本文へ進みます

バイク初心者必見!速くなるよりも上手くなるための、柏流ライテク論 第9回「冬から春先のライディングでチェックすべき3つのポイント」

2013年2月26日
こんにちは、柏秀樹です。

夏は「バイクっていいね、夏は涼しくて気持ちが良いでしょ?」と声をかけられ、冬だと「寒いのに元気ね~」などと近所の方に呆れ顔で言われたりしますが、季節の移り変わりを肌で感じられるのもバイクの魅力のひとつ。ただ、少々寒くても走りたい想いが先走ってしまう気持ちはわかりますが、事故のリスクが高くなるのは冬から春先。まさに今の時期は特に細心の注意が必要です。

柏流リスク対応は、「バイク本体」「ライダーの体」「道」3つのポイントに分けて考えます。今回はポイントごとに章立てして説明します。ポイントごとのリスク対応をしっかりと考え、それぞれを組み合わせて実際のライディングに役立ててみてください。


「バイク本体」
寒い時期にバイクを走らせていなかったという場合はひとつだけ約束して欲しいことがあります。それは調子を見るつもりでかけたエンジンが一発始動しても、すぐに走り出さないこと。走るのは各部をチェックしたあとですよ!

バイク本体のなかで最初にチェックすべきパーツはタイヤ。

タイヤのメンテナンス
↑季節に関係なく、タイヤのメンテナンスは定期的に行うように!

冬眠していたバイクはタイヤの空気圧が大幅に減っている可能性があります。また、空気圧が確保されていたとしてもタイヤは多かれ少なかれ接地面が変形したままになっていると思っていいでしょう。長期間乗らない時は前後タイヤともジャッキなどを使って宙に浮かせておくのがベスト。

生産から1年未満の比較的新しいタイヤなら、少し走るだけですぐに真円状に戻りますが、3年経過したようなタイヤは真円復元力が弱まっていると考えたいですね。また、樹脂やゴム製品は空気に触れているだけでも劣化して固くなっていくもの。固くなったタイヤは表面に溝が十分にあっても路面に吸い付きません。この状態のまま走っていると目に見えない程度の凹凸でもタイヤが跳ねてしまい、最悪の場合スリップダウンしてしまうことも。

直射日光が当たる場所にバイクを置いている場合では特に劣化が早く進んでしまいます。タイヤは野菜と同じで鮮度が大切。安全を守るタイヤへの配慮はライダーの義務と呼んでもおかしくないほど大切なこと。定期的にチェックして、3年以上経過していたら、早めに新品と交換しておきたいですね。

タイヤに関するリスクのなかで、もっとも危険といわれているのが硬化変形と空気圧低下ですが、怖いのはこの2つのリスクと同時に、タイヤと連動した前後サスペンションの動きも鈍くなっている場合。このままだとショックユニット=フロントフォーク内部にあるオイルシール部分も硬化して本来の動きを妨げてしまいます。

また、リヤも含めてショックユニット内部のオイルも劣化が進んでいる場合もあります。所定の距離や時間が経過したら、内部のオイル交換・オーバーホールしたほうがいいでしょう。交換サイクルは人それぞれですが、1万キロ以下でやる必要ありません。3万キロあるいはリヤショックだけなら5万キロという場合もあります。リヤはリンク類のオーバーホールもセットで考えたいですね。

タイヤの次はブレーキとバッテリー。この2つは何よりも最優先してチェックしておくべき重要部品です。ブレーキパッドの残量チェックは当然として、所定の走行距離を走ったら分解整備することをおすすめします。というのも内部のパーツは高熱に晒されるため錆が発生しやすい上、動きが悪くなるとブレーキ効力が落ちてしまことも……。バッテリーは端子を外しておいても自己放電してしまいます。乗っても乗らなくても定期的に充電しておくのがバッテリー長寿の秘訣。ともあれ、長期間乗っていなかったとしたら、エンジン始動の前に一度フル充電しておくべきでしょう。

