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軌跡をたどる SR開発秘話:01 サンバースト塗装は繊細な職人技。 歴代伝承されてきた真摯なモノづくり姿勢

2020年5月4日

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バイクで街中を気持ちよく流していると、時折赤信号に引っかかる。SR400なら、なめらかにつややかに流れるタンクの曲線に惚れ惚れし、思わず手を添えて、"今日もよろしく!"という想いを込めて愛馬の背を慈しむようにポンポンしていると、青信号に変わるまでが刹那になる。爽快に晴れ渡った陽の光を受けて、きらめくタンクの縁にうっとりしているとなおさらだ。


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ティアドロップ型のタンクは、SRの大きな魅力の一つである。なかでも、サンバースト塗装されたタンクの美しさは格別だ。

サンバースト塗装とは、職人の手作業にてベースの基本色にぼかし塗装を施す塗装手法で、SRについて言えば、SR初の限定車として1984年に1,000台限定発売された7周年記念モデルで初めて採用された。


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↑1984年発売 1,000台限定7周年記念モデル。黒/赤のサンバースト塗装


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サンバースト塗装の何がトクベツかと言えば、大量生産の時代にあって、タンク一つひとつ、経験を積み重ねた職人が、スプレーガンを使って丁寧にぼかし塗装を行なっていることだろう。


基本、塗装の現場ではロボットによる自動化が進んでいる。その自動化が進む塗装現場に、わずかにひと区画、手吹き職人のアトリエとも言える空間が残されている。実は、塗装現場内でボカシ塗装ができる職人はわずか2人だけだ。

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サンバースト塗装のモデルは限定車が中心。生産台数で言えば限られており、毎日作業が行われる訳ではない。だからこそなおさら、翌日、サンバースト塗装の工程が予定されていると「今夜は(飲みに行かずに)まっすぐ家に帰ろう」とサンバースト塗装の職人は自重する。その姿勢は、代々先輩たちから受け継がれてきたと言う。

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わずかな手首の返しの違いやスプレーガンの角度や緩急の変化で、おそらく職人にしか気づけないほどではあるが、質の違いが生まれることを避け、いつでも最高レベルの製品を届けたいと塗装にプライドを持つ職人たちならではの伝承だ。

2020年5月4日

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