドランプ周りの熱害を防ぐ樹脂カバーなどを取り外し、近くにあるパーツに熱が及ばない距離を取りつつ、小さくなったヘッドランプをできる限り奥まで押し込んでいます。ただ押し込んだだけではなく、ランプを点灯したときに照射される光の軌道が、外の枠に引っかからないようにしています。消灯時は奥まっていて静かにその存在感を消すのですが、点灯すると存在感ある綺麗な光が広がるようになっていますので、その"コントラスト"も楽しんでいただけたらと思います。


遊び心と美しさにこだわった「隠れRロゴ」を探せ!

デザイン企画:安田
ここまで、デザインひとつひとつに深い意味が込められているという話をしてきましたが、デザインチームの"遊び心"で、「隠れRロゴ」がボディに潜んでいますので、実車を見たときにぜひ探してみてください!
一つだけヒントを言うと、樹脂パーツの中にRロゴの箇所だけ艶あり処理にしています。これによって、エンジンをかけてヘッドランプを灯すとRロゴが浮き上がって光るような仕様になっているんです。


ボディに穴あけせずに取り付け可能な専用リアキャリアをオプション設定

ボディに穴あけせずに取り付け可能な専用リアキャリアをオプション設定

最後に、細かいこだわりポイントを紹介します。株式会社ワイズギアから新作のリアキャリアがラインナップされています。こちらはボディに穴をあけることなく、テール裏側に付いているキャップを外せば、ボルトオンで取り付けることが可能です。これまでのモデルではキャリアを取り付けようとするとボディに穴あけ加工をしないといけなかったんですが、2025年モデルYZF-R3/YZF-R25は穴あけ加工不要でリアキャリアの取付を可能にしました。初めて購入するバイクはできるだけ穴をあけたくないですもんね。

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いかがだったでしょうか?
デザイナーがこだわり抜いて造り込んだYZF-R3/YZF-R25は4月24日に発売します。
現在開催されるモーターサイクルショーでも、もちろん展示しています!
ぜひ、モーターサイクルショーや店頭で実車をご覧ください。

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さらに、YSPの専用サイトからは各店の試乗車や展示車を確認いただけます。

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それではまた。

■関連情報
YZF-R3/YZF-R25製品ページ

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2025年3月21日

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