本格オフロードの走破性に充実した快適性をプラス! 正常進化を果たした『Ténéré700』2025年モデルをご紹介します
- 2025年2月13日
2025年モデルTénéré700が2月13日にリリースされました。2020年のデビュー以来、オフロードを楽しみたいライダーの冒険心を刺激し、アドベンチャーモデルとして多くのご支持をいただきました。
2025年モデルTénéré700はどこまでも、どこへでも、とことん行けるとライダーに思わせるほど本格的なオフロードモデルとして進化しました。
今回は、商品企画・開発担当者に2025年モデルTénéré700の進化ポイントなどを聞きましたのでご紹介します。
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2025年モデルTénéré700
【商品企画】・Yamaha Motor R&D India 商品企画 谷 直晃 (写真左)
※開発当時はGB統括部企画推進部スポーツG所属
【国内開発プロジェクトリーダー】・SV開発部 橋本 直親 (写真右から2番目)
【パワートレイン実験】・第2PT実験部 白石 尚也 (写真右)
【パワートレイン設計】・第2PT設計部 杉本 圭 (写真左から2番目)
チャレンジすることを楽しみ、更なる冒険心を刺激するモデルへ
商品企画・谷:
2025年モデルTénéré700のミッションは、Ténéré700の本格的なアドベンチャーイメージをさらに向上させることです。誰しも心の奥底に挑戦的な冒険に対する憧れを持っていると思います。バイクでいつもより足を延ばして行ったことのない場所の景色を見たり、寄り道を楽しんだり、アドベンチャーライディングを通じて日ごろのストレスを発散して存分に自然を楽しみたいといったマインドにピッタリです。ただ単にちょっとオフロードを走るだけじゃなくて、チャレンジすることを楽しみたい。
そういった方にぜひ乗っていただきたい本格オフロードバイクです。
Ténéré700は、限界値が高く、オフロードを走り抜ける信頼感があることで、ライダー自身もそのオフロード性能を駆使して、どんな状況でも果敢に冒険することができる。その冒険が成功したら、次はより過酷な冒険にチャレンジしたい。そういったロマンを駆り立ててくれるモデルとしてプロジェクトに取り掛かりました。
Ténéré700はデビュー以来、本格的なオフロード走行を楽しめ、独創的なスタイリングがお客さまの心に刺さって支持されていると思っています。
というのも、欧州ユーザーの購入動機を調査すると、「冒険させてくれそうな見た目」や「オフロードの走行性能」といった言葉が上位にきていたんです。つまり、Ténéré700はオフロードの走破性の高さと、ラリーに特化した質実剛健なスタイリングが支持されています。そして、次もTénéré700を買いたいというお客さまの期待に応え、今回の2025年モデルTénéré700も満足いただけるモデルに仕上がったと自負しています。
アップデートの最大ポイントはオフロードの走破性に快適性をプラスしたこと
2025年モデルTénéré700のアップデートのポイントは、もともとの強みであるオフロードの走破性をさらに進化させたこと。具体的にはデザインの進化、電子制御スロットルの採用、サスペンションなどコンポーネントを熟成させ、さらにトラクションコントロールシステムやライディングモードといった快適に走行できる機能を盛り込みました。
質実剛健なスタイリングと、本格オフロードを走破するための機能性といった従来から支持されているシンプル感をそのままに、快適性をプラスアルファしたものに仕上げました。
アドベンチャーモデルの人気が高く、長距離ツーリングの文化が根付いている欧州で、Ténéré700はとても人気が高いモデルなんです。実は近年では、「ヤマハといえば、Ténéré700」というイメージにもなってきているんですよ。
開発・橋本:
『Ténéré700』はモデルの特性上、オフロードの本場の乗り方をよくわかったメンバーで開発したいという意向もあり、初代モデルからプロジェクトリーダーおよび車体の設計・スタイリングと車体実験は、イタリアのヤマハモーターR&Dヨーロッパでやっています。日本の開発のメンバーは、エンジン開発やハンドルスイッチといったMT-07などのプラットフォームで共通使用している部分や制御開発などを担当しています。
Ténéré700は日本とイタリアの開発者が協力して生み出したモデルなんです。
2025年モデルTénéré700は、先ほど述べた強み部分を生かしつつ、電子制御スロットルを採用することで走行シーンに合わせた走行モードの選択を可能にしたり、フロントサスペンションやTFTディスプレイを新作して各種装備・機能のアップデートと、走行時の快適性をブラッシュアップさせていくコンセプトで開発にあたりました。
Ténéré700の強みは、高いオフロード性能ですので、ライディングポジションの自由度をさらに上げる作り込みを行っています。2020年モデルではメインシートとタンデムシートが別体型でしたが、一体型のフラットシートにして、ライダーがシートの上でより動きやすいよう改良を図っています。
シートと燃料タンクの繋がりをよりフラットにすることで、ライダーがスタンディングで乗った時に、より前後に動きやすいといった、動ける幅を増やして、快適に走行できるように改良しています。また、タンクキャップも、ネジ式のキャップが出ているタイプから、MT-07などのオンロードバイクと同じようなフラットなものに変更しています。さらに、燃料タンクの上面も下げることで、姿勢を前に持って行きやすくしています。
シート以外の快適性でいえば、フットレストを大きくして激しいギャップやコーナーなどで足がしっかり踏ん張れたり、体重を乗せやすくしたり、スタンディング時に疲れにくいようにしています。また、ブレーキングした時にブーツが当たらないようにクラッチカバーの形状を変えるなど細かいところまでライディングの快適性にこだわっています。