燃料タンク内の古いガソリンについては、使用の可否を正確に判断することは難しいのですが、大まかな目安は1年。それ以上放置したものには注意が必要です。長期間保存する時は酸化防止のために満タン状態にしておくことが一般的な方法ですが、柏流ではガソリンの量よりも、温度変化が少ない場所での保管を推奨します。温度変化によって生じたタンク内の水分が不調の原因になることもあるからです。また、専用カバーをかけるとある程度の温度上昇は抑えられるかもしれません。でも、その際は必ず路面のチェックを。地面が土だと内側に湿気が溜まって錆びやすくなってしまいます。


「ライダーの体」
久しぶりの休日、しかもよく晴れたバイク日和。すぐにでも走り出したい気持ちはわかります。とりあえず深呼吸でもしながら、柏流リスク対処の重要部品でもあるブレーキ系とタイヤ系、そして電装系をしっかりとチェックしてください。あとは大雑把でもいいから車体を洗って埃や泥をとり、水分を取り払って綺麗にしてから走り出しましょう。それも鋭い発進ではなく、ゆっくりと。けっして最初から急加速・急ブレーキ・急なバンク走行などはしない。恐る恐る用心深く走り始めましょう。

ゆっくりと走り出すことで寒い時期のタイヤとサスが温まり、十分な機能を発揮しはじめます。くれぐれもエンジンの暖機だけやって、急発進して転倒!ということがないように。

走り出したら、以前におすすめした「アクセルを開けないでアイドリング回転を維持したままクラッチをゆっくりつないで発進する方法」を励行してみましょう。完全にクラッチレバーから指を放した状態になってから、次にアクセルを0から徐々に開けて加速する。125cc以下のバイクや自動遠心クラッチのスクーターのライダーは、できるだけ低回転での発進加速、そして低い速度での停止を繰り返すといいでしょう。

低回転での発進加速の効果はエンジンを暖めるだけではありせん。

サスペンションの上下運動
↑写真のようにサスペンションは上下運動を繰り返します。これと同時にタイヤも徐々に温まり、本来の性能を発揮できる状態へと仕上がってゆくのです。

100メートル前後の軽いウオームアップが済んだら、次はより積極的にアクセルを開けて、制限速度内で徐々に強いブレーキをかけていきましょう。これによって車体は前後方向に大きく揺れます。これをピッチングモーションと呼びますがバイクだけではなく、ライダーも同じ動きをすることで体温が高くなるという効果もあります。一般走行に入る前までにバイクとライダーの双方がしっかりとウオームアップを済ませておきましょう。


「道」
春になっても、雪が突然降ったり、雪解け道の砂利や濡れた路面で転びそうになったりするもの。
ワインディングロードでは、路肩に雪が残っている場所や、日陰はまだまだ凍結の可能性が高い。また、前を走る自動車や対向車のトラックの屋根などに雪が積もっていたら、カーブで落ちてくることも。しかもそれ、雪に見えてもカチカチの氷だったりするんですよ(笑)。ちょっと大げさかもしれませんが、用心深く走るということは、その氷を予見するくらいの読みが必要なんです。

リスクの高まる時期を過ぎ、暖かな季節になっても、柏流ライテク術の基本は変わりません。

柏流が提唱する正しいフォーム
↑柏流が提唱する正しいフォームの詳細はこちらでチェックしてください。

どんな季節でも、ハンドルグリップは少し手のひらを浮かせるイメージで、ゆっくりと息を吐きながら笑顔で走れるぐらいの速度がちょうど良い。知らない間に凄いスピードになっていた、止まれなかった、曲がれなかった、ということがないように。そんな時は思い切りハンドルグリップを握りしめているはず。手のひらがかすかに触れる程度の握り方で、滑らかな運転を心がけていれば春夏秋冬、すべての道に通じる走りのエッセンスが見つかるはず。

それではどこかの道で会ったら、ピース。


【関連記事】
バイク初心者必見!速くなるよりも上手くなるための、柏流ライテク論 記事一覧
2013年2月26日

モデル別記事

ページ
先頭へ