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これを読めばあなたはもう誰かに語りたくなるくらいのMT-07デザインマニア! 2025年モデルMT-07のデザインをもっと深くご紹介します!

2025年2月7日

こんにちは。ヤマハ発動機販売の高重です。

前回のブログでは、2025年モデルMT-07のモデルコンセプトやデザインのこだわりポイントをお伝えしました。今回は、伝えきれなかったMT-07のデザインへ込めた想いやデザインで苦労したポイントをお伝えします。
最後まで読みきった読者は、きっと誰かに語りたくなるほどMT-07のデザインマニアになっているに違いありません。

それでは、デザイン企画の渡邉さん、デザイナーのチャンさんよろしくお願いします。

端正でありながら親近感あるフロントフェイス

フロントフェイス

デザイン企画・渡邉
歴代モデルからMT-07は、エンジンを中心としたメカニカルエリアで「走り」の機能を、ライダーが触れるエリアで「意のまま操れる操縦感」を表現してきました。そして、世代を追うごとに、それらを体現するプロポーションへと進化してきました。

4世代目となる2025年モデルMT-07は、すべてのMTシリーズに共通する「トルク&アジャイル」のイメージをさらに引き上げつつ、モノ自体の質感やマシンとの一体感の向上をデザインで表現しました。それと同時に、扱いやすくて優れたトルク特性を持つCP2エンジンを採用するMT-07ならではのユーザーフレンドリーさも際立たせることに注力しました。

MT-07のフレンドリーさ

今回、2025年モデルMT-07のフレンドリーさをアピールするために注力したポイントが
フロントフェイスです。もともとMTシリーズは初代から開発コンセプトの「トルク&アジャイル」の言葉通り、コンパクトな車体を振り回して楽しむコンセプトのバイクです。

フロントフェイスに関しては、欧州の美意識がとても参考になりました。欧州は彫刻文化の国々で、日常で道を歩いていても彫刻遺産があちこちにあり、デザインに精通する人じゃなくても、プロポーションを見る目は日本人以上にとても厳しいんです。
例えば、タンクとシートのボリュームを身体として考えると、そこに付く顔のボリュームが見合っていないとプロポーション的にはおかしいと思われます。
テクノロジーが進化して灯火器類がもっと小さいフロントフェイスが作れたとしても、人の顔と身体の美しい比率のようなものから逸脱したものは、違和感があると言われます。

そのため、お客さまがパッと見たときにすぐ馴染むように

そのため、お客さまがパッと見たときにすぐ馴染むように、顔つきと顔のサイズは、全体のプロポーションに対して最適化したボリュームと取り付け位置を考えました。
さらに言うと、取り付け位置を低くすると、攻撃的な印象が出てしまいフレンドリーさが希薄になってしまいます。一方で、顔を上げすぎると、顎が上がったような表現になり、足が長く見えるメリットはありますが、前に走っていくアジャイル感がなくなってしまう。顔の位置と全体プロポーションのバランスは、今回かなり吟味して決めました。

鼻筋の通った聡明な顔に見えるよう配置した2眼ポジションライト

鼻筋の通った聡明な顔に見えるよう配置した2眼ポジションライト

デザイナー・チャンさん:
ポジションランプがメインに見えるように、MT-09よりも幅を持たせて、角度も水平に寄せて、自然に見えるように調整しました。そして人が立った状態で横から車両を眺めたときに、サイドカバーとポジションランプが一本の線でつながるように配置しています。頭が上でサイドカバーが下という別体構成ではなく、一体感があるように見せていることが2025年モデルMT-07の特徴の1つです。

2025年モデルMT-07の特徴の1つです。

デザイン企画・渡邉:
2眼のポジションランプを採用しているのもまさにそうで、2024年モデルMT-09はもう少し前面を叩いたスタティックな面に目が下に薄く入っているような鉄仮面のような無機質なフロントフェイスですが、2025年モデルMT-07は、ボディとの一体感を魅せるように顔と目のサイズを考えました。フレンドリーから離れてしまわないように鼻筋の通った聡明な雰囲気になるようなデザインになっています。

薄くて奥行き感ある新型テールランプは質感や軽快感、一体感を表現

薄くて奥行き感ある新型テールランプは質感や軽快感、一体感を表現

デザイン企画・渡邉:
テールランプにもかなりこだわりました。灯火器類はお客さまがなかなか変えにくいパーツだからこそ、最初から品質を高めたかったんです。中央のシースルーのスペースが奥行き感を出し、立体的に見せることで、デザイン性と品質の高さを表現しています。上部の凹みは、上から見たときに、テールライトが視覚的に薄く見えることを狙っています。ブレードを1枚通すことで同じ効果はあるのですが、一枚板だと単調に見えてしまいますので「削ぎ落とし」感を出すために凹みを中央に入れています。
また、実際にライダーが乗っているときに、このテールの縦2本のラインが背骨に繋がって一本の強い縦軸に見えるようにしています。その縦軸が颯爽と街中を走り去る後ろ姿とテールランプの残像として、見た人に強くイメージされるような工夫をしました。

安心感あるデザインで気持ちよさ・心地よさを伝える

安心感あるデザインで気持ちよさ・心地よさを伝える

デザイン企画・渡邉:
2025年モデルMT-07は人が触れるエリアもトータルでコーディネートしようと考えました。各パーツの接合部や燃料タンクとの繋がりは、できるだけ段差をつけないようにしています。太ももが上下や左右に動いたとしても、ストレスを感じないような感覚的な気持ちよさと心地よさを、デザインに落とし込みました。