フロントサスペンションの再調整は、電子デバイスの採用やディスプレイの大型化など重量配分の変化に伴うリバランスと、2020年モデルの熟成進化を図る意味でリセッティングしています。フロントサスペンションは、基本的に中のバルブセッティング等を見直して、走り出しなど、最初のストロークを滑らかにすることに重点を置いています。最初の動きが滑らかになると、オフロード走行でも、サスペンションがきっちりと路面に追従しますので、接地感があり安心してスロットルを開けていけます。サスペンションもサプライヤーのKYBさんと一緒にイタリアで開発しているんですよ。また、2025年モデルからプリロードアジャスターも搭載しています。
リアサスペンションも、吸収性向上のためにストロークを若干伸ばしつつ、ホイールトラベルはキープして足つき性にも配慮した対応をしています。本格的なオフロードに行っても底づきしないようにリンクなども見直して、荷重特性を調整しています。
ABSはフロント・リアのオンとオフの切り替えに加えて、リアのみオフの3モードを導入しています。走行シーンに応じた使い分けができるようになっています。独立したボタンを装備していますので、ディスプレイからの変更だけではなく瞬時にアクセスが可能です。
余談ですが、サスペンションやライディングポジションの作り込みは、イタリアのライダーが担当しています。そのライダーは実は日本人の私から見ても小柄な方なんですよ。プライベートでも日常移動からラリー出場までこなすほどTénéré700に惚れ込んでいる方で、初代モデルから担当している実験ライダーさんなんです。
6.3インチに大型化し"つながる機能"搭載の縦型カラーTFTディスプレイ
イタリア開発の大型6.3インチカラーTFTディスプレイは、Y-Connect アプリに対応。スマートフォンと連携可能な"つながる"バイクとなりました。また、矢印で指示してくれるナビゲーション表示も可能となりました。
ディスプレイは初代から縦型配置ですが、これは紙のマップを手で動かしていた往年のラリーイメージを思い起こしていただくために、こだわりをもって縦に作り込んでいます。画面テーマは、シンプルな「EXPLORER」と街中走行での情報が見やすい「STREET」の2種類を設定しています。
電子制御スロットル搭載で走行シーンに合わせて選択可能な2つの走行モード
パワートレイン実験・白石:
電子制御スロットル(YCC-T)採用による走行モードは、アクセル操作に対してレスポンスの良い「SPORT」モードと敢えて緩やかなレスポンスにした「EXPLORE」です。特に「SPORT」モードでは、乗りやすさと力強いトルクを両立できるようになったと思います。俊敏に動いてほしい場面では少し強めに駆動力ができるようになりましたので、Ténéré700の本来持っている走破性をさらに引き出しやすくなりました。
「EXPLORER」モードは、オフロード走行中の滑りやすい路面や泥だらけの路面でアクセルが一定に保ちづらいシーンでも、車両挙動が安定するようにセッティングしてあり、繊細なアクセルワークで効果を発揮します。また、市街地などの走行にも適したモードになっています。
この、特徴的な二つのモードを設定することで、二面性を持った走行特性が出せたんじゃないかなと思っています。
開発・橋本:
実は、走行モードに関しては、日本とイタリアで双方意見の違いがあったんです。イタリア側は極力シンプルにしたいため走行モードは要らないと要求があったのですが、日本側はお客さまの利便性を高めたいという思いがありました。時間を掛けて話し合いをする中で様々な使い方をするお客さまがいることを理解してくれました。ただ、つけるなら2つまでとなりました。なぜなら、2つならば1回の操作で切替可能ですが、多くの走行モードがあると切り替えに時間がかかります。
シンプルさを大事にしているTénéré700にはふさわしくないという理由です。
シフトアップだけじゃなくダウンも可能なクイックシフターをオプション設定
また、操作性と快適性をさらに向上させられる第3世代のクイックシフターがオプション設定されています。シフトアップ/ダウンともに、クラッチを切らなくてもスムーズに操作できるようになります。シフトチェンジがより滑らかになるように3速ギアまではドックの本数を1本増やして6本に変更、4速から6速はドックの角度を変更しています。
また、電子端末の充電に便利なUSBタイプC ソケットも装備しています。
オフロード走破性を一番に重視し冒険心を駆り立ててくれる1台
車両開発・橋本:
なによりも本格オフロードの走行性能を一番大事にしたモデルです。最低地上高や前後サスペンションのストローク量の確保を優先しているので、シート高が少し高めにはなりますが、その分オフロード走行の性能は、他の追従を許さないものがあると思っています。
いつかは本格オフロードバイクで道なき道を走っていきたいと思ってもらえるような、ロマンや冒険心を駆り立ててくれるモデルになったと思います。
2025年モデルTénéré700は、チャレンジする気持ちを持ち続けるお客さまにぜひ乗っていただきたいです。
最後に、イタリアの開発プロジェクトリーダーから日本のお客さまへ向けてビデオメッセージをもらっていますのでご紹介します。
2025年モデルTénéré700開発プロジェクトリーダーStefano Galimberti氏からのメッセージ
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いかがでしょうか?
本格オフローダーとして進化したTénéré700は3月31日発売です。
ぜひ、日本とイタリアの開発メンバーが試行錯誤し、こだわって完成させた2025年モデルTénéré700を店頭でご覧ください。
Ténéré700 はYSPおよびアドバンスディーラーのみで販売する「ヤマハモーターサイクル エクスクルーシブモデル」です。
ご購入につきましては取扱店にお問い合わせください。お近くの店舗検索はTénéré700製品ページの販売店検索をご覧ください。
冒険心溢れるライダーさんをお待ちしております。
それではまた。
グラッツェ!
- 2025年2月13日