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荒天対策

Yブームに係留する際にご注意いただきたいポイントをご紹介します。

船の種類や大きさ、風の強さ、桟橋の状況等によって変化する係船方法。
中でも作業者の経験や技量が最も求められるのが、台風など荒天下での係船です。
係船の処理が悪いと、本来の強度を維持することはできません。
ここでは、暴風・強風の条件下での係船についてご紹介します。

暴風、強風条件下における係船場所の選択

1)陸上に保管する
台風などの接近が予想される場合は、可能な限り船を上架し、陸上で保管する。
陸上保管の場合でも、暴風による転倒などを避けるため、ロープでしっかりと固定する。
荒天対策
2)静穏な海面を選択
陸上保管できない場合は、波風の影響を受けない桟橋に船を移動す
3)両舷係留桟橋を選択
波風の影響を受けない静かな桟橋が無い場合は、係船ロープを左右両舷から取れる桟橋に移動する。
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4)船首風向き
両舷取りの桟橋が無い場合には、波風の影響を最小限に留めるため、船首を風上側に向けた状態で係船する。
荒天対策

暴風、強風条件下における係船のポイント

1)ロープ処理
条件の良い桟橋が選択できなかったら、係船ロープを以下の内容で対処する。
・強度アップ:

強風時は通常使用している係船ロープを折り返すことで2本分の強度を得る。

強風時荒天対策

また、警報発令時は太目のロープに交換する。

強風波浪警報発令時荒天対策

・取り回し:
係船ロープの桟橋への連結を「スプリングロープ留め」とする。
※「スプリング留め」とは、係船ロープを桟橋の斜め方向の係船金具に鋭角に連結するもので、船の前後方向の動きを制限する効果がある。また、突風や他船の引き波等で瞬間的に起こるロープの引張り力を和らげる効果も得られる。
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2)フェンダー処理
桟橋と船の間に適度なサイズ、数のフェンダーを施す。
船を桟橋に直に接触させると、桟橋側に施されたタイヤや硬質ゴムではキズが付き易く、船の揺れ次第ではクラックを発生する可能性がある。プレジャー艇は漁船と比較して幾分舷側の強度が低いため、ピンポイントで圧縮される固体式フェンダーは避け、圧力に応じて接触面積が増え、空気の圧縮に応じて形状やクッション度合いが変化するエアーフェンダーを採用とする。
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3)舫い方
係船具への舫い方 クリートや桟橋の係船金具に係船ロープを無造作に舫うと以下の問題を生じる。
1:ロープ混雑
強風条件下では係船ロープを桟橋に取った後、再度係船クリートに折り返し、その取り回しを前後に行うため2本のロープをクリート結びすることから、クリートがロープで団子状となる。
防止策:
係船クリートの初期結びをクリート結びとせず、ロープエンドをアイスプライス、または、ボーラインノットして作った輪をクリートに嵌める。
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2:ロープ結び目の固着
船の大きさや風の強さ次第では、係船金具に舫ったロープが固く締まって容易に解けなくなる。 特に円筒形金具へのクラブヒッチの舫いは固着し易い。
防止策
荒天対策
「ローリングヒッチ」(別称:「漁師結び」)という舫いを行う。
金具へのロープの初期舫いを左記の様に一捻り(ヒトヒネリ)し、その後、その上部に元綱の下に手綱を通す。
※ロープが張っていても容易にロープを外せ、円筒形係船金具への理想的な舫い方。
荒天対策
「ボーラインノット」を行う。
ロープエンドをボーラインノットし、その輪を金具に掛ける。
※メリット
・係船金具にロープの輪を掛けるだけの容易な作業。
・金具のスペースを奪わない。
※デメリット
・ロープが張った状態ではロープを外すのが困難となる。
・強い力で引張ると、結び目が固くなる。
・桟橋金具上部の返しが少ない場合、潮が高く、波があると抜ける可能性がある。
4)搭載品の飛散防止
風で飛ばされそうな艤装品、搭載品の処置。
スパンカーやソフトオーニングはロープで固縛するか、船から外して降ろしておく。また、重量が重い搭載物は船から降ろして軽荷状態にしておく。
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←固縛補強するか、または外す。

5)ワッチ(見張り)
台風通過の様な暴風条件下では、可能な限り台風の影響が軽減するまでは異常発生時に対処できる様、船の様子を監視する。
6)「固定桟橋」への係船
1)潮の干満を考慮。
潮の干満を軽視したことで、船が沈没したということが多くあります。
※九州の有明海では5m程の干満差を生じる。
潮位変化:
  • ・アンカリングを併用する。
  • ・潮が引くと船は岸壁側に近付くことを考慮すること。
    ※風が強くなることでロープが伸びることも加味する。
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2)ロープ擦れによる切断防止。
係船索が岸壁角で擦れ易いため、以下の擦れ防止策を講じる。
荒天対策
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7)「アンカリング」による係船
1)把駐力(アンカーが海底土質に食い付く力)
・係船ロープ長さは、水深に合わせた適度な長さとする。
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・アンカーの選択。
土質に合ったアンカーを使用し、風の勢いが強まる場合はサイズを大きくするか、アンカーをダブル(2個)で打つ。
※海底に沈んだ重く強固な沈船を使用するのも良い。
・アンカー索の工夫
アンカー索がロープの場合、ロープの下端に適度な長さのチェーンを付けて重くすることでアンカーのシャンク部が下がり、フリュークが土質に深く食い込む。
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2)風向変化に伴う順応
船首からアンカーを1本落す「振り回し」とすることで、アンカーを起点に、常に船首が風の吹く方向に向く。
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3)アンカーロープの連結
・アンカーロープの自船への連結箇所。 アンカー索の船側への連結はアンカークリートを避け、係船用クリートに舫い直すこと。 ・アンカーロープのアンカーへの連結方法。 アンカリング部の細い金物にロープを連結する際には、通常の結び(ボーラインノット等) では擦れを伴い、強風時には切断する可能性がある。このことから、リングへの舫いはフィッシャーマンズベント、或いは、もっと確かなシンブル金具の連結とする。
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8)船の連結方法
船が混雑している場合は、係船船への横抱きの了承を得て係船するが、ロープの負荷を横抱き船に掛けないためにも、桟橋側にも係船ロープを直接施すこと。
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