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TFTディスプレイや各部の改良で使い勝手が大幅アップした2026年モデル「TRICITY155/125」の開発秘話をお届けします!

2025年9月11日
こんにちは。ヤマハ発動機販売 田邉です。


フロント2輪+リア1輪が安心感と軽快さを両立し、幅広いライダーから支持を受けているLMW(リーニングマルチホイール)の「TRICITY155/125」2026年モデルが9月9日に発表されました!
※ヤマハ発動機は、車輪及び車体全体がリーン(傾斜して)旋回する3輪以上のモビリティをLMW:Leaning Multi Wheel(リーニング・マルチ・ホイール)と呼びます。

2014年に発売されたTRICITY125から10余年を迎え、今回はスタイリングを大きくリニューアルし、フロントフェイスやサイドカバー、テールまわりを一新しました。

2014年に発売されたTRICITY125から10余年を迎え、今回はスタイリングを大きくリニューアルし、フロントフェイスやサイドカバー、テールまわりを一新しました。さらにTFTカラー液晶ディスプレイとUSB Type-C端子に対応した充電ソケットを装備、トップケースが装着しやすくなるリアキャリアなど、使い勝手も向上しました。
2026年モデルTRICITY155にはトラクションコントロールシステムや、急制動を検知した際に周囲にハザードランプでお知らせするエマージェンシーストップシグナルも搭載しています。

今回は、開発チームおよび商品企画の担当者に、2026年モデル「TRICITY155/125」のこだわりポイントを聞いてきたのでご紹介します!

2026年モデル TRICITY125/155開発チームと商品企画のみなさん(左から)

2026年モデル TRICITY125/155開発チームと商品企画のみなさん(左から)

・商品企画:MC商品戦略部 礒崎 祐多
・システム設計:システム開発部 杉山 文哉
・エンジン設計:先行企画開発部 山本 健介
・プロジェクトリーダー:CV開発部 浅野 大輔
・エンジン実験:第1PT実験部 藤原 雅司
・車体設計:CV開発部 西村 翔
・車体実験:第1車両実験部 村瀬 悠

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既存ユーザーのみならずエントリー層にも扱いやすい使いやすさを重視

商品企画:礒崎

商品企画:礒崎
2026年モデルTRICITY155/125で重視したのは、125cc・155cc排気量ならではの軽快さとフロント2輪ならではの安定感、トレンドに合わせた上質なスタイリングです。近年のトレンドを分析し、デザイナーと会話していく中で出てきたアイデアがSUVのクロスオーバーテイストでした。2026年モデルTRICITY155/125はSUVのような上質かつ機能的な造形を採用しています。

また、既存のお客さまだけではなく、これからTRICITYシリーズにエントリーされるお客さまにも扱いやすく、使い勝手の良さを追及し、4.2インチのTFTカラー液晶ディスプレイやUSB Type-C端子に対応した充電ソケットを装備しました。

そして、コストアップをある程度抑制しつつ、大きくモデルチェンジをするということにとても苦労しました。

デザインに関しては、前回のブログでデザインチームが説明していますので、そちらをご覧ください。

クロスオーバーテイストを取り込み進化した2026年モデルTRICITY155/125のデザインを紹介します!

クロスオーバーテイストを取り込み進化した2026年モデルTRICITY155/125のデザインを紹介します!

プロジェクトリーダー(以下、PL):浅野

プロジェクトリーダー(以下、PL):浅野
コストとのバランスをとりながら、TRICITYとしていかに新しい魅力を引き出すか。これは開発としても苦労したポイントなんです。


見やすさも追求した新採用のTFTカラー液晶ディスプレイはTurn by Turnナビゲ―ションなど多彩な表示が可能に

システム設計:杉山

システム設計:杉山
機能面で言えば2026年モデルTRICITY155/125はディスプレイが変わったことが大きいと思っています。従来モデルはモノクロ液晶メーターでしたが、今回から新たに4.2インチのTFTカラー液晶ディスプレイを採用しました。

