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「乗らずに学べるバイクレッスン」身体に合わせたライディングポジション調整について!部品交換しなくても乗りやすくなる方法とは?

2023年9月6日

こんにちは、ヤマハ発動機販売の城です。
9月に入りましたが暑い日が続いています。ツーリングを計画する時は、なるべく渋滞や信号待ちが回避できるルートを設定し、休憩もこまめに取って水分と塩分補給で熱中症対策してください。

休憩もこまめに取って水分と塩分補給で熱中症対策してください

※ツーリングの一コマ

今回の乗らずに学べるバイクレッスンは、「手軽にできるライディングポジション調整」をお伝えします。

メーカーから出荷されるバイクは標準的な体格に合わせて設計されています。当然標準的な方であれば違和感なく乗車できますが、身長が標準でも足の長さ、手の長さ、指の長さ、胴の長さ、それぞれ千差万別です。
ちょっとした調整で「ちょっと上手になったかな?」と思えるほどライディングに変化を感じる事ができるかもしれません。
バイクを購入後そのままの状態で乗車されている方、自分がバイクに合わせるのではなくバイクを自分に合わせてみませんか?

ライディングポジションを調整する前に、基本的な乗車姿勢についておさらいしてみましょう。

ライディングポジションを調整する前に、基本的な乗車姿勢についておさらいしてみましょう。

① 「足」ステップに載せる足の位置は土踏まずが基本。つま先は真っすぐ前方を向けて、くるぶしでバイクを挟みます。 
② 「膝」一体感を得るために膝から太ももにかけてバイクを挟みます。ずっと力を入れる必要は無く加速、減速、コーナーリング時など必要に応じてギュッと力を入れるイメージです。
③ 「腰」伸び切らず丸め過ぎず、少しお腹を引っ込めるようにします。座る位置は基本的にシートの一番低い所で、ハンドルを左右いっぱいに切った状態でも、操作に支障がない事を確認します。うでが伸び切ってしまったり、窮屈な場合は前後に座る位置を調整します。
④ 「肩」力を抜いてリラックス、力が入ると自然なハンドル操作ができません。
⑤ 「肘」伸び切らないように余裕がある状態をキープします。
⑥ 「手」グリップの中央を握ります。グリップに対して直角に握るのではなく、少し斜めから握ります。スロットルは手首で回して肘が下がらないようにします。
⑦ 「頭」視線だけではなく顔ごと進行方向に向けます。近くの一点を見るのではなく、視野を広く取ります。
下半身はバイクと一体感を得るためにしっかりと密着♡、上半身はスムーズな操作をするためにリラックス♪、顔は進行方向の情報をいち早くキャッチするために視野を広く!という具合に覚えておくと良いでしょう。
これらをふまえてライディングポジション調整に入りましょう。

◆ライディングポジション調整とは?
"乗車姿勢"は、疲れにくく正確でスムーズな操作をするために適切なフォームをとる事ですが、"ライディングポジション調整"(以下ポジション調整)は適切なフォームをとるために、レバーやペダルの角度、ハンドルの高さ、ステップの位置などを調整する事です。
バイクが身体に合わなければ、いくら頑張っても適切なフォームをとる事はできません。

皆さん車を運転した事は有りますか?(無い方はスミマセン・・・)
初めての車に乗車して、まず始めに行う事はシートを前後に動かしブレーキ、アクセルペダルとの距離を調整します。次にハンドルの高さ、その他背もたれの角度やシートの高さも操作しやすい位置に調整します。人それぞれ体格がバラバラなので調整が必要なのです!
バイクには残念ながらこのような細かい調整機構が付いていません。でも、諦めるのは早い!
範囲は狭いですが、ちょっとした工具があれば操作しやすい位置に調整する事ができます。

まず、こちらの写真を見てください。

まず、こちらの写真を見てください。

同じバイクに身長の高い方と、低い方に跨ってもらいました。
※高い方:178㎝ 低い方:158㎝
ハンドルを握った腕の角度や距離が違います。また、膝の位置や上半身、足首の角度も違うと思います。これらを理想的な乗車姿勢に近づけるため、MT-07をベースにポジション調整を行ってみましょう!

◆ブレーキ・クラッチレバーの高さ
私はこれがポジション調整の中で最も効果があると思います。
高さを調整する目的は、ハンドルを握った際に自然にブレーキ、クラッチレバーに指がかかるようにするためです。

高さを調整する目的は、ハンドルを握った際に自然にブレーキ、クラッチレバーに指がかかるようにするためです。

調整前は背の高い方はレバーの位置が高すぎで、低い方は低すぎることがわかります。
レバーの高さが合っていないとスロットルを戻してブレーキレバーに指を掛ける時に、余計な力が入ってしまいます。
早速調整してみましょう♪

