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軌跡をたどる SR開発秘話:02 「キャストホイールのパイオニア」として 最新技術が生み出すシャープなスポーツ感覚をいち早くSRにも

2020年5月4日

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「SR400/SR500」が発売された1978年3月1日のちょうどひとつき後、4月1日付で認可されたのが「二輪自動車用軽合金ホイール技術基準(JWL)」、つまりバイクのキャストホイールの技術基準だ。それまでキャストホイールは、国内二輪車用としての技術基準が確立されておらず、認可されていなかった。この基準作成に積極的に参加していた当社は、「XS750スペシャル」「GX400/GX250」「RD50」の4機種にキャストホイールのSP仕様を設定し、JWL認可のトップを切って発売した。

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JWL認可直後に発売された「GX400SP」(1978年)

"キャストホイール"とは、鋳造した車輪のことで、簡単にいえば、車輪のカタチの型に溶かした金属を流し込んで作ったもの。硬くて丈夫なので、スポーツモデルに採用されていることが多い。ちなみにキャストホイールの"キャスト"はダイキャスト(鋳造)からきている。材質としてはアルミやマグネシウムなどの合金が使われる。


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↑カナダ向けの「RD400」(1976年)

実はヤマハには、1975年10月の海外向け「RD400」以来、すでに30万台のキャストホイール装着実績があった。そこで国内の技術基準作成に携わるとともに、独自の評価基準を設定してキャストホイールの開発を進めていたのだ。すでに実施されていた「自動車用軽合金鋳物製ディスクホイールの技術基準」を参考に世界的に通用する二輪車用技術基準を目指し、回転曲げ疲労試験、半径方向負荷耐久試験、衝撃試験、捻り試験など色々なテストを繰り返していた。


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↑JWLの衝突試験の様子(販売店向け冊子『ヤマハニュース』1978年6月より)

しかもヤマハでは、JWLでの基準に加えて、より高度な製造品質を確保しようと、X線検査、染色浸透深傷検査なども実施。さらにキャストホイールとしての総合評価のため、走行耐久テスト、悪路耐久テスト、縁石乗り上げテスト、落下テスト、衝突テスト、パンク時のテスト、操縦安定性テスト、また当時の西ドイツの高度な規格であるTÜV(テュフ)テストなどを行い、ヤマハならではの高品質、高性能なキャストホイールを完成させていった。


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↑キャストホイール採用の「SR400SP」(1979年11月1日発売)

"ヤマハスポーツ新時代"を告げるニューモデル群の一つとして華々しく登場した「SR400/SR500」、その79年モデルにキャストホイールを採用するのは、ごく自然な流れだった。
またキャストホイールに合わせて前後チューブレス化し、前輪タイヤ幅を3.50から3.25へと変更するほか、新パターン・タイヤ採用など、一連の足回りを充実。エンジンも見直すなど、ロードスポーツとしての商品性を一層高めた。


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↑2021年1月現在、当社最新のアルミ製キャストホイール。SPINFORGED WHEEL(スピンフォージド ホイール)という独自の最新技術でつくられ「MT-09」に採用されている

しかしその後、お客さまの要望に応える形で1982年に「SR400」のみ限定車として、1983年には「SR400/SR500」ともに通常仕様として、スポークホイールが復活すると、その年を最後にキャストホイールは姿を消した。「最新・最高の技術をお客さまにお届けしたい」というヤマハの想いよりも、市場、お客さまの声を最優先した結果だった。


2020年5月4日
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