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アンカリングによる係船

アンカリングする場合の手順と注意点を紹介します。

アンカリングによる係船は「軽風」であることが前提となります。
強風の場合、走錨やアンカーロープ切断などの可能性が高くなります。

プレジャーボートの場合はヨットよりも重量が重く、船底形状が波叩き時に不利となります。
海面が台風並みの強風条件となると、ベテランのキャプテンでも確実な係船をすることは難しくなります。
最悪の台風の場合には、波、風、潮位変化を極端に和らげてくれる海面に船を移すべきで、 その時もアンカリングだけの係船は避けるべきでしょう。

アンカリング以外に方法が見つからない場合は、海底の重量物(数トン級のバラスト)を探し、確実な方法でそれに連結する必要があります。

軽度

軽度

方法ポイント
前方一丁 船首部からのアンカー1本取り(通称:振り回し)を基本とします。
アンカリングによる係船
前後二丁 (上記と同様であるが、風による船の振れを無くすアンカリング)
アンカリングによる係船
四方 (上記状態で適度に風が強くなった場合のアンカリング)
アンカリングによる係船
アンカー索
長さ:
水深の3倍の長さとする。
※浅い所では5倍とする。
材質:
ナイロン製とする。
※比重が重く、伸縮性に富んでいることからアンカー索として有効。
細工:
アンカー索がロープの場合、係船索の先端に10m程のチェーンを付ける。
※アンカーのシャンク先がチェーンの重さで下がり、把駐力が向上する。
アンカー
種類:
ダンフォース、ブルース、CQR、唐人アンカーのどれも問題無し。
※アンカー索が適切であれば、中風以下であれば問題無し。
重量:
作業性に難が無い範囲で、重めの物を使用する。
海面条件
  • 風の影響を受け難い静かな海面を選ぶ。
  • 充分な水深。
  • 風向変化に伴い、周囲の船に迷惑の掛からない場所。

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重度

重度

方法ポイント
振り回し

軽度の「前方一丁」と同アンカリングであるが、アンカー重量、アンカー索を風の強さに応じたものとする

アンカー索の艇体側連結箇所
アンカー索は係船クリートに連結すること。

※風向の変化に対して、常に抵抗の少ない船首が風くことが有効である。

アンカリングによる係船
アンカリングによる係船
アンカー索
長さ:
水深の5倍の長さとする。
材質:
ナイロン製とする。
細工:
アンカー索がロープの場合、係船索の1/4をチェーンとする。
シャックル等のリング金具に連結する際は、アイスプライスしたロープエンドにシンブル金具を施すことで、ロープの傷みを軽減できる。
アンカリングによる係船
アンカー
種類:
海底の土質次第で、ブルース、CQR、唐人アンカーに変える必要がある。
重量:
ひと回り重めの物を使用する。
場所:
風の影響を受け難い静かな海面を選ぶ。
充分な水深。
風向変化に伴い、周囲の係留船に迷惑の掛からない場所。
その他
  • 船の搭載物は最大限下ろして、軽い状態とする。
  • アンカー上にブイを施す。
    ※アンカーのクラウン部にマークブイを施すことで、根掛かりが発生した際に、そのロープを引き上げることで容易に抜錨ができる。また、そのマークブイにより、通過する船に「揚錨中」という注意喚起にもなる。
    アンカリングによる係船
  • アンカー索が張った状態で船を「後進シフト」に入れることで、アンカーの把駐力を上げる。
  • アンカー索のボート側への舫いは、充分な強度を有する係船クリートに行うこと。
    ※ウインドラスやアンカークリートには舫わないこと。
  • アンカリングの表示として、昼間は形象物を掲げ、夜間は停泊灯を点灯する。
  • 把駐完了後も、「走錨」していないかを確認(ワッチ)する。
  • アンカーが「走錨」した際に対応が取れる体勢を取る。
  • 船への乗り込み方法を考慮しておくこと。
  • アンカーロープには、釣り針が引っ掛かっていることがあるため、ロープ巻き取り時は指に針を刺さないない様、注意のこと。

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