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スロー走行をマスターしよう

舵効きが悪くなるだけではなく、風によって保針も難しくなるスロー走行の基本をご紹介します。

スロー走行とは

舵の効かせ方が難しいスロー走行

ボートコントロールでいちばん厄介なのがスローでの操船、という人は意外と多いでしょう。逆にいえばこのスローで自分の意のままにボートがコントロールできるようになれば、かなりボートコントロールが上達したとも言えるのです。
そのためにはスローでボートを操船するときにボートがどういった動きをするか、またどういった影響を受けるかといった特性を知っておくことがポイントになります。しかし、実際にはボートのタイプやエンジンのタイプ、風や潮流など、さまざまな要素によってその動きは異なってくるので、頭で覚えるだけではなかなかボートを上手くコントロールできません。実際にボートで感覚として身につけるのが一番です。

まず特性として頭に入れておかなければいけないのは、舵効きが悪くなるということ。プロペラの回転によって生じる推力が弱いため、ラダー部分に受ける流圧が小さくボートを回転させる力が十分に働かないからです。
当然直進性も安定しないし、舵を切ってから回転するまでにタイムラグがあったりして、なかなか頭の中でイメージしているようにボートが動いてくれません。車の運転に慣れている人にとっては、水の上に浮かんでいて、プロペラの回転によって前進したり後進したりする、しかもブレーキもないといったボートの特殊性を痛感するでしょう。

マリーナ内は最徐行が原則です。

スロー走行時にボートが受ける風の影響

ボートが風を受けると、その風圧によってボートが風下側に流される力が働き、操船を難しくします。特に水上のボートは真横から風を受けるときがいちばん影響を受け、一般的なプレジャーボートは真横から風を受けると、水面下面積の中心点と水面から上の風圧中心点のずれによって船首側が風下側に振られる傾向があります。ボートの風圧中心点が水面下面積の中心点より船首側に大きくずれている方が流されやすく、速度に関係なく風圧を受ける面積が大きいほどその影響を強く受けます。

一般的なボートは風を受けると船首が風下に振られ、流されていく傾向があります。

デッドスロー

デッドスローとはアイドリング(一般的にエンジンの回転を上げない)状態で推進機を作動させた(プロペラを回転させた)状態で得られるスピードのことです。アイドリングスピードとも言われ、微速でもスロットルを開けて行うスローとは区別されます。またトルクコンバーターや摩擦クラッチなどによってごく低い速度を得られるスロー装置を作動させている場合でも、原則的にデッドスローとは言いません。あくまでもアイドリングスピードをデッドスローと呼びます。

徐行

実際に航行をしていると、幾度となく速度を落として徐行を強いられる局面がありますが、船舶では徐行の速度を明確に数値化することはできないため、法規的には徐行という言葉はでてきません。
そこで海上衝突予防法では徐行を「他船との衝突を避けるための適切かつ有効な動作がとれる、またその時の状況に適した距離で停止できる安全な速力」、また港則法では「他船に危険を及ぼさないような速力」としています。つまり、ボートでの徐行には「自艇の安全を確保するため」の徐行と、「他の船舶に危険を及ぼさない配慮」のための徐行があるということを理解しておいてください。

安全な航行のためにも、作業している船舶や係船場所などの横を通過する時に曳き波の影響を与えてしまいそうな場合、また霧などで視界が低下した時や見通しが悪い狭い水路や港湾の入口付近で衝突の可能性が感じられた時などは、徐行を心掛けましょう。

港内に入る防波堤には「港内徐行」の表示があります。
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