さらに、Y-ConnectアプリをインストールしたスマートフォンとBluetooth®で接続する「CCU(Communication Control Unit)」が新しくなり、ディスプレイ内に目的地までを矢印や距離などで表示してくれるTurn by Turnのナビゲーションが搭載されました。

さらに、Y-ConnectアプリをインストールしたスマートフォンとBluetooth®で接続する「CCU(Communication Control Unit)」が新しくなり、ディスプレイ内に目的地までを矢印や距離などで表示してくれるTurn by Turnのナビゲーションが搭載されました。
※Bluetooth®はBluetooth SIG, Incの登録商標です。

また、メール受信の表示は2026年モデルから着信通知だけではなく文字表示もできるようになり、メールの中身を確認できるようになっているんです。加えて、音楽再生の操作や電話着信の応答ができるほか、スマートフォンとの接続でディスプレイ内の時刻がスマートフォンと同じ時刻に自動調整されるのもポイントです。

※背景色を日中(ホワイト)、夜間(ブラック)の2パターンに変更可能

※背景色を日中(ホワイト)、夜間(ブラック)の2パターンに変更可能

※背景色を日中(ホワイト)、夜間(ブラック)の2パターンに変更可能

システム設計:杉山
やはり、コミューターモデルなのでディスプレイは見やすさを重視しました。ホワイトとブラックの背景変更による昼夜表示が可能となり、画面の明るさと共に、周りの環境に合わせて自動で調整されます。

さらに、画面の表示モードは2パターンから選択できます。モード1はタコメーターのある機能中心に表示するモード。モード2はシンプルな画面ですが、回転数に応じてファンクションバーが波打つ情緒的なモードになっているんです。

車体実験:村瀬
一般的にディスプレイは配置する角度によって画面が反射して見えにくくなることがあります。中でもホワイトは最も反射しやすいので、実際に評価実験を繰り返し行い、ディスプレイを配置する角度を決めました。

また、ディスプレイのメニューを切り替えるスイッチは、直観的に操作できることにこだわり造り込みました。

また、ディスプレイのメニューを切り替えるスイッチは、直観的に操作できることにこだわり造り込みました。

ライト消灯時の見え方、グラブバーの使いやすさにもこだわりポイントが!

車体設計:西村

車体設計:西村 
2026年モデルTRICITY155/125は、灯火器類とフェイスまわり、サイドカバー、グラブバーを含めたテールまわりを一新しています。

まず、ヘッドランプは2025年モデルNMAXのモジュールを流用しつつ、LEDポジションランプを新作しています。カッコよくするために、ポジション灯のレンズ自体を厚肉にして高級感を出す工夫もしています。

実は、ランプはレンズ裏側にあるパーツの色によって見栄えが変わってくるんです。

実は、ランプはレンズ裏側にあるパーツの色によって見栄えが変わってくるんです。白色パーツは光の拡散に優れ、点灯時の均一な発光に貢献しますが、一方で、消灯時にはレンズ越しに白が透けて見えるため、今回のTRICITYのコンセプトには合いませんでした。2026年モデルTRICITY155/125はブラックとすることで、ランプが光ってない時の高級感を演出しています。

テールランプ自体は2025年モデルNMAXから流用していますが、テールカウルは新作になっています。

テールランプ自体は2025年モデルNMAXから流用していますが、テールカウルは新作になっています。特に、NMAXとの違いを演出するためのテールランプと周辺の外装カバー構成にはとても苦労しました。

新しいデザインとなったグラブバーは、従来モデルより位置を少し上げて握り易さを向上させました。これに関しては、アクセサリーのトップケースを装着する場合の位置をまず決め、どの位置にグラブバーがあればタンデムライダーの手が入りやすく握りやすいか、クレイモデルを使って幅や高さ、中の奥行を調整して最適化しました。