これは「自分でも操れそう」という見た目の安心感に大きく貢献していると思っています。
大型バイクにチャレンジする時に、体格が大きくない方は、シートの位置やタンクから向かってくる圧迫感で、「これは私には乗れない」と諦めてしまう方も多いと思います。一方で、跨った時に意外に足が着くと、まだエンジンをかけていないのに、「なんか乗れそう」とか、「楽しそう」と思っていただけるんです。

2025年モデルMT-07は、一般的なバイクのスキルや知識はこれからというお客さまにも楽しんで乗っていただけるように、人が触れるエリアに安心感があるエルゴノミクスデザインを随所に施して「乗りやすそうだな」とか、「扱いやすそうだな」などと感じていただけるような作り込みをしています。

そして、安心感あるエルゴノミクスデザインはリアカウルにも採用されています。

そして、安心感あるエルゴノミクスデザインはリアカウルにも採用されています。2025年モデルMT-07はタンク幅を細く絞って足着き性を良くしているのですが、その後に続くリアカウルも細く作りすぎてしまうと、バイクを見たときに「華奢で折れそう」といった不安感をお客さまに与えてしまうかもしれません。そのため、着座したときの剛性感を表現するために、裏からしっかり腰を支えるような造形になっています。
見た目のかっこ良さだけではなく、お客さまが自信を持って快適にライディングいただけるような造形を目指しました。

デザインにマッチするサウンドチューニングのスリット形状

デザインにマッチするサウンドチューニングのスリット形状

デザイナー・チャンさん:
アコースティック・アンプリファイア・テクノロジーを採用し、CP2エンジンが発する不等間隔爆発特有の高音と低音が混じり合った吸気音のハーモニーを愉しめるスリットをタンクカバーに配置しました。穴だけが目立たないよう、タンクカバーの合わせ目のラインに調和するようにカットするなど工夫を凝らしています。

タンクカバーの音叉マーク位置のこだわり

タンクカバーの音叉マーク位置のこだわり

デザイン企画・渡邉:
ヤマハモーターサイクルの象徴である音叉マークは、MT-07に限らず、その貼付け方にベースとなる考え方があります。
バイクに跨ってサスペンションが沈み込んだ際に、音叉の先端が垂直に立つように調整して貼付ける位置を決めているんです。これはヤマハのバイクをアピールするだけでなく、ライダーがバイクにまたがった時に一番美しく魅せるスタイリングを目指しているためなんです。

最後に、デザインで苦労したポイントをご紹介します。

燃料タンク周りのボリュームバランス

燃料タンク周りのボリュームバランス

デザイナー・チャンさん:
タンクエリアのボリュームバランスが一番苦労したポイントです。2025年モデルMT-07は、キーユニットをタンクキャップの前に置くことが決定し、タンクカバーが大きくなってしまう懸念がありました。また、コンパクトに作り込みたい一方で、2021年モデルと同じタンク容量を確保しなくてはならないという課題もあったのです。
そのため、早い段階から手書きのスケッチと同時にデジタルモデリングを行いました。
今回、燃料タンクの面形状が複雑なのは、サイドから見たときに、目で見ているタンクの頂点が実際の頂点とは違うようにしており、タンクを低くコンパクトに見せる工夫をしています。
歴代のMT-07のタンクの頂点をなるべく前にもっていくデザインの系譜を守りながら、うまく面取りしてリアに向かってスムーズに流れるような形状となっています。

新型TFTディスプレイ周辺のデザイン

新型TFTディスプレイ周辺のデザイン

デザイン企画・渡邉:
新作の5インチフルカラーTFTディスプレイの見せ方も苦労しました。ディスプレイが大きくなると、視認性が良くなるなどのメリットはありますが、デザイナー目線では、MT-07のように車体がコンパクトだと、ディスプレイを取り付けた場所の存在感が大きすぎて違和感に繋がるんです。このディスプレイをボディに溶け込ませて違和感を解消するために、台座のシボパターンをいろいろと換えたりするなど、ナチュラルな存在にするための工夫を施しました。

MT-07の役割はヤマハワールドにより深く興味・関心を持ってもらう伝道師

MT-07の役割はヤマハワールドにより深く興味・関心を持ってもらう伝道師

デザイン企画・渡邉:
2025年モデルMT-07は、購入されるお客さまだけでなく、それを見た人が、自分も欲しいと思ってくださるデザインにトライしました。そうすることで大型バイクのエントリーユーザーが増え、その後、より大きな排気量のMT-09やTRACER9 GTなど、その先のヤマハワールドを楽しんでいただく"伝道師"としての役割を持たせたかったからです。ご家族でもご友人でも、「あの人が乗っていてかっこいいから私も乗ってみたい」といった気持ちになっていただければ嬉しいです。
スタイリング以外にも、独創的なMTシリーズのカラーリングなどにもご注目いただけたらと思っています。

デザイナー・チャンさん:
自信を持ってデザインした2025年モデルMT-07/MT-07 Y-AMTが今回、満を持して発売されることが本当に嬉しいです。
ぜひ店頭に足を運んでいただきこだわりのMT-07のスタイリングをご覧ください!

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いかがだったでしょうか?
2回に分けて2025年モデルMT-07/MT-07 Y-AMTのデザインをご紹介しました。
それぞれ、最後まで読まれた方はかなりのMT-07マニアだと思います。

次回は、MT-07/MT-07 Y-AMTの開発ストーリーをお届けします。
それではまた。

■関連情報
MT-07製品ページ
MT-07 Y-AMT製品ページ
ナチュラルでシンプルに洗練されたスタイリングに進化した2025年モデルMT-07のデザインをご紹介


2025年2月7日

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