オンリーワンのルックスと音質で生まれる、XSR900 GPの新たな魅力。 伝説のMORIWAKI FORESIGHTが、ヤマハ車専用パーツとして復活
- 2025年9月12日
80年代レーサー風のノスタルジックなデザインを、最新の車体にコンバートしたルックスが特徴のXSR900 GP。
当時を知る方には懐かしく、若い世代には「新しい」と感じていただけるデザインで、
街で見かけた時「つい振り返ってしまう」と言っていただけることも多い、人気車種です。
2025年3月に開催された東京モーターサイクルショーで、モリワキエンジニアリングから、このXSR900 GP用のフルエキゾーストマフラー「XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust」が発表され、大きな話題になりました。
現地で見た方はもちろん、数多くのメディアから発信されたニュースでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
「フォーサイト」といえば、個性的なデザインと革新的なコンセプトを持つ、80年代のモリワキの象徴ともいえる伝説のマフラーです。
東京モーターサイクルショーでは、フォーサイトマフラーを装着して走り、1984年に全日本ロードレース選手権のTT-F1クラスで初代チャンピオンを獲得したモリワキのコンプリートマシン「ZERO-X7」、そしてZERO-X7と同じカラーリングとフォーサイトマフラーをまとったXSR900 GPの2台が並んで展示され、ファンを熱狂させました。
発売元であるモリワキから各種SNSで発信された「『MORIWAKI FORESIGHT』復活!」のポストは、なんと50万回以上も表示されたといいます。
今回の取材に際しても、ZERO-X7とXSR900 GPを並べて撮影しましたが、まるで同じ車体を並べたかのような調和に、編集部取材班は息を吞みました。
「伝説」といわれる名作マフラーは、なぜ復活したのか。
それはなぜ、XSR900 GP用でなければならなかったのか。
その疑問を解き明かすべく、今回、ヤマハ バイクブログでは、発売元のモリワキエンジニアリングに特別取材を行いました。
◆「デザインは80年代風、中身は最新」のキーワードが結びつけたモリワキ・フォーサイトマフラーとXSR900 GP
取材に答えてくれたのは、「XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust」の開発を担当した越智 貴弘さんです。
「今回の企画の発端としては、先代が開発し80年代に人気を博した『フォーサイトマフラー』について、ファンの皆さんから、ことあるごとに復活を願う声が届いていたという点があります。けれども、私たちにとっても『フォーサイト』は特別なマフラーであり、先代が作った宝物。ですから、幅広く展開する定番製品ではなく、特別なマフラーとして、厳選した車体に向けたスペシャルパーツとして、旧来のイメージを崩さないように復活させたいという思いがありました」
開発担当の越智さんは30代。
先代のフォーサイトマフラーは、越智さんがモリワキに入社する前の製品であり、今回の復活プロジェクトは、ある意味「偉大な過去の伝統を革新するための挑戦」でもありました。
さらに誤解を恐れずに言えば、モリワキといえば、ヤマハではなく他メーカーとの親和性が高いイメージがあります。
ゆえに、私たちは「なぜ、フォーサイトマフラーの復活に際して、XSR900 GPが選ばれたのか」という質問をぶつけたのですが、その答えは意外なまでにシンプルなものでした。
「フォーサイトの復活を検討していた時、『XSR900 GP』がもっとも親和性が高く、車両とマフラーが相互に引き立てあうものが作れるだろうという確信があったからです」
元祖「フォーサイト」は80年代に一世を風靡したマフラー。
XSR900 GPは、最新の車体に80年代をオマージュしたデザインをまとわせるというコンセプトの車体で、二者の間には「80年代」という共通のファクターが横たわっています。車体購入後、カスタムペイントなどで80年代のレーシングイメージをさらに深めて楽しんでいるオーナーの姿もSNSなどで発信されており、モリワキサイドでも「ZERO-X7イメージのXSR900 GPを作ったら間違いなくかっこいいものになるだろう」という考えになったそうです。
「単にビジネスとして考えるなら、当時人気だった旧車に向けたニッチな限定製品として復活させるという方向もありました。けれども、私たちはフォーサイトマフラーを過去の姿でただ復刻するのではなく、今、そして未来に向けた製品として復活させたかったのです」
とはいえ、80年代の車体と現代の車体の間には、技術の進化、環境への配慮などにより、単純な経過年数以上の違いがあります。何より、モリワキでは今回が初めての3気筒エンジンへの挑戦となったため、これまでのノウハウだけではカバーしきれない部分があり、開発中はテストを繰り返すことになったといいます。
「モリワキとしては、社外パーツとして出すからには、パワーも音も、純正を上回るものを作りたいという目標があります。XSR900 GP本来の扱いやすい特性をいかしつつ、アクセル開度にリニアについてくるパワー感、そして心地良いサウンドを目指しました」
完成し、車体に組みつけられたマフラーを見ると、驚くほど車体に馴染み、けれども細部は純正エキゾーストとは異なる様々な工夫が凝らされていることが分かります。
