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トラブルが発生した時の対処

洋上で発生したトラブルの対処法をご紹介します。

もしトラブルが発生したら

洋上で発生するボートのトラブルやアクシデントには、衝突、乗り上げ、転覆、火災、機関の故障などいろいろなものがあります。万が一そういった状況になった場合どうするか、速やかに適切な対処をしなければ、2次トラブルへとつながってしまいます。

(1)
状況(人員)の把握
ドラブルによって、人員に落水者、けが人が出ていないか、速やかに確認して、状況を把握します。
(2)
状態(船体・エンジン・ドライブ等)の確認
トラブルによって、船体やエンジンなどがどういった状況になっているかを確認、把握します。
(3)
位置情報の確認
現在位置を確認し、把握します。

まず、上記の初期対応を行いますが、あくまでも人命優先が基本です。げが人等がいるかいないか、落水者がいれば自力で救助できるかできないか、自力航行できるかできないか、船長の適切な状況判断が求められます。

(4)
レスキューの要請
状況を確認した上で、自力で対応できないと判断すれば、速やかにマリーナにレスキューを要請し、状況、現在位置、けが人の有無を正確に伝えます。
(5)
2次トラブルを防ぐ対処の実施
救助が到着するまでに、可能な限りの対処を行います。
  • げが人がいる場合は応急処置を施す。
  • 機関トラブルで漂流している場合は、アンカーを入れて漂流を留める。
  • 水深が深い場合はシーアンカーを入れて、波に立てて流れにくくする。
  • 浸水がある場合は、ビルジポンプを作動させるなどの対処をする。
  • 周囲の状況をワッチする。
  • 曳航の準備をする。

機関トラブルやドライブ、プロペラなどの損傷から、燃料切れやバッテリーが上がってしまうといった初歩的なミスに起因するトラブルまで、ボートのトラブルの多くはこのように自力で航行できなくなるケースが多いものです。そういった時にまず考えなければいけないのが、二次的なトラブルを防ぐと言うことです。そのままボートが風や潮に流されていけば、浅瀬に打ち上げられたり、港内では本船との衝突なども考えられます。また海域によっては横波を受けて転覆と言う二次的な事故を引き起こすこともあるわけです。

アンカーが届かない場合でも、アンカーを投入したまま流されることで、水深が浅くなった状況でアンカーが聞くことがあります。
シーアンカーがない場合は、バケツやクーラーバックなど、水中で抵抗になるものをロープに結んで流します。

曳航

船が洋上でのアクシデントに見舞われ、航行不能に陥り、その場で対処できない時にはレスキュー船に曳航されなければならないため、曳かれる立場になった時にどうしたらよいかを理解しておきましょう。

平穏時のロープの受け渡し

比較的平穏な海象における曳航ロープの受け渡しは、曳航する船の側で4~5メートルを投げ出せる状態にし、接近して相手のデッキにロープを投げて手渡します。
波がない場合であっても曳航開始まで2隻の船が波に漂う時間が長くなると思わぬ事態が発生する場合があります。

荒天時のロープの受け渡し

曳航船からロープを渡す場合には、救命浮輪など海面に浮くものロープを繋ぎ、風下側から投げ込み、被曳航船が拾い上げれるように流していきます。ボートに近づい瞬間に素早く拾い上げます。うまく拾い上げれないと、プロペラに絡まったりすることもあるので、ボートフック等を準備して速やかにピックアップします。

ロープの固定

ロープをピックアップしたら、速やかにクリートに繋ぎます。強い波を受けると、その力に耐えきれずクリートなどの係船設備の破損や、ロープが外れてしまうことによって二次的災害が発生する危険性があるため、船首で一束にしたロープは船の左右に分けて船首クリートから船尾のクリートまで、船体全体にテンションが均等に分散されるようになどにそれぞれ繋いでおきます。(曳航作業の流れ:2参考)

荒天で船を近づけるのが困難な場合のロープの受け渡し方

曳航作業の流れ

ロープの受け渡し

ロープの固定

曳航船、被曳航船でロープの確認

問題なければ、曳航開始OKの合図

曳航開始

曳航状態をワッチ

被曳航船のロープの繋ぎ方

船首で一束にされたロープは左舷と右舷に振り分け、それぞれ船首のクリートから船尾のクリートまでつながるように舫います。

曳航開始と注意

  1. 徐々に被曳航船の正面に曳航船を進め、ロープが張る前に惰性で様子を見ます。
  2. 曳航ロープがピンと張る寸前に微速の前進に入れ直しそこから無理のない程度に加速していきます。
  3. ボートのピッチ、プロペラ翼の角度などは曳航するような前提では作られていないので、無理に回転をあげスピードを出さないようにします。
  4. 航行中は、被曳航船の状態や周囲の船舶の動きに注意し、必要がある時にはいつでもロ一プを開放できるようにしておきます。
  5. 進路を変えるときは大きな旋回半径で旋回します。
  6. ロープが強く張り切ってしまうときにはその状態に対してロープの長さが短すぎるか、スピードが早すぎます。
  7. 曳航を終了するときには被曳航船の追突を防ぐために、徐々に速力を下げ、ロープが舵やプロペラに絡まないようにたぐり揚げたり、操船に注意することが必要です。
  8. 適切な係船設備が装着されていない場合には、船体の周りにロープをまわし、そこから曳航ロープを取るようにします。波が高く、複数の係船具を使っただけでは不安がある場合は、悪天候下での繋ぎ直しというのは不可能なことと考え、同じくこの方法も併用する方が良いでしょう。
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