車体実験:村瀬

車体実験:村瀬
今回、乗車に関わる部分で変更点は少ないのですが、グラブバーは大きく形状が変更されたパーツの一つです。実際に乗って、タンデムライダーの使い心地はもちろん、センタースタンドを上げ/下げする時の評価も行っています。細かいことをいうと、グラブバー前側の厚みが細すぎるとエッジ状になって指に食い込むため、少し幅を増やして握りやすくする工夫もしています。


グローブボックスの容量を拡大し、
USB Type-C端子に対応した充電ソケットは様々な使い方を想定して位置を決定

車体設計:西村

車体設計:西村 
インナーパネル右側にあるグローブボックスの容量も増えています。従来モデルは内部のDCソケットが容量を圧迫していました。2026年モデルはDCソケットに代わってUSB Type-C端子に対応した充電ソケットを採用し、インナーパネル左側に搭載位置を移動することで、ボックス内の容量を増やしています。

実は、このUSB Type-C端子に対応した充電ソケットの位置は紆余曲折がありました。

実は、このUSB Type-C端子に対応した充電ソケットの位置は紆余曲折がありました。ディスプレイの近くやハンドル箇所に設置するなど様々な意見があったのですが、多彩なパターンで使うことを想定し、現在のインナーパネル左側の位置を採用したのです。


TRICITY125にもシート下トランクの室内灯を搭載

シート下トランクの室内灯は、今までTRICITY155だけの装備でしたが、2026年モデルではTRICITY125にも採用しました。

シート下トランクの室内灯は、今までTRICITY155だけの装備でしたが、2026年モデルではTRICITY125にも採用しました。

そして、スクリーンのカラーはブルースモークからブラックスモークに変更しました。

そして、スクリーンのカラーはブルースモークからブラックスモークに変更しました。従来モデルのブルースモークも綺麗なんですが、ちょっと優しすぎる印象に......。そこで車両のスタイリングがある程度決まってきた段階でデザイナーと調整。2026年モデルはより引き締まってみえるブラックスモークを採用しました。


美観も徹底してこだわった特別な加工なしでトップケースが装着可能なリアキャリア

車体設計:西村

車体設計:西村 
従来モデルではトップケースを装着するために意匠部品に穴開け加工が必要だったので、どうしてもここは改善したいと思っていたんです。2026年モデルはキャリアのカバーを外すと、トップケース装着用の台座を直接締結できる構造になっています。

他にも細かい部分ですけれど、キャリアのカバーを外した後の美観にもこだわり、トップケースを付けても見える面など、設計側からデザイナーに提案して細部まで形状を工夫し調整を施しました

エンジンは最新規制に対応、さらにテンショナーの変更で熟成が進んだ

エンジン設計:山本

エンジン設計:山本
エンジンは排ガスなど法規制対応がメインですが、いくつか変更点があります。エンジンの基本設計自体はBLUE CORE※エンジンを採用した2018年モデル(155は2017年モデル)から変わっていませんが、少しずつ熟成が進んできました。2026年モデルはエンジンの素性をさらに良くするため、2025年モデルのNMAXと同様にカムチェーンの張り具合をコントロールするカムチェーンテンショナーを機械式から油圧式に変更し、フリクションロスを低減しています。
※"BLUE CORE (ブルーコア)"とは走りの楽しさと燃費・環境性能の両立を高次元で具現化するエンジン設計思想で、高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減の3点にフォーカスして性能実現を図っています。

初代のBLUE COREエンジンから10余年、ずっとこのエンジンの開発に携わってきました。10年以上かけて少しずつ進化させ、今回さらに熟成が極まったと感じています。


新しい排ガス規制に対応しつつも乗り味はしっかりキープ

エンジン実験:藤原

エンジン実験:藤原
新しいOBD規制に対応するため、2026年モデルTRICITY155/125ともにマフラーにリアO2センサーを追加しました。さらに、TRICITY155はエキゾーストパイプの形状が少し変わっています。125ccより155ccの方が高負荷で使用されるため、155ccは現行モデルより太く容量の大きな触媒を搭載しています。

触媒を長くして規制をクリアする手段もあるのですが、どうしても抵抗が大きくなり性能が変化してしまいます。そこで、触媒やエキゾーストパイプの最適な径を選定し、性能をキープしました。形状変更に伴い、FIなどのセッティングも最適化し、乗り味が変わらないような工夫をしています。


新採用のトラクションコントロールシステムはフロント2輪ならではの苦労が...

