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破断分割(FS)式 浸炭コンロッド

2011年11月16日

高強度なコンロッドを具現化した独自の製造技術

  背 景  

コンロッド大端部は、高い強度・剛性そして精度が要求されます。ヤマハは、高い疲労強度を確保するためコンロッド鋼表面に炭素を浸透させ表面強度を高める熱処理技術を1998年型の「YZF-R1」で実用化しました。鋼材を約900度の炉に入れ加熱後、炭素を染み込ませ専用オイルや水を加えて急激に温度を下げ表面結晶を硬くするものです。
熱処理後の高い疲労強度と加工性が特色で、その後の「YZF-R1/R6」などに投入。その浸炭コンロッドの信頼性をさらに高めるのが、破断分割(FS)式浸炭コンロッドです。

  仕組み・特徴  

多気筒エンジン用のコンロッドは、通常クランク軸に取り付けるために、大端部がロッドとキャップに分割されています。このコンロッドの精度アップを図るため注目されてきたのが「破断分割」工法でした。真円の輪に加工した大端部にくさびを打ち込み衝撃的に破壊させ、金属表面の凹凸やギザギザの相性を利用しボルト締めによる締結強度を高めます。
古くは船舶用エンジンなどにも採用され、'90年代からは欧州製二輪車に一部実用例もありました。
ただ表面を硬くし内部は延性のある上記の浸炭コンロッドを「破断分割」すると、コンロッド材内部の延性が阻害要因となって、再び接合する場合に有利な「脆性(ぜいせい)破断」という表面を均一に作れない課題がありました。
こうした中、「破断分割(FS)式浸炭コンロッド」は、各種シミュレーション解析技術により、破断温度・破断エネルギー・発生起点位置などが、破断表面の状況に影響する点に着眼点を置き、これらを相互に最適に制御し「脆性破断」を作り再結合に適した表面で破断=分割=締結できる環境を作り出しています。ヤマハはこの「破断分割(FS)式浸炭コンロッド」を'04年型「YZF-R1」から採用、高い信頼性を確保しています。

2011年11月16日

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