基本的な構造は純正エキゾースト同様の3-1。
エキゾーストパイプの途中にはバイパス管が設けられており、一見してそれとは分からない位置にサブサイレンサー(膨張室)がさりげなく配置されています。
「サブサイレンサーは、元祖フォーサイトマフラーには存在しないパーツなので、今回の復活プロジェクトにあたっては、ライダーが上から見たり、写真を撮ったりした時に目立たないよう、取り付け位置や厚みなど考慮して専用設計しました」
と、フォーサイトの世界観にとことん配慮したこだわりには驚かされます。
排気音に関しても、音量規制をクリアすることは当然ながら、純正とはまた異なる方向性での心地よい音質と音圧にこだわったそうです。
では、開発時に最も苦労があったのはどこかというと、それは「サイレンサーの復刻」だったといいます。
「やはり、フォーサイトマフラーといえば特徴的な形状のサイレンサー。他にはない個性的な外観がアイデンティティなので、見た目の再現には苦労がありました。復活版は、先代フォーサイトと比べて径が大きくなっていますが、これは先代を単純に大きくしたものではありません。フィンの形状ひとつとっても、当時のものをよく観察し、設計図面とも照らし合わせながら新たに設計しました」
設計面の苦労もさることながら、当時と比べて進化した現代の加工技術をもってしても、この特徴的な形状のサイレンサーを作るには苦労が多かったとのこと。より精度の高いサイレンサーを作り上げるため、設計開発と加工現場が意見を出し合い、改めて先代を開発した人々へのリスペクトが深まったと言います。
ちなみに「XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust」のサイレンサーに取り付けられているプレートのモリワキロゴは、先代のロゴをトレースし完全再現したもの。
こういった細かいこだわりもまた、オーナーには「刺さる」ものではないでしょうか。
◆コンストラクターの目から見た「XSR900 GP」の魅力とは
フォーサイトマフラーの復活にあたり、「今フォーサイトが復活するのなら、XSR900 GPがベストチョイス」だと判断したモリワキエンジニアリング。東京モーターサイクルショー前に完成したコンプリートマシンを見た人々のなかで、その判断は確信に変わったそうです。
越知さん自身も、今回の開発企画を通して、XSR900 GPの「工業製品としての美しさ」には心惹かれるものがあったといいます。
「ヤマハのバイクは、どのモデルにも、デザインと性能のせめぎ合いみたいなものを感じますね。特に、フレームの鋳造技術が素晴らしいですし、細かな部品のひとつひとつも美しい。私たちモリワキはものづくりのメーカーなので、そういった工業製品としての美しさには非常に心揺さぶられるものがありました。今回のフォーサイトマフラー復活プロジェクトでは、XSR900 GPの美しさと性能をさらに引き出せる製品が生み出せたのではないかと考えています」
復活したフォーサイトマフラーは、今年3月の東京モーターサイクルショーでの発表後に問い合わせが相次ぎ、数少ない車体展示の機会では、「実物を見たい」と、遠方から駆けつけるXSR900 GPオーナーの姿もあったそうです。
XSR900 GP、そして復活したフォーサイトマフラーは、どちらも「80年代」をキーワードにした製品。ですが、それは決して「懐かしい」一辺倒ではなく、当時を知らない若い世代の目から見ても「美しい」と評価される普遍的な魅力に溢れています。
XSR900 GPオーナーにとっては、愛車を「自分だけの一台」にしていくカスタムという楽しみをより深化させてくれるパーツになりそうですね。
【製品概要】
•品名:XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust
•品番:01810-50357-00
•JANコード:4527350173087
•発売予定日:2025年10月
•適合車種:YAMAHA XSR900 GP(型式 8BL-RN96J、年式2024-)
•材質:サイレンサー/アルミニウム(アルミ素地+耐熱黒塗装)、エキゾーストパイプ/ステンレス(耐熱黒塗装)
•音量:近接90dB(規制値99dB)/加速82dB
•車検対応:JMCA認証・排ガス試験結果証明書付属
•ヤマハ品番:Q5KMOR173087
「XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust」の発売は、2025年10月頃予定。
価格は30万円(税抜)で、シリアルナンバー付きで限定100本が発売されます。
※注文数量が上限に達し次第完売となります。
製品スペックや詳細情報はこちらから。
XSR900 GP '24 Full Exhaust MORIWAKI FORESIGHT-モリワキエンジニアリング
XSR900 GPは、YSPおよびアドバンスディーラーのみで販売する「ヤマハモーターサイクル エクスクルーシブモデル」です。
「XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust」のご購入につきましては取扱店にお問い合わせください。
YSPの専用サイトからは各店の試乗車や展示車をご確認いただけます。
「XSR900 GP FORESIGHT Full Exhaust」と併せて車両のご購入を検討されているお客さまは、ぜひ、こちらのサイトをご利用ください。
■関連情報
・XSR900 GP製品ページ
- 2025年9月12日