エンジン実験:藤原

エンジン実験:藤原
2026年モデルTRICITY155には、後輪のスピンを抑制するトラクションコントロールシステムを搭載しました。ヤマハの155ccの3輪モデルでは初採用になります。一般的な前後2輪のバイクと違い、フロント2輪ならではの難しさがあります。TRICITY155のトラクションコントロールシステムは前左右輪と後輪センサーの信号を使って後輪スピンの兆候を検知します。悪路走行時は前片輪だけ路面ギャップに入った時などに前左右輪に速度差が発生します。このような場面でもトラクションコントロールが正しく作動し停止するように、実走テストを重ねて造り込みました。

LMWは雨などで路面状態が悪くなっている状況でもフロント2輪ならではの安心感を持って走れることがメリットなので、トラクションコントロールシステムとの組み合わせはとてもマッチしていると思います!

2026年モデルTRICITY155/125は「TRICITY」を愛するユーザーへの回答でもある

PL:浅野

PL:浅野
今まで担当者がご説明してきた通り、2026年モデルTRICITY155/125は社内のあらゆる技術を盛り込み、TRICITYらしさを表現する部分にはしっかりとコストをかけて、魅力的なパッケージに仕上げました。
一言で言うと「選択と集中」、これがこのモデルの一番苦労したポイントだと思います。

2014年の初代TRICITY125から乗っていただいているお客様にとって登場から10余年が経ちました。「TRICITYまわし※」と言われるほどTRICITYを乗り継いで、愛してくださっているお客様が大勢いらっしゃいます。2026年モデルは、エントリー層はもちろんのこと、従来のTRICITYユーザーへ向けた車両でもあると思っています。

※TRICITYの乗換に次もTRICITYを選んでくださるお客様のこと

2023年に箱根ターンパイクで実施した

2023年に箱根ターンパイクで実施した"TRICITYカフェ"に開発チームとして参加した際にお客さまから「LMWに乗っているライダーのために次のモデルを出して欲しい」と言われていたんです。実は、それをずっと覚えていて、10余年の節目に少しは応えられたかなと考えています。

親子バイ

※2023年に開催したTRICITYカフェのお客さまからのTRICITYに対するメッセージ

TRICITYは3輪ですが、ヤマハが2輪車で培ってきた経験やスキルを活かして開発しています。きちんと"2輪車"を意識した車両に仕上がっている点が、ヤマハの強みだし、僕たちが大事にしているところです。

我々開発陣がこだわって造り込んだ2026年モデルTRICITY155/125をぜひ体感してみてください。

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商品企画&開発陣がこだわり抜いて開発を行い、一段と魅力がアップした2026年モデルTRICITY155/125。新しくなったクロスオーバーテイストのデザインはもちろん、開発陣が説明した新型ディスプレイや細部の質感や使い勝手は実車を見なければなかなか伝わりにくいかもしれません。

2026年モデルTRICITY155&125の発売日は9月25日です。
気になった方はぜひ、全国のヤマハ バイク取扱店へお越しください。

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YSPの専用サイトからは各店の試乗車や展示車をご確認いただけます。

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それではまた。

【関連情報】
TRICITY155製品ページ

TRICITY125製品ページ

TRICITY155アクセサリー

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2026年モデルTRICITY155&125デザイナーインタビュー

2025年9月11日
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