早速調整してみましょう♪

まずはこちらの工具を使って左右のレバーホルダー取付けボルトを緩めます。
緩めるとレバーホルダーが上下に動くので、レバー操作がし易い位置に動かしてしっかりとボルトを締めます。ブレーキレバー側は2本のボルトで固定されていますが、基本的には上側(UP△)のボルトから先に締めてください。左右レバーの位置が同じ高さになるように調整してください。
傾向として背の高い方はレバーを下げる方に、低い方は上げる方へ調整すると操作がしやすくなります。自然に伸ばした腕の延長線上にレバーが来るように調整してみましょう。

自然に伸ばした腕の延長線上にレバーが来るように調整してみましょう。

こちらが調整後です。
違いがわかりやすいように大きく動かしてみました。車両に跨った状態で少しずつ動かしながら操作しやすい位置を探してみてください。
調整後はスロットルを開ける⇒戻す⇒ブレーキを掛ける操作が違和感なくスムーズにできるかを確認しましょう。

◆ブレーキ・クラッチレバーの距離
レバーの高さが決まったらクラッチの繋がる位置、ブレーキが効き始める位置を調整します。ブレーキレバーは手の大きさに合わせてダイヤルで調整します。これは非常に簡単♪
ブレーキレバーは"握る"のではなく"引く"物です。
あまり近すぎるとギュっと握ってしまいがちになるので、レバーが指の第一関節辺りに来た時にブレーキが効き始めるぐらいの位置に調整しましょう。

レバーが指の第一関節辺りに来た時にブレーキが効き始めるぐらいの位置に調整しましょう。

※調整できないモデルもあります

クラッチ側はアジャスターを回して遊びを調整する事で繋がるポイントを変更する事ができます。

クラッチ側はアジャスターを回して遊びを調整する事で繋がるポイントを変更する事ができます。

レバーの遊びには基準値が有りその範囲内で調整します。(MT-07:5mm~10㎜)

レバーの遊びには基準値が有りその範囲内で調整します。

こちらもクラッチが切れ始める位置(遊びが無くなった位置)が、指の第一関節にかかるぐらいがちょうど良いと思います。こちらも好みがありますので実走してから微調整を行ってください。

◆ブレーキペダル・シフトペダルの高さ
次に足元を見てみましょう。

次に足元を見てみましょう。

足首の角度が違うので、ペダルの高さを調整した方が操作しやすくなりそうです。
背が高い方は足首が窮屈になり、土踏まずをステップに載せた状態でブレーキペダル、シフトペダルに足が触れてしまっています。これだと走行中に誤操作してしまう可能性があります。
低い方は足首の角度が浅くなり、かなり踏み込まないとブレーキが効きませんし、シフトペダルの下に足が入り難くなります。
早速調整してみましょう。

・ブレーキペダルの調整方法

ブレーキペダルの調整方法

ブレーキペダルとマスターシリンダを繋いでいるボルトのロックナットを緩めて、調整ボルトを回すとレバーの高さが変わります。
調整が終わったらしっかりとロックナットを締めてください。
ブレーキペダルの高さを調整した後は、ブレーキランプが正常に作動するかも確認してください。大きく変更した場合、点きっぱなしや、点かなかったりする場合があります。その際はブレーキスイッチの調整が必要になります。

その際はブレーキスイッチの調整が必要になります。

ブレーキスイッチはフットレストの裏側にあるので、取付けボルトを2本外します。
※マフラーに傷防止のウエスを巻いています

マフラーに傷防止のウエスを巻いています

フットレストASSYを外すとブレーキスイッチが見えます。
スイッチ本体の下側にあるナットを回すとブレーキランプが点灯するタイミングを変更できます。(通常手で回りますが、固い場合は工具を使用してください)
調整が終わったら再度ブレーキランプの作動を確認してください。

・シフトペダル側の調整方法
シフトロッドと呼ばれる部品の長さを変更する事で行います。

シフトロッドと呼ばれる部品の長さを変更する事で行います。

片側は逆ねじとなっていますので注意してください。まずは上下のロックナットを緩めます。

片側は逆ねじとなっていますので注意してください。まずは上下のロックナットを緩めます。

その後ロッド本体を回すと長さが変化し、ペダルの高さが変わります。
ペダルの高さを確認しながら調整後、ロックナットを締めて固定します。

ペダルの高さを確認しながら調整後、ロックナットを締めて固定します。

こちらが調整後になります。
また、ライディングブーツを変更すると靴の形状によってかなりフィーリングが変わります。その際もこちらの調整は有効ですので是非試してみてください!

調整した後は必ず走行してフィーリングを確かめてください。跨った状態と感覚が異なる事があります。自分が気持ちよくライディングに集中できるベストなポジションを探してみてください。

今回ご紹介した内容は、ある程度メンテナンスの知識があり、工具が使える方向けになっています。また、MT-07をベースに説明していますが、車種によって方法が異なる場合があります。少しでも不安が有る場合は購入したバイクショップに相談してください。
乗らずに学べるバイクレッスンでは愛車のメンテナンスやライディング、装具など様々な内容を紹介しています。是非皆さんの楽しいバイクライフに役立ててください!

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2023年9